出生体重3,020 gの正期産児。新生児期に最もチアノーゼを生じやすい先天性心疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ファロー四徴症は、肺動脈狭窄、心室中隔欠損、大動脈騎乗、右心室肥大という4つの主要な特徴を持つ先天性心疾患で、特に肺動脈狭窄の程度が強いため、右心室から大動脈への血液の流出が増加し(右左シャント)、酸素飽和度の低い血液が全身に送られます。このため、出生直後から強いチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる状態)を呈することが多く、新生児期にチアノーゼを生じやすい代表的な疾患です。他の選択肢である動脈管開存症、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症は、通常、左心から右心への血液の流れ(左右シャント)が主体であり、原則として非チアノーゼ性心疾患に分類されます。これらの疾患でチアノーゼが生じるのは、長期間にわたる肺高血圧の進行など、かなり病態が進行した場合に限られ、新生児期に最もチアノーゼを呈する疾患ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 動脈管開存症は、動脈管が閉鎖せず、大動脈から肺動脈へ血液が流れる疾患であり、これは左右短絡に分類されます。そのため、原則として非チアノーゼ性心疾患です。重症化して肺高血圧を合併するとチアノーゼを呈することもありますが、新生児期に最もチアノーゼを起こしやすい疾患ではありません。正しくは:原則としてチアノーゼは生じにくい疾患であり、肺血流量増加による心不全症状が主です。選びやすい理由:新生児期に問題となる心疾患の一つであるため、知識が不十分な場合、選択肢として目を引く可能性があります。混同注意:他の左→右シャント疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症)と同様に、非チアノーゼ性心疾患であることを混同しやすいです。また、重度の肺高血圧による右→左シャントが生じた場合と混同することもあります。
- 2. 心室中隔欠損症は、左右の心室を隔てる壁に穴が開いており、通常は左心室から右心室へ血液が流れる左右短絡です。これも原則として非チアノーゼ性心疾患に分類されます。重症化して肺高血圧が進行し、右左シャントが生じる(アイゼンメンジャー症候群)とチアノーゼが現れますが、それは新生児期よりかなり後で、すぐにチアノーゼを呈する疾患ではありません。正しくは:原則としてチアノーゼは生じにくい疾患であり、肺血流量増加による心不全症状が主です。選びやすい理由:先天性心疾患の中で最も頻度が高いため、重症疾患と捉え、チアノーゼと結びつけやすい可能性があります。混同注意:右左シャントを伴うチアノーゼ性心疾患と混同しやすいです。
- 3. 心房中隔欠損症は、左右の心房を隔てる壁に穴が開いており、通常は左心房から右心房へ血液が流れる左右短絡です。これも原則として非チアノーゼ性心疾患であり、肺血流量が増加します。新生児期にチアノーゼを呈することは非常に稀で、成人期以降に肺高血圧が進行して右左シャントが生じた場合に限定されます。正しくは:原則としてチアノーゼは生じにくい疾患です。選びやすい理由:心臓に「穴がある」という共通点から、心室中隔欠損症や他の重症心疾患と誤って関連付けてしまうかもしれません。混同注意:他の左右短絡性疾患(心室中隔欠損症、動脈管開存症)と同様に、非チアノーゼ性心疾患であることを混同しやすいです。
- 4. 正解。ファロー四徴症は、肺動脈狭窄、心室中隔欠損、大動脈騎乗、右心室肥大という四つの病変を特徴とする代表的なチアノーゼ性心疾患です。肺動脈狭窄の程度が強いほど、右心室から大動脈への右左シャントが増加し、酸素飽和度の低い血液が全身に送られるため、新生児期や乳児期早期から強いチアノーゼを呈しやすいです。特に「チアノーゼ発作(テットスペル)」は特徴的な症状です。
国試ポイント
新生児・小児期の先天性心疾患に関する問題は頻出であり、特にチアノーゼ性か非チアノーゼ性か、また、その主な症状(例:チアノーゼ、心不全症状)や特徴的な検査所見(例:心雑音、胸部X線所見)を理解しているかが問われます。本問のように、新生児期に焦点が当てられた場合、緊急性や重症度が高いチアノーゼ性心疾患(例:ファロー四徴症、完全大血管転位症、総肺静脈還流異常症など)を鑑別できる知識が重要です。
混同注意
チアノーゼ性心疾患と非チアノーゼ性心疾患の分類が最も混同しやすい点です。特に、左右シャントのある非チアノーゼ性心疾患(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症)も放置すると肺高血圧から最終的にチアノーゼを呈する可能性があるため、その発症時期や機序の違いを明確に理解しておく必要があります。また、チアノーゼを呈する心疾患の中でも、新生児期早期に重篤なチアノーゼを呈しやすい疾患(例:完全大血管転位症)と、乳児期以降にチアノーゼが目立つ疾患(例:ファロー四徴症の一部)の区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次回、同様の論点で出題された場合、まず「チアノーゼ性か非チアノーゼ性か」を判別し、次に「新生児期(または乳児期早期)に症状が顕著か」という時間軸に注目して、各疾患の典型的な病態生理と症状を結びつけて考えましょう。特に、動脈管依存性循環を必要とする疾患や、肺血流を確保するためにプロスタグランジン製剤が用いられる疾患など、治療法と関連付けて覚えることで理解が深まります。
関連知識
新生児期の心疾患は、生後早期の身体診察(心雑音の有無、チアノーゼの有無、呼吸状態、哺乳状況など)で疑われ、診断には胸部X線、心電図、心エコー検査が不可欠です。チアノーゼ性心疾患の管理では、プロスタグランジンE1(PGE1)投与による動脈管依存性循環の維持、酸素投与、心臓カテーテル検査、そして最終的な外科的治療が検討されます。特にファロー四徴症では、重症度によって手術時期や術式が異なります。非チアノーゼ性心疾患では、心不全症状の管理が中心となり、利尿薬やジギタリス製剤が用いられることがあります。