亜急性期の統合失調症患者への作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
統合失調症の亜急性期は、急性期の症状が軽減し、精神状態が安定し始める段階です。この時期の作業療法では、患者さんが病気と向き合い、回復に向けて前向きに取り組めるよう支援することが重要となります。心理教育は、病気への理解を深め、今後の生活の見通しを立てる上で非常に有効な介入であり、主体的な自己管理能力の向上や再発予防にも繋がります。一方で、急激な行動拡大、身体的負荷の大きい活動の導入、妄想の直接的な訂正、過度な対人交流の要求は、患者さんに負担をかけ、症状の悪化や治療関係の阻害につながるリスクがあるため、避けるべき介入とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 統合失調症の亜急性期では、患者さんの状態はまだ不安定なことが多いです。焦って行動範囲を急激に広げようとすると、患者さんに過度のストレスを与え、症状の悪化や再燃を招くリスクがあります。段階的かつ、患者さんのペースに合わせた介入が重要です。正しくは:患者さんの行動可能な範囲を、症状や反応を観察しながら段階的に広げていく。選びやすい理由:回復期に向かう段階なので、活動性の向上を促すことが重要だと誤解しやすい。混同注意:病状が安定し、社会復帰を目指す回復期・慢性期における積極的な行動範囲拡大の目標設定。
- 2. 亜急性期の患者さんは、精神的な不安定さに加え、意欲の低下や身体的な疲労感を伴うことが少なくありません。このような状況で身体負荷の高い活動から始めると、患者さんの負担が大きく、挫折感につながる可能性があります。まずは身体的負担の少ない、取り組みやすい活動から開始し、徐々に強度を上げていくのが適切です。正しくは:身体に負担の少ない、穏やかな活動から開始する。選びやすい理由:身体活動が精神状態の改善に繋がるという一般的な認識から、早期導入を考える。混同注意:うつ病など、身体活動が有効な疾患の急性期介入、または身体リハビリテーションでの筋力強化など。
- 3. 妄想を直接的に否定したり、誤りだと指摘したりする行為は、患者さんの苦痛や不安を増大させ、作業療法士への不信感につながる可能性が高いです。妄想の内容に深く立ち入るのではなく、患者さんの感情に寄り添い、妄想によって生じる苦痛や現実生活への影響について焦点を当てて関わることが重要です。正しくは:患者さんの妄想の内容ではなく、妄想によって生じる患者さんの感情や生活への影響に焦点を当てて関わる。選びやすい理由:患者さんの誤った認識を是正することが治療の一環だと捉えがちである。混同注意:現実検討能力を高めるための介入(ただし、直接的な否定ではない)。
- 4. 正解。亜急性期は病状が比較的安定し、患者さんが自身の病気について理解を深めやすい時期です。心理教育を通じて、統合失調症の病気や薬物療法、回復のプロセス、再発予防の方法などを学ぶことで、患者さん自身が病気との付き合い方を理解し、主体的にリハビリテーションや自己管理に取り組む意欲を高めることができます。回復への具体的なイメージを持つことは、治療へのモチベーション維持にもつながります。選びやすい理由:これは適切な対応であるため、他の選択肢のような引っ掛け要素は少ない。病気の理解と受容を促す重要な介入である。混同注意:症状が不安定な急性期に、回復について説明しても理解や受容が難しい場合があること。
- 5. 統合失調症の亜急性期にある患者さんは、対人関係において不安や苦手意識を抱えていることが多いです。急に多くの対人交流を求める活動を提供すると、患者さんに過度な負担がかかり、ストレスや拒否感につながる可能性があります。まずは、一人で取り組める活動や、少人数での並行作業など、比較的負担の少ない活動から始め、患者さんの状態に合わせて徐々に対人交流を含む活動を増やしていくのが適切です。正しくは:患者さんのペースに合わせて、対人交流が必要となる活動を段階的に提供する。選びやすい理由:社会性の回復には対人交流が不可欠であると考えるが、そのペースや量に対する配慮が欠けている。混同注意:病状が十分に安定した回復期や社会復帰期における、より積極的な社会活動への参加促進。
国試ポイント
統合失調症の病期(急性期、亜急性期、慢性期)に応じた作業療法介入の適切性が問われます。特に亜急性期では、焦らず段階的に進めること、心理教育や自己管理の支援が重要であること、そして妄想への直接的な介入を避けることなどがポイントとなります。
混同注意
急性期の介入(症状の安定が最優先)と混同しやすい。また、回復期・慢性期におけるより積極的な社会復帰支援の介入と、亜急性期における導入期の介入を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『病期(亜急性期)』のキーワードから、患者の状態がまだ不安定であること、かつ回復に向けた準備期間であることを捉えます。次に、介入が『段階的であるか』、『患者の負担を考慮しているか』、『症状への直接的な否定を避けているか』、『病気の理解を深める支援になっているか』といった視点から各選択肢を評価すると、適切な選択肢を選びやすくなります。
関連知識
統合失調症の病態生理、薬物療法、精神科リハビリテーションの原則、精神疾患に対する心理教育の意義、段階的なアプローチの重要性、作業療法における治療的関係の構築。