8歳の男児。二分脊椎。股関節の屈曲が可能である。図のようにズボンをはくことができる最も上位レベルのSharrardの分類はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Sharrardの分類において、股関節屈曲が可能となるのは上位腰髄レベル(L2-3)に相当するⅡ群からであり、この機能があれば、図のように座位でズボンを履く動作を行うことができます。設問は「最も上位レベル」を問うているため、Ⅱ群が適切です。Ⅲ群以上ではさらに多くの筋機能が加わりますが、ズボンを履くという動作自体はⅡ群で達成可能なため、Ⅱ群がこの動作における最も障害レベルが高い(残存機能が少ない)分類となります。
選択肢ごとの解説
- 1. Ⅰ群は仙髄レベルの機能障害であり、股関節の屈曲は困難です。このレベルでは、大臀筋やハムストリングスなどの股関節伸展筋が麻痺しており、股関節屈曲も部分的にしか保たれていないか、あるいは全くできないことが多いです。正しくは:股関節の屈曲が可能であるという条件と一致しません。選びやすい理由:Sharrard分類の初期段階であるため、症状が重い場合に選択されがちですが、股関節屈曲が可能という設問の条件と矛盾します。混同注意:他の重度な麻痺群と混同しやすいですが、股関節屈曲の有無が重要な判断基準です。
- 2. 正解。Ⅱ群は上位腰髄レベル(L2-3)の機能が保たれており、腸腰筋が活動するため股関節の屈曲が可能です。この能力があれば、ベッドに座った状態でズボンを引き上げる動作を行うことができます。
- 3. Ⅲ群は中位腰髄レベル(L3-4)の機能が保たれており、股関節屈曲に加えて、膝関節伸展(大腿四頭筋)や股関節内転(内転筋群)の機能も獲得しています。ズボンを履く動作はⅡ群でも可能であるため、最も上位レベルとは言えません。正しくは:股関節屈曲のみが言及されている点で、Ⅱ群が最も上位レベルの条件に合致します。Ⅲ群ではさらに多くの筋機能が加わります。選びやすい理由:Ⅱ群よりも高位の機能があるため、さらにできることが多いと誤解されがちですが、ズボンを履く動作自体はⅡ群でも可能です。混同注意:Ⅲ群では膝伸展が可能である点が特徴的ですが、股関節屈曲が可能という情報のみではⅡ群との区別がつきにくいかもしれません。
- 4. Ⅳ群は下位腰髄レベル(L4-5)の機能が保たれており、股関節屈曲、膝関節伸展に加え、足関節の背屈も可能です。ズボンを履く動作はⅡ群でも可能であるため、最も上位レベルとは言えません。正しくは:このレベルでは股関節屈曲以外の多くの機能も保たれているため、設問の「最も上位レベル」の限定条件には合いません。選びやすい理由:より多くの機能が残存しているため、選択肢として魅力的ですが、設問は「ズボンを履くことができる最も上位レベル」を尋ねています。混同注意:足関節背屈が可能である点が特徴的ですが、股関節屈曲が可能という情報のみではⅡ群との区別がつきにくいかもしれません。
- 5. Ⅴ群は仙髄レベル(S1-2)の機能が保たれており、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈に加え、足関節底屈や股関節伸展も可能です。ズボンを履く動作はⅡ群でも可能であるため、最も上位レベルとは言えません。正しくは:ほぼ健常に近い機能を有するため、設問の「最も上位レベル」の限定条件には合いません。選びやすい理由:最も高機能な分類であるため、一般的には良い状態と捉えられがちですが、設問の条件に合致する「最も上位レベル」ではありません。混同注意:仙髄レベルの機能が保たれている点が特徴的ですが、股関節屈曲が可能という情報のみではⅡ群との区別がつきにくいかもしれません。
国試ポイント
この問題は、二分脊椎のSharrardの分類と、各レベルで残存する筋機能、およびそれが日常生活動作(ADL)にどう影響するかを理解しているかを問うものです。特に、与えられたADL動作がどの機能レベルで達成可能か、そして「最も上位レベル(=最も障害が重いレベル)」という条件を正しく解釈できるかが重要です。
混同注意
Sharrardの分類における各群の正確な筋機能とそのADLへの影響、特に「最も上位レベル」という表現が、より高位の分類と誤解されやすい点。また、Sharrard分類とASIA分類などの他の脊髄損傷の分類との混同も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、各Sharrard分類で可能なADLの例(歩行能力の有無、装具の必要性など)や、具体的な残存筋の組み合わせ(例:L4-5で可能な足関節の動き)に着目して問題が作成される可能性があります。また、「最も下位レベル(=最も障害が軽いレベル)」といった表現にも注意が必要です。
関連知識
二分脊椎の解剖学(病変部位と神経支配)、脊髄損傷レベルと残存筋機能の関連、主要な関節運動とそれに必要な筋群、Sharrard分類(I〜V群)の詳細、および各群で可能な主要なADL(例:起立、歩行、車椅子駆動など)。