A さん(40歳、男性)は数年前に schizophrenia 統合失調症と診断された。最近、仕事を辞めて、訪問看護を利用しながら1人で暮らしている。訪問看護師に「病気になってから孤独だ。これからどのように生きていけば良いか、同じような体験をしている人と話してみたい」と打ち明けた。 A さんの支援を行う上で連携する者として優先度が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aさんは統合失調症と診断され、仕事を辞めて孤独を感じ、「同じような体験をしている人と話してみたい」と打ち明けています。これは、自身の病気や生活上の困難について共感や理解を求める心理的ニーズが高いことを示唆します。ピアサポーターは、精神疾患当事者としての経験を持つ人が、その経験を活かして他の当事者をサポートする役割を担います。同じ体験をしている人との交流は、孤独感の軽減、病気への対処法の共有、リカバリーへの意欲向上に繋がり、Aさんのニーズに最も合致するため、優先度が高いと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 公認心理師は心理査定やカウンセリングを通じて精神的な問題の解決を支援しますが、Aさんの「同じような体験をしている人と話してみたい」というニーズに直接応えるものではありません。公認心理師による専門的な心理支援が必要になる場面もありますが、現時点のAさんの主訴からすると優先度はピアサポーターより低いと考えられます。正しくは:Aさんの「孤独」という感情の背景にある心理的問題や、ストレス対処能力の向上を目的とした支援が必要な場合に連携します。選びやすい理由:Aさんが「孤独」を打ち明けており、心理的なサポートが必要だと考えるため。混同注意:精神疾患における心理的支援全般。専門家による心理療法と当事者による共感的支援との違い。
- 2. 成年後見人は、精神上の障害などにより判断能力が不十分な人の財産管理や契約などの法律行為を支援する制度です。Aさんの「孤独だ。これからどのように生きていけば良いか、同じような体験をしている人と話してみたい」という訴えは、判断能力の低下を示すものではなく、直ちに成年後見人が必要となる状況ではありません。正しくは:Aさんが自身の財産管理や契約などの法律行為を適切に行うことが困難になった場合に、その必要性を検討し連携します。選びやすい理由:精神疾患があるため、将来的に財産管理などが困難になる可能性を考慮してしまうため。混同注意:精神疾患の有無と判断能力の有無。精神疾患があるからといって必ずしも判断能力が不十分なわけではない点。
- 3. 正解。Aさんは「同じような体験をしている人と話してみたい」と明確に述べており、ピアサポーターはまさにそのニーズに応える専門職です。自身の病気や生活上の困難について共感や理解を得ることは、Aさんの孤独感を軽減し、リカバリーへの意欲を高める上で最も効果的な支援の一つと考えられます。選びやすい理由:Aさんの訴えに最も直接的に対応する支援であるため。
- 4. 就労継続支援事業所は、障害を持つ人が一般企業での就労が困難な場合に、生産活動の機会提供や就労に必要な知識・能力向上のための訓練を行う施設です。Aさんは現在仕事を辞めていますが、現在の訴えは「孤独」や「同じような体験をしている人と話したい」というものであり、直ちに就労支援を求めるものではありません。Aさんの主訴からすると優先度は低いと考えられます。正しくは:Aさんが将来的に就労を希望し、そのための支援が必要になった場合に連携を検討します。選びやすい理由:Aさんが「仕事を辞めて」いるため、就労支援が必要だと考えるため。混同注意:精神疾患当事者の生活支援全般。現在のニーズと将来的なニーズの区別。
国試ポイント
精神疾患を有する当事者に対する支援において、ピアサポートの役割と重要性、および患者のニーズに応じた多職種連携を理解しているか。
混同注意
精神疾患当事者の心理的・社会的な回復を促す支援において、専門職による介入と、ピアサポートのような当事者主体の支援の違い。専門職は医学的・心理学的知識に基づいた治療や指導が中心ですが、ピアサポーターは自身の体験に基づく共感やロールモデルとしての役割が中心です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、「同じような体験をしている人と話したい」「病気の経験を活かしたい」「回復途上にある人を支えたい」といった当事者同士の共感や経験の共有に関するキーワードがあれば、ピアサポーターが優先度が高いと判断する。
関連知識
ピアサポートは、特に精神疾患領域で効果が認められており、当事者のエンパワメント、スティグマの軽減、リカバリープロセスの促進に寄与します。精神保健福祉法に基づく地域生活支援事業の一環としても位置づけられています。また、リカバリー志向のケア、WRAP(Wellness Recovery Action Plan)なども関連知識として重要です。