42歳の女性。最近、手の震え、歩行時のふらつきがひどくなり、神経内科を受診した。精査の結果、脊髄小脳変性症と診断された。頭部MRI(別冊No. 1)を別に示す。頭部MRIの画像で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄に神経細胞の変性・脱落が起こり、萎縮をきたす疾患です。特に小脳虫部や小脳半球の萎縮は特徴的で、画像④では小脳の溝が拡大し、全体的に萎縮している所見が認められ、これが42歳女性の振戦や歩行時の不安定さといった症状と合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. この画像では小脳に明らかな萎縮所見は認められず、健常脳に近い画像です。正しくは:小脳に萎縮所見(小脳溝の拡大、脳幹の萎縮など)を認める画像が適切です。選びやすい理由:一見すると異常がないように見えるため、他の選択肢に比べ病変が分かりにくい場合に選択されやすいかもしれません。混同注意:健常脳のMRI画像。小脳萎縮の見慣れない受験生は正常と判断してしまう可能性があります。
- 2. この画像では小脳の萎縮は軽度であり、脊髄小脳変性症の特徴的な所見としては不十分です。正しくは:より顕著な小脳萎縮を伴う画像が適切です。選びやすい理由:わずかな萎縮に見えるため、判断に迷う可能性があります。混同注意:初期の小脳萎縮と、正常範囲内の個体差。
- 3. この画像では右小脳半球にFLAIR高信号を呈する脳腫瘍様の病変が認められます。これは脊髄小脳変性症の画像所見とは異なります。正しくは:右小脳半球の病変は脳腫瘍や脳炎などを示唆する可能性があり、脊髄小脳変性症では通常見られません。選びやすい理由:異常所見があるため、何らかの神経疾患を疑う思考になりやすいですが、病変の性質が異なります。混同注意:小脳病変全般。
- 4. 正解。画像④では小脳全体が萎縮しており、特に小脳溝の拡大が顕著です。これは脊髄小脳変性症でみられる典型的な画像所見です。症例の振戦や歩行時の不安定さといった小脳症状と合致します。選びやすい理由:小脳萎縮の程度がはっきりと見て取れるため、脊髄小脳変性症の診断と結びつけやすいです。混同注意:特になし。典型的な所見です。
- 5. この画像では右小脳半球に嚢胞を伴うような大きな腫瘤性病変が認められます。これは脊髄小脳変性症の画像所見とは明らかに異なります。正しくは:右小脳半球の病変は脳腫瘍(例えば毛様細胞性星細胞腫など)を示唆する可能性があり、脊髄小脳変性症とは異なります。選びやすい理由:非常に目立つ異常所見があるため、深刻な病態を連想させやすいですが、脊髄小脳変性症の病態とは一致しません。混同注意:小脳の占拠性病変。
国試ポイント
脊髄小脳変性症の頭部MRIにおける特徴的な画像所見(小脳萎縮)を理解する。
混同注意
小脳萎縮は他の疾患でも見られますが、症例の症状(振戦、歩行時の不安定さ)と組み合わせることで診断の方向性が定まります。急性期の脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などとの鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず症例の症状から小脳機能障害を疑い、次にMRI画像で小脳の萎縮所見(特に小脳溝の拡大、テント上腔の拡大)があるかを確認して判断します。
関連知識
脊髄小脳変性症は多系統萎縮症の一部として分類されることもあり、病型によって萎縮部位や症状が異なります。遺伝性の場合もあるため、家族歴の聴取も重要です。