病気の解説

甲状腺クリーゼ

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緊急性の高い症状

甲状腺クリーゼは命に関わる緊急の状態です(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。バセドウ病など甲状腺の働きが強すぎる病気のある人や、その治療薬をやめてしまった人に次のような症状が出たときは、ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。

  • 高い熱が出ている
  • 脈がとても速い、脈が乱れる
  • 意識がもうろうとする、興奮してつじつまの合わないことを言う、呼びかけへの反応が鈍い
  • ひどく体に力が入らない
  • 皮膚や白目が黄色くなっている(黄疸)

出典:日本内分泌学会「甲状腺クリーゼ」、MSDマニュアル家庭版(英語版)「Hyperthyroidism」

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • 上の緊急症状がある場合は、すぐに受診してください。
  • 甲状腺の病気で治療中の人が、かぜや肺炎などの感染症、けが、手術などをきっかけに、動悸・発熱・強いだるさなど、いつもと違う体調の悪化を感じたとき
  • 甲状腺の薬を飲み忘れた、自己判断でやめてしまったとき

相談先は、かかりつけの内分泌・代謝内科(甲状腺の専門医)ですが、緊急症状があるときは救急外来を優先してください。高熱や意識の変化は、感染症など別の重い病気でも起こるため、症状だけで病名を判断することはできません。

基本

甲状腺クリーゼとは

甲状腺ホルモンが多すぎる状態(甲状腺中毒症)に体が耐えきれなくなり、心臓や肝臓、脳など複数の臓器の働きが急激に落ちて、命の危険が迫った状態です(日本内分泌学会)。甲状腺の働きが突然、極端に高まることで、体のあらゆる働きが危険なほど速まる、とも説明されます(MSDマニュアル)。多くは、甲状腺の働きが強すぎる病気が治療されていない、または治療が不十分なときに起こります(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。子どもではまれとされます(MSDマニュアル)。

主な症状

  • 全身の症状:高い熱、極端な脱力感(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)
  • 心臓の症状:とても速い脈や命に関わる不整脈が起こり、ショック状態になることもあります(MSDマニュアル)(日本内分泌学会)。
  • 意識や精神の症状:落ち着きがなくなる、気分が大きく変わる、混乱する、意識がもうろうとする、さらには昏睡に至ることもあります(MSDマニュアル)(日本内分泌学会)。
  • 肝臓の症状:肝臓の働きが急に落ち、黄疸が出ることがあります(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。
  • 呼吸:重い場合は呼吸が止まることもあります(日本内分泌学会)。

原因・なりやすい要因

もとにあるのは、バセドウ病などで甲状腺ホルモンが多すぎる状態が、十分にコントロールされていないことです(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。そこに次のようなきっかけが加わると起こりやすいとされます。

  • 肺炎などの感染症(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)
  • 大きなけが、手術(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)
  • 甲状腺の薬を自己判断でやめる、飲み忘れる(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)
  • コントロールの悪い糖尿病、妊娠・出産、そのほかの強いストレス(MSDマニュアル)

甲状腺の手術の際の全身麻酔がきっかけになることもあり、手術の前に抗甲状腺薬でホルモンを整えておくことが予防につながるとされます(NIDDK)。

検査と診断

診断

症状と診察の所見をもとに判断されます(MSDマニュアル)。命に関わる状態のため、検査結果を待たずに治療が始められることがあります。

治療

治療

多くの場合、集中治療室(ICU)に入院して治療します(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。

  • 全身の管理:呼吸や血圧を管理し、発熱や意識障害などにも対処します(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。
  • ホルモンを抑える治療:抗甲状腺薬でホルモンがつくられたり出たりするのを抑えます。速く効かせる必要があるため、ヨウ素の薬も使われます(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。
  • そのほかの薬:副腎皮質ホルモン(ステロイド)が使われます(日本内分泌学会)。
  • きっかけへの治療:感染症など、引き金になった病気の治療も同時に行います(日本内分泌学会)。

経過と生活

予防

甲状腺の働きが強すぎる病気と診断されている人は、処方された薬を自己判断でやめたり、飲み忘れたりしないことが大切です(日本内分泌学会)。感染症にかかったときや手術を受ける予定があるときは、甲状腺の病気があることを医療機関に伝え、主治医の指示に従いましょう(NIDDK)。

経過

治療を行っても命を落とすことがある、きわめて重い状態です(日本内分泌学会)(MSDマニュアル)。少しでも早く治療を始めることが大切です。

内分泌・代謝内科で扱うほかの病気

国家試験での出題

医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。

出典

日本内分泌学会「甲状腺クリーゼ」 / MSD Manual Consumer Version「Hyperthyroidism」 / NIDDK「Hyperthyroidism」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。