前立腺肥大症で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
前立腺肥大症は、尿道の圧迫による排尿障害が進行すると、膀胱内の尿が滞留し、腎臓への逆流によって水腎症を引き起こす可能性があります。また、外科的治療としては、内視鏡を用いた経尿道的前立腺切除術(TURP)が標準的に行われます。直腸診で石のように硬い触知は前立腺癌を示唆し、前立腺縮小には男性ホルモンの作用を抑制する薬剤が用いられます。PSA値が100ng/mLを超えるような極端な高値は、前立腺癌などの重篤な疾患を疑う所見であり、前立腺肥大症のみでこの値になることは稀です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。前立腺肥大症によって尿道が圧迫され、排尿障害が進行すると、尿が膀胱から腎臓へ逆流し、水腎症を合併することがあります。正しくは:正しい選択肢のため、修正の必要はありません。選びやすい理由:軽度の排尿障害のみを想像し、水腎症のような重篤な合併症までは進まないと考えてしまうかもしれません。混同注意:尿路感染症や膀胱結石など、他の合併症との混同が生じる可能性があります。
- 2. 正解。経尿道的前立腺切除術(TURP)は、前立腺肥大症に対する代表的な外科的治療法であり、内視鏡を用いて肥大した前立腺組織を切除します。正しくは:正しい選択肢のため、修正の必要はありません。選びやすい理由:開腹手術など、より侵襲的な手術を想像し、内視鏡手術が主流であることを見落とすかもしれません。混同注意:前立腺癌の手術(前立腺全摘術など)と混同することがあります。
- 3. 前立腺肥大症の場合、直腸診では通常、弾力性のある腫大した前立腺が触知されます。石のように硬い前立腺の触知は、前立腺癌を強く示唆する所見です。正しくは:「弾力性のある腫大した前立腺が触知される」に変更すると正しい記述になります。選びやすい理由:前立腺に異常があるという点では共通しているため、具体的な触診所見を混同しやすいです。混同注意:前立腺肥大症と前立腺癌の鑑別点に関する知識が曖昧だと誤った判断につながります。
- 4. 前立腺の増殖には男性ホルモンが関与しているため、前立腺を縮小させるためには男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を抑制する薬(例えば5α還元酵素阻害薬)が用いられます。男性ホルモン薬を用いると、むしろ前立腺は増殖・肥大する可能性があります。正しくは:「前立腺を縮小させるために抗男性ホルモン薬や5α還元酵素阻害薬を用いる」に変更すると正しい記述になります。選びやすい理由:ホルモンと前立腺の関連性が頭にあると、逆方向の作用を間違えて選択してしまうことがあります。混同注意:男性ホルモンが前立腺の成長に関与しているという知識が、そのまま治療薬の選択に結びつかない場合、誤解が生じやすいです。
- 5. 前立腺肥大症でもPSA値は上昇することがありますが、通常は10ng/mL以下であることが多く、100ng/mLを超えるような極端な高値は前立腺癌や前立腺炎など、より重篤な疾患を強く示唆する所見です。前立腺肥大症のみでそこまでの高値になることは稀です。正しくは:「前立腺特異抗原(PSA)値が軽度上昇することがある」に変更すると、より適切です。選びやすい理由:前立腺疾患でPSA値が上昇するという知識は正しいですが、その具体的な基準値を混同しやすいです。混同注意:PSA値の基準値や、前立腺肥大症と前立腺癌におけるPSA値の傾向の違いについて曖昧な理解がある場合に誤った判断につながります。
国試ポイント
前立腺肥大症の病態生理、代表的な合併症、治療法、および他の前立腺疾患(特に前立腺癌)との鑑別点について理解しているかが問われています。特に直腸診所見とPSA値の解釈は重要です。
混同注意
前立腺肥大症と前立腺癌の症状、検査所見、治療法を混同しやすいです。特にPSA値の解釈や直腸診所見の鑑別が誤答のポイントとなりがちです。
次に同じ論点が出たら
前立腺肥大症の患者さんに対し、現在の症状だけでなく、将来的な合併症のリスク(水腎症など)を考慮した看護計画を立案できるか。また、PSA値や直腸診所見から、さらなる精密検査の必要性を判断し、適切に医師へ報告できるか。
関連知識
前立腺の解剖生理、男性ホルモンの作用、尿路系の構造と機能、泌尿器系の疾患における薬物療法と外科的療法の適応と方法。