橈骨遠位端骨折におけるリハビリテーション治療について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
橈骨遠位端骨折後の浮腫管理は、疼痛軽減、関節拘縮予防、ひいては早期の機能回復に不可欠です。患肢を心臓より高く保持することは、重力を利用して浮腫を軽減する最も基本的な方法の一つであり、就寝時だけでなく日中も積極的に指導されます。
選択肢ごとの解説
- 1. ギプス固定期間中から、ギプスで固定されていない関節(肩、肘、手指)の運動や浮腫対策などのリハビリテーションを開始することが一般的であり、推奨されます。ギプス除去後に初めて開始するのでは遅すぎます。正しくは:ギプス固定中から、非固定部位の運動や浮腫対策などを開始する。選びやすい理由:ギプスが外れてからが本格的なリハビリ、というイメージから選びやすいかもしれません。混同注意:「本格的な関節可動域訓練」と「全体的なリハビリテーション開始時期」を混同しやすいです。
- 2. 正解。橈骨遠位端骨折では、患部の腫脹(浮腫)を軽減することが重要です。就寝時に患肢を高挙することで、重力により血液やリンパ液の貯留を防ぎ、腫脹を抑える効果が期待できます。これにより疼痛の軽減や関節拘縮の予防につながります。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:特になし。正しい選択肢です。
- 3. 骨癒合が確認されたとしても、すぐにスポーツに復帰させるのは適切ではありません。十分な筋力、関節可動域、巧緻性、痛みの管理、そして機能的な安定性が確保されてから、段階的に復帰させる必要があります。焦って復帰すると再負傷のリスクが高まります。正しくは:骨癒合後も、十分な機能回復を確認し、段階的にスポーツ復帰を検討する。選びやすい理由:骨が治れば全てOK、と考えがちですが、機能的な回復には時間が必要です。混同注意:「骨癒合」と「機能的な回復」を混同しやすいです。
- 4. 橈骨遠位端骨折における変形治癒、特に掌側傾斜角や橈骨傾斜角の変化、尺骨短縮などは、手関節の可動域制限、握力低下、疼痛、遠位橈尺関節の機能障害など、機能回復に悪影響を及ぼす可能性があります。正しくは:変形治癒は機能回復に影響を及ぼす可能性がある。選びやすい理由:軽度の変形なら大丈夫、と思いがちですが、骨折部位によっては小さな変形でも機能に大きく影響します。混同注意:「審美的な問題」と「機能的な問題」を混同しやすいです。
- 5. 高齢者は若年者に比べて、骨密度の低下(骨粗鬆症)、全身状態の合併症(糖尿病など)、回復力の低下、活動量の低下など、様々な要因により機能回復が遅延しやすい傾向にあります。これらはリハビリテーションの進行に影響を与えます。正しくは:加齢は機能回復を遅らせる要因となる。選びやすい理由:年齢に関わらずリハビリは重要、という考えから選びやすいかもしれませんが、加齢は医学的に回復に影響します。混同注意:「リハビリの重要性」と「加齢が及ぼす生物学的な影響」を混同しやすいです。
国試ポイント
橈骨遠位端骨折の急性期から回復期における基本的なリハビリテーション管理の知識が問われています。特に浮腫管理の重要性と具体的な方法、リハビリテーションの開始時期、スポーツ復帰の段階性、変形治癒が機能に及ぼす影響、そして年齢という因子の影響について、多角的に理解しているかを確認する問題です。
混同注意
ギプス固定期間中のリハビリの範囲(非固定関節の運動)と、ギプス除去後の本格的なリハビリの開始時期を混同しやすく、また、骨癒合と機能回復が同一視されがちです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、橈骨遠位端骨折のリハビリテーションで最も優先すべき事項や、各時期(固定中、固定除去直後、回復期)に応じた具体的な介入内容、合併症(RSD/CRPSなど)への対応について問われる可能性があります。また、骨折の種類(コレス骨折、スミス骨折など)によるリハビリの違いも重要です。
関連知識
橈骨遠位端骨折の病態生理(骨癒合期間、変形治癒の種類と影響)、浮腫の機序と管理方法(高挙、運動、圧迫)、各リハビリテーション段階(急性期、亜急性期、慢性期)における目標と内容、リスク管理(再骨折、疼痛、複合性局所疼痛症候群など)。