敗血症性ショックについて正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
敗血症性ショックは、エンドトキシンなどの病原体由来成分によって全身性炎症反応が引き起こされ、最終的に多臓器不全に至る重篤な病態です。血圧は低下し、組織の低灌流により乳酸は上昇します。病態の進行はウォームショックからコールドショックへの移行が一般的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 敗血症性ショックでは、全身の血管が拡張し、血管内の血液量が相対的に不足するため、血圧は著しく低下します。持続的な低血圧が特徴であり、昇圧剤を必要とします。正しくは:血圧は著しく低下する。選びやすい理由:ショックの種類によっては、初期に代償的に血圧が保たれることがあるため、上昇すると誤解するかもしれませんが、敗血症性ショックでは低血圧が本質的な病態です。混同注意:他の種類のショックや、初期の身体の代償反応と混同する可能性があります。敗血症性ショックは、定義上「低血圧」を伴います。
- 2. 敗血症性ショックでは、組織への酸素供給が不足し、細胞が嫌気性代謝に傾くため、乳酸が過剰に産生されます。結果として血中乳酸濃度は上昇し、これは組織の灌流障害の重要な指標となります。正しくは:血中の乳酸濃度は上昇する。選びやすい理由:肝臓での乳酸の代謝能力が低下することがあるため、それを誤って解釈し、乳酸が減少すると考えるかもしれませんが、産生過多が優位です。混同注意:正常な代謝状態や、乳酸を消費するような特定の病態と混同する可能性があります。ショック状態では、組織の酸素不足が乳酸蓄積の主な原因です。
- 3. 正解。グラム陰性菌が産生するエンドトキシン(リポ多糖:LPS)は、敗血症性ショックの発症において非常に重要な役割を担います。これは宿主の免疫系を過剰に活性化させ、全身性の炎症反応を引き起こし、最終的にショック状態へと導きます。
- 4. 正解。敗血症性ショックが進行し、適切な治療が行われない場合、全身の炎症反応や組織灌流障害により、複数の臓器に機能障害が生じる多臓器不全(MODS: Multiple Organ Dysfunction Syndrome)に至ります。これは敗血症性ショックの最も重篤な合併症であり、患者の予後を大きく左右します。
- 5. 敗血症性ショックの初期には、血管拡張が優位となり、皮膚が温かい「ウォームショック(温暖型ショック)」の状態を呈することが多いです。病態が進行し、心機能の低下や末梢血管の収縮が強くなると、皮膚が冷たくなる「コールドショック(冷感型ショック)」へ移行することがあります。したがって、記述の順序は逆です。正しくは:ウォームショックからコールドショックへ移行する場合がある。選びやすい理由:ショックにはウォーム型とコールド型があるという知識は正しいため、用語自体に惑わされやすいですが、移行の順序が誤りです。混同注意:ショックの病型に関する知識はあっても、その時間的な経過や進行方向についての理解が曖昧だと間違えやすいです。また、他の種類のショックの病態と混同する可能性もあります。
国試ポイント
敗血症性ショックの病態生理、主要な原因物質、典型的な症状(血圧、乳酸値)、ショックの病型分類(ウォームショック、コールドショック)とその進行、および最も重篤な合併症(多臓器不全)について、正確な理解が問われます。特に、それぞれの指標や現象が「上昇する/低下する」「〜から〜へ移行する」といった方向性の記述の正誤を判断する能力が必要です。
混同注意
他の種類のショック(心原性ショック、アナフィラキシーショックなど)の病態生理や症状、特に血圧や末梢循環の状態(冷感/温感)と混同しやすいです。また、ショックの初期と後期で変化する病態について、その順序を誤って記憶している場合があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、敗血症性ショックの診断基準(SOFAスコアやQuick SOFAなど)、初期治療(大量輸液、早期抗菌薬投与、昇圧剤の使用など)、および看護介入(バイタルサインの綿密な観察、尿量測定、循環管理、感染制御など)に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
グラム陰性菌、グラム陽性菌、エンドトキシン、外毒素、サイトカイン、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全(MODS)、嫌気性代謝、乳酸アシドーシス、ウォームショック、コールドショック、昇圧剤、血管拡張、血管収縮。