外傷性脊髄損傷で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
外傷性脊髄損傷の疫学に関する問題です。近年、日本の高齢化が進む中で、高齢者の転倒による脊髄損傷が増加しています。骨粗鬆症による脆弱性骨折が関与することも多く、今後もこの傾向は続くと考えられます。その他の選択肢は、男性に多い、頸髄損傷が最も多い、労働災害は減少傾向にある、年間発生頻度は30~50人/年程度であるという疫学的事実と異なるため誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 外傷性脊髄損傷は一般的に男性に多く発生します。交通事故や高所からの転落など、男性が関与しやすい事故が原因となることが多い傾向にあります。正しくは:性別では男性患者の割合が高い。選びやすい理由:特定の疾患では女性に多いものもあるため、脊髄損傷もそうかもしれないと誤解する可能性があります。混同注意:脊髄疾患の中には多発性硬化症のように女性に多いものもありますが、外傷性脊髄損傷の疫学とは異なります。
- 2. 外傷性脊髄損傷では、頸髄損傷が最も多く見られます。これは、頸部が体の部位の中で最も可動性が高く、外力に対して脆弱であるためと考えられています。正しくは:損傷部位としては頸髄の割合が最も高い。選びやすい理由:腰部も体の動きの中心であり、スポーツ外傷などで損傷することも多いため、最も多いと錯覚する可能性があります。混同注意:腰痛などの一般的な腰部の問題とは異なり、外傷による重篤な脊髄損傷では頸髄が最も好発する部位です。
- 3. 正解。平均寿命の延伸に伴い、転倒事故などによる高齢者の脊髄損傷が増加しています。特に骨粗鬆症を伴う高齢者では、軽微な外力でも脊椎の脆弱性骨折が生じやすく、脊髄損傷につながることが一因とされています。正しくは:この記述は正しいです。
- 4. 労働災害全体としては減少傾向にあり、それに伴い労働災害による脊髄損傷も減少していると考えられています。安全対策の普及などが寄与しています。正しくは:労働災害による負傷者の数は減少している。選びやすい理由:労働環境の変化や新たな産業の発展により、特定の事故が増えているという印象から、労働災害全体が増加していると誤解する可能性があります。混同注意:高齢者の転倒事故など、他の原因による受傷が増加していることと混同しやすいですが、労働災害と高齢者の受傷は異なるカテゴリーです。
- 5. 日本における外傷性脊髄損傷の年間発生頻度は、おおむね人口100万人あたり30〜50人程度と報告されています。100人/年という数値は、実際の発生頻度と比較して過大評価です。正しくは:年間発生頻度は人口100万人あたり約30~50人である。選びやすい理由:具体的な数値が出されると、正しいかどうかの判断がつきにくく、知識がなければ選んでしまう可能性があります。混同注意:他の疾患の発生率や有病率と混同したり、非外傷性脊髄損傷も含めた脊髄損傷全体の発生率として誤解したりする可能性があります。
国試ポイント
作業療法士国家試験では、外傷性脊髄損傷の疫学(性別、年齢、原因、損傷部位、発生率のトレンドなど)に関する基本的な知識が頻繁に問われます。最新の疫学データや社会情勢の変化に伴うトレンド(例:高齢化による変化)を把握しておくことが重要です。
混同注意
高齢者の増加傾向と、労働災害の減少傾向を混同しやすいです。また、発生頻度の具体的な数値は他の疾患のデータと誤認しやすいので注意が必要です。外傷性脊髄損傷と非外傷性脊髄損傷の疫学的特徴の違いも意識しましょう。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、最新の疫学データ(特に年齢構成の変化、受傷原因の推移、損傷部位のトレンド)に注目してください。また、外傷性脊髄損傷と非外傷性脊髄損傷の比較、国際的な疫学データとの比較なども問われる可能性があります。
関連知識
外傷性脊髄損傷の主な原因としては、交通事故(約半数)、転落・転倒(高齢者に多い)、スポーツ・レジャーなどがあります。損傷レベルによって出現する機能障害やADLへの影響が異なるため、各レベルの機能解剖と生活障害についても関連付けて学習することが大切です。