Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。 退院後、心不全の増悪を予防する目的で訪問看護を週に1回利用することになった。Aさんは夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしており、訪問看護師に助言を求めた。訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
弾性ストッキングは、下肢に適切な圧をかけることで静脈やリンパの流れを促進し、浮腫の発生や悪化を抑制する効果があります。特に心不全患者の下肢浮腫管理において、日中の立位や座位による重力の影響を軽減するために有効な手段です。
選択肢ごとの解説
- 1. 靴のサイズを大きくしても、浮腫の根本的な原因解決にはならず、むしろ足に合わない靴は転倒のリスクを高める可能性があります。浮腫そのものの管理が重要です。正しくは:浮腫対策として適切ではありません。選びやすい理由:浮腫で足が圧迫されるのを避けるために一見良さそうに思えますが、根本的な解決策ではありません。混同注意:浮腫で足が締め付けられるのは不快であるため、靴を大きくすることは症状を和らげるように感じますが、浮腫の悪化を防ぐ直接的な方法ではありません。
- 2. 正解。弾性ストッキングは、下肢に適切な圧をかけることで静脈還流を助け、浮腫の発生や悪化を抑制する効果があります。心不全による浮腫管理において有効な方法です。正しくは:弾性ストッキングは浮腫管理に有効です。選びやすい理由:正しい助言です。混同注意:弾性ストッキングは、心不全による下肢浮腫の管理に非常に有効です。特に外出時に着用することで、立位や歩行時の重力による浮腫の悪化を防ぎます。
- 3. 下肢の浮腫マッサージは、通常、末梢(足先)から中枢(心臓の方向)へ向かって行い、静脈やリンパの流れを促進します。中枢から末梢へのマッサージは、静脈還流を妨げる可能性があり不適切です。正しくは:「下肢は体の末梢から中心へ向かってマッサージしましょう」選びやすい理由:マッサージ自体は浮腫に良いというイメージがあるため、正しく聞こえるかもしれませんが、方向が逆です。混同注意:マッサージは浮腫ケアとして一般的なイメージがありますが、リンパドレナージの原則として末梢から中枢へ行うのが正しい順序です。逆方向はかえって負担をかける可能性があります。
- 4. 浮腫のある皮膚は損傷しやすく、湯たんぽを身体から2、3cmの距離に置くと低温熱傷を起こす危険があります。湯たんぽは身体から10cm以上離すか、就寝前に寝具を温めて取り出すようにします。また、下肢を温めることは浮腫の予防にはなりません。正しくは:「湯たんぽは身体から10cm以上離して置き、低温やけどに注意しましょう」選びやすい理由:温めることで血行が良くなりそうだと感じるためです。混同注意:湯たんぽ使用時の安全な距離(10cm以上)と、浮腫の予防法の混同。
国試ポイント
心不全患者のセルフケア指導、特に下肢浮腫の管理方法に関する知識が問われています。弾性ストッキングの適切な使用法やマッサージの方向など、具体的な看護介入の知識が必要です。
混同注意
マッサージの方向(末梢から中枢か、中枢から末梢か)は混同しやすいため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
弾性ストッキングの正しい履き方、圧迫の強度、装着時間、皮膚の状態観察についても指導が必要です。また、浮腫の原因が心不全であることを再確認し、医師との連携も視野に入れる。
関連知識
心不全の病態生理(体液貯留)、浮腫の種類とメカニズム、非薬物療法(生活習慣指導、弾性ストッキング、体位管理、塩分制限)、低温やけどのリスク管理。