転移性骨腫瘍で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
造骨性転移は、骨形成が促進され、骨密度が増加する形態の骨転移です。溶骨性転移のように骨が破壊されて脆弱化するわけではないため、病的骨折のリスクは溶骨性転移に比べて低いとされています。しかし、増殖した骨組織が必ずしも正常な骨強度を持つわけではないため、骨折のリスクがゼロになるわけではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 転移性骨腫瘍は、胸椎や腰椎などの脊椎、骨盤、大腿骨近位部など、血液供給が豊富な体幹骨や四肢の近位部に好発します。頭蓋骨への転移も起こり得ますが、最も好発する部位ではありません。正しくは:転移性骨腫瘍は、脊椎や骨盤、大腿骨近位部などに好発します。選びやすい理由:頭蓋骨は体幹に近い部位であり、転移が全く起こらないわけではないため、一見正しい選択肢に見えるかもしれません。しかし、「好発」という点ではより発生頻度の高い部位があります。混同注意:原発性脳腫瘍と混同したり、がんが転移しやすい部位全体のイメージと混同したりする可能性があります。
- 2. 前立腺癌の骨転移は、骨形成を促進する「造骨性転移」が特徴的です。溶骨性転移は、骨破壊を引き起こすものであり、前立腺癌では稀です。正しくは:前立腺癌では造骨性転移が多いです。選びやすい理由:多くのがんが溶骨性転移を起こすため、前立腺癌もそうだと誤解しやすいかもしれません。混同注意:乳癌などの他の癌種による骨転移のパターン(溶骨性や混合性)と混同する可能性があります。
- 3. 転移性骨腫瘍による骨破壊(溶骨性転移)では、骨からカルシウムが血液中に放出されるため、高カルシウム血症を合併することが一般的です。低カルシウム血症は稀です。正しくは:高率に高カルシウム血症をきたすことがあります。選びやすい理由:病的な状態では「低」という言葉がよく使われるため、引っかかりやすいかもしれません。また、腎不全など他の病態による電解質異常と混同する可能性もあります。混同注意:甲状腺機能低下症や腎不全によるカルシウム代謝異常、あるいは一般的に「病気=低栄養状態」といった誤った連想と混同する可能性があります。
- 4. 転移性骨腫瘍による疼痛管理の第一選択は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン、またはオピオイド鎮痛薬などの薬物療法です。温熱療法は補助的な治療として用いられることがありますが、第一選択ではありません。正しくは:痛みには薬物療法が第一選択となります。選びやすい理由:温熱療法は一般的な疼痛緩和手段として知られているため、癌性疼痛にも効果的だと誤解しやすいかもしれません。しかし、癌性疼痛の管理はより専門的で段階的なアプローチが必要です。混同注意:筋骨格系の一般的な疼痛(例:腰痛、肩こり)に対する物理療法と、癌性疼痛に対する治療法を混同する可能性があります。
- 5. 正解。造骨性転移は、骨組織が増加し、骨密度が高まることで骨硬化像を呈します。これにより骨が強化されるため、溶骨性転移と比較して病的骨折のリスクは低くなります。ただし、骨の構造自体は正常ではないため、全く骨折しないわけではありません。選びやすい理由:骨が増えるからといって完全に骨折しないわけではない、という点で迷うかもしれませんが、「比較的少ない」という表現がポイントです。
国試ポイント
転移性骨腫瘍の病態、特に溶骨性転移と造骨性転移の違い、合併症、疼痛管理の基本について問う問題です。各癌種の特徴的な転移様式とそれによる影響を理解しているかが重要です。
混同注意
各癌種(乳癌、前立腺癌など)による骨転移の様式(溶骨性、造骨性、混合性)と、それによって引き起こされる合併症(高カルシウム血症、病的骨折)の関連性が混同されやすいです。また、一般的な疼痛管理と癌性疼痛管理の違いも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、主要ながん種とその骨転移のパターン(溶骨性/造骨性)、それらに伴う主な合併症(高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫など)について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
転移性骨腫瘍の好発部位、主な原因癌(乳癌、肺癌、前立腺癌など)、溶骨性転移と造骨性転移の機序と特徴、高カルシウム血症の症状と治療、病的骨折のリスク管理、癌性疼痛に対する薬物療法(WHO方式癌性疼痛治療ガイドライン)など。