Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。嗜好品:飲酒はビール700 ml/日を週5日趣味:ジョギングとヨガ Aさんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
甲状腺腫瘍の確定診断には、病理組織学的な評価が不可欠です。穿刺吸引細胞診は、腫瘍細胞を直接採取し、顕微鏡下で観察することで、良悪性の鑑別や組織型を特定する最も信頼性の高い検査です。
選択肢ごとの解説
- 1. 血中サイログロブリン値は、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの再発・転移マーカーとして利用されますが、確定診断には至りません。正しくは:甲状腺機能や再発・転移の評価に用いる。選びやすい理由:甲状腺疾患に関連する検査であるため、選びがちだが、確定診断には直接結びつかない。混同注意:甲状腺関連の腫瘍マーカーと混同しやすいが、これは確定診断のための病理学的検査ではない。
- 2. 頸部エックス線撮影は、甲状腺腫瘍の石灰化の有無などを評価することは可能ですが、腫瘍の良悪性や組織型を確定診断する検査ではありません。正しくは:石灰化の有無や、気管への影響などを評価するのに用いる。選びやすい理由:身体的な異常を見る検査として選択肢に入りがちだが、内部構造の詳細や細胞レベルの診断はできない。混同注意:他の部位の腫瘍診断に使われる画像検査と混同しやすいが、甲状腺腫瘍の確定診断には不十分。
- 3. 正解。穿刺吸引細胞診は、甲状腺腫瘍に細い針を刺し、細胞を採取して顕微鏡で病理学的に評価する検査であり、腫瘍の良性・悪性の鑑別や組織型の確定診断に最も有効です。正しくは:この検査は、甲状腺腫瘍の良悪性や組織型を病理学的に確定する診断法である。選びやすい理由:侵襲的な検査であるため、他の非侵襲的な検査を選びたくなるかもしれないが、確定診断には不可欠。混同注意:超音波検査などの画像検査と混同しがちだが、画像検査はあくまで補助診断であり、確定診断には細胞組織の評価が必要。
- 4. 頸部CTは、腫瘍の大きさ、位置、周囲組織への浸潤の有無、リンパ節転移などを詳細に評価するのに有用ですが、細胞レベルでの良悪性の確定診断にはなりません。正しくは:腫瘍の広がりや周囲への影響、転移の有無を評価するのに用いる。選びやすい理由:詳細な画像情報が得られるため、確定診断に必要だと誤解しやすい。混同注意:画像診断として有効な検査だが、生検による病理診断とは目的が異なることを理解しておく必要がある。
国試ポイント
甲状腺腫瘍の確定診断には病理組織学的検査が必要であることを理解しているか、またそれぞれの検査の目的と限界を把握しているかが問われる。特に画像診断と病理診断の違いを区別することが重要。
混同注意
各選択肢の検査は甲状腺疾患の診断において何らかの役割を持つため、それぞれの検査の目的を正確に把握していないと誤答につながる。特に画像診断(CT、エックス線)と細胞診・生検の違いを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
穿刺吸引細胞診の結果に基づいて、手術の適応や術式、術後の治療方針が決定される。
関連知識
甲状腺機能検査(TSH, FT3, FT4)、甲状腺超音波検査、シンチグラフィなど。これらは甲状腺腫瘍の存在や機能を評価するが、確定診断は細胞診・生検に委ねられる。