筋萎縮性側索硬化症について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が進行性に障害される神経変性疾患です。上位運動ニューロン障害の症状として、痙縮や深部腱反射の亢進、病的反射(バビンスキー徴候など)が見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. ALSでは運動神経のみが選択的に障害されるため、一般的に感覚障害は現れません。正しくは:ALSでは通常、感覚機能の障害はみられません。選びやすい理由:神経系の疾患であるため、運動だけでなく感覚も影響を受けると誤解されやすいです。混同注意:多発性硬化症や脊髄損傷など、感覚障害を伴う他の神経疾患と混同されることがあります。
- 2. ALSの診断基準の一つとして、下位運動ニューロン障害の徴候である筋の線維束性攣縮が頻繁に観察されます。正しくは:筋の線維束性攣縮がしばしば見られます。選びやすい理由:線維束性攣縮が必ずしも全ての患者に出現するわけではないため、ない場合もあると誤解されやすいです。混同注意:線維束性攣縮という専門用語自体が覚えにくく、その有無がALSの重要な症状であることを見落としがちです。
- 3. ALSでは神経再支配の過程で運動単位の活動電位が変化し、針筋電図検査で多相性電位(多相波)や高振幅・長持続の運動単位電位(MUP)が観察されることがあります。正しくは:針筋電図検査で多相性電位が記録されることがあります。選びやすい理由:針筋電図の所見が複雑で、多相性電位が必ずしも全ての運動単位に見られるわけではないため、出ないと誤解されることがあります。混同注意:筋原性変化(低振幅・短持続)や正常所見と混同しやすく、神経原性変化の具体的な所見を覚えていないと間違えやすいです。
- 4. ALSは、大脳皮質の錐体細胞(上位運動ニューロン)と脳幹・脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞を含む下位運動ニューロン)が進行性に変性・脱落する疾患です。正しくは:脊髄前角細胞に病変が認められます。選びやすい理由:「側索硬化症」という病名から、脊髄の側索のみが障害されると誤解されがちですが、前角細胞も障害されます。混同注意:脊髄の構成要素(前角、側索、後角など)と、それぞれが担う機能(運動、感覚など)の関連性を十分に理解していないと間違えやすいです。
- 5. 正解。ALSは、上位運動ニューロン(大脳皮質の錐体細胞)と下位運動ニューロン(脳幹・脊髄の運動神経細胞)の両方が障害される疾患です。上位運動ニューロン障害による痙縮、深部腱反射亢進、病的反射などが特徴です。選びやすい理由:この選択肢は疾患の核となる特徴を直接的に述べているため、正解しやすいですが、他の選択肢が微妙な誤りを含んでいるため、見分けが必要です。混同注意:下位運動ニューロン障害の症状(筋力低下、筋萎縮、線維束性攣縮)ばかりに注目してしまい、上位運動ニューロンの関与を見落とすことがあります。
国試ポイント
ALSの基本的な病態生理、特に上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が障害されることを理解しているか、またそれらの障害による臨床症状を把握しているかが問われています。感覚障害の有無や針筋電図所見など、鑑別診断に関連する知識も重要です。
混同注意
ALSの診断基準で、上位と下位運動ニューロンの障害が必須である点を理解していないと、下位運動ニューロン障害のみ、あるいは上位運動ニューロン障害のみと誤解することがあります。また、他の運動ニューロン疾患(例:進行性筋萎縮症、原発性側索硬化症)との鑑別も知識として重要です。
次に同じ論点が出たら
今後ALSに関する問題が出題された場合、疾患の進行度に応じた症状の変化、病型分類(球麻痺型、四肢麻痺型など)、嚥下障害や呼吸障害に対するリハビリテーション介入、コミュニケーション支援、終末期ケアといった実践的な側面が問われる可能性があります。
関連知識
運動ニューロン疾患の分類、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の具体的な症状と鑑別、針筋電図の神経原性変化所見、ALSの診断基準(El Escorial criteriaなど)、ALSの治療法(リルゾールなど)。