病気の解説

甲状腺腫瘍

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受診の目安

首の前のしこりは、多くの場合、症状がないまま健康診断や別の目的の検査で見つかります(米国国立がん研究所)。次のようなときは、かかりつけ医か耳鼻咽喉科に相談してください(国立がん研究センター がん情報サービス)。

  • 首の前(のどぼとけの下あたり)にしこりやふくらみがある
  • 健康診断や超音波検査で甲状腺のしこりを指摘された
  • 声のかすれが続く、飲み込みにくい・飲み込むと痛む
  • 息苦しさ、のどの違和感が続く、痰に血が混じる

しこりの多くはがんではありませんが、良性か悪性かは症状だけでは判断できません。検査で確かめることが大切です(米国国立がん研究所)。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス、米国国立がん研究所(NCI)

基本

甲状腺腫瘍とは

甲状腺は首の前にある蝶のような形の臓器で、体の代謝に関わるホルモンをつくっています(国立がん研究センター がん情報サービス)(MedlinePlus)。甲状腺腫瘍は、この甲状腺にできる「しこり(結節)」の総称で、良性のものと悪性のもの(甲状腺がん)があります。

甲状腺のしこりはよく見つかるものですが、その多くはがんではなく、治療が必要ないことも多いとされます(米国国立がん研究所)。

主な症状

多くは自覚症状がありません。症状がある場合、いちばん多いのは首のしこりです(国立がん研究センター がん情報サービス)。

がんが進んだり大きくなったりすると、次のような症状が出ることがあります(国立がん研究センター がん情報サービス)(MedlinePlus)。

  • 声のかすれ(声の変化が治らない)
  • 飲み込みにくさ、飲み込むときの痛み
  • のどの違和感や痛み、息苦しさ
  • 血の混じった痰

これらはほかの病気でも起こります(米国国立がん研究所)。

原因・なりやすい要因

甲状腺がんにかかりやすい要因として、次のようなものが挙げられています(MedlinePlus)(米国国立がん研究所)。

  • 女性であること(国立がん研究センター がん情報サービスでも女性に多いとされます)
  • 子どものころに頭や首に放射線を受けたこと、放射性物質による被ばく
  • 甲状腺腫(甲状腺のはれ)にかかったことがある
  • 甲状腺の病気や甲状腺がんの家族歴
  • 一部の遺伝性の病気(多発性内分泌腫瘍症2型など)。髄様がんではRETという遺伝子の変化が関わることがあります(国立がん研究センター がん情報サービス)

要因があっても必ずがんになるわけではなく、要因がなくてもかかることがあります(米国国立がん研究所)。

検査と診断

診断

  • 首の診察:しこりの大きさや硬さを確かめます。
  • 超音波検査:しこりの大きさや、中身が固形か液体かを調べます(米国国立がん研究所)。
  • 穿刺吸引細胞診:細い針でしこりの細胞をとり、がんかどうかを調べます。超音波で見ながら行うことが多い検査です(米国国立がん研究所)。
  • 血液検査:甲状腺ホルモンやTSHなどを調べ、ほかの甲状腺の病気がないかも確かめます。髄様がんが疑われるときはカルシトニンも測ります(米国国立がん研究所)。
  • 必要に応じて、声帯の動きを見る喉頭の検査やCTなどを行います(米国国立がん研究所)。

治療

治療

良性のしこりは、症状がなければ治療を必要としないことが多いとされます(米国国立がん研究所)。

甲状腺がんの治療は、がんの種類や広がり、年齢、体の状態、本人の希望などをもとに決まります(国立がん研究センター がん情報サービス)(MedlinePlus)。

  • 手術:甲状腺をすべてとる方法と、片側だけをとる方法があり、必要に応じて首のリンパ節もとります。すべてとった場合は、甲状腺ホルモンの薬を一生飲み続けます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 経過観察:非常にリスクの低い乳頭がんでは、すぐに手術せず定期的な検査で様子を見る方法もあります(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 放射性ヨウ素(アイソトープ)治療:手術後に残った甲状腺やがん、肺や骨への転移などに対して行います(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • TSH抑制療法:甲状腺ホルモンの薬で、がんの増殖を促すTSHを抑えます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 薬物療法:手術や放射性ヨウ素治療が難しい場合に、分子標的薬などを使うことがあります(国立がん研究センター がん情報サービス)。

手術のあとに、声のかすれ、手足のしびれ(血液のカルシウムが下がるため)、甲状腺ホルモンの不足によるだるさなどが起こることがあります(国立がん研究センター がん情報サービス)。

経過と生活

経過

乳頭がんや濾胞がんは、遠くの臓器への転移がなければ、比較的経過がよいとされます。一方、未分化がんは進行が速く、悪性度の高いがんです(国立がん研究センター がん情報サービス)。治療後も定期的な通院と検査を続けることが大切です。治療方針は担当の医師とよく相談してください。

その他

主な種類

  • 良性の腫瘍:代表的なものに濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)があります。濾胞がんとの区別が難しいことがあります(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 乳頭がん:甲状腺がんの約9割を占め、多くはゆっくり進みます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 濾胞がん:約5%。血液の流れにのって肺や骨に転移することがあります(同)。
  • 髄様がん・未分化がん・低分化がん:いずれも少数です。未分化がんは進行が速いタイプです(同)。

甲状腺にできるリンパ腫は、原因や治療ががんとは異なる別の病気として扱われます(国立がん研究センター がん情報サービス)。

内分泌・代謝内科で扱うほかの病気

国家試験での出題

医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。

出典

国立がん研究センター がん情報サービス「甲状腺がん 基礎知識」 / 国立がん研究センター がん情報サービス「甲状腺がん 治療」 / National Cancer Institute「Thyroid Cancer Treatment (PDQ) – Patient Version」 / MedlinePlus「Thyroid Cancer」
内容の確認日:2026-10-14(次回確認予定 2027-04-14)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。