筋萎縮性側索硬化症の機能的予後を示しているのはどれか。縦軸は機能、横軸は時間を示す。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
筋萎縮性側索硬化症は進行性の疾患で、機能は時間とともに持続的に低下します。リハビリテーションを行っても低下の進行を止めることはできず、機能を一時的に保つ程度にとどまるため、自然経過・リハビリテーション施行後の経過ともに右下がりとなる1が機能的予後を示しています(公式正答1)。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。自然経過は持続的に低下し、リハビリテーションを行っても低下の程度がやや緩やかになるだけで右下がりが続く経過で、進行性疾患である筋萎縮性側索硬化症の機能的予後に合致します。選びやすい理由:Zancolli分類の各レベルの定義が曖昧だと、手の具体的な動きとレベルを正確に結びつけられないため。混同注意:C5レベルとC6レベルの機能の違い。C5は肘屈曲までで手関節伸展機能はない。
- 2. 増悪と部分的な回復を繰り返しながら段階的に低下する経過で、再発と寛解を繰り返す疾患の経過を示しています。筋萎縮性側索硬化症は再発・寛解を繰り返さずに進行します。正しくは:Zancolli分類レベル2は、上腕三頭筋と総指伸筋が機能するC7レベルに相当し、肘伸展と手指伸展が可能である。手指の屈曲拘縮がある本症例はこれに該当しない。選びやすい理由:より上位の機能を持つ選択肢として、患者の状態を過大評価する可能性があるため。混同注意:手指の屈曲拘縮がある状態での残存機能の解釈。
- 3. 急激に機能が低下した後、回復して一定の水準で安定する経過で、急性発症後に回復する疾患の経過を示しています。正しくは:Zancolli分類レベル3は、深指屈筋と浅指屈筋が機能するC8レベルに相当し、指屈曲が可能である。手指の屈曲拘縮がある本症例はこれに該当しない。選びやすい理由:日常生活動作の改善度合いから、より高機能なレベルを連想しやすいため。混同注意:指の屈曲拘縮と、指の随意的な屈曲機能の有無。
- 4. 急激に機能が低下した後、時間とともに回復していく経過で、急性発症後に改善していく疾患の経過を示しています。正しくは:Zancolli分類レベル4は、小指外転筋などの手指内在筋が機能するT1レベルに相当し、手指の巧緻性が向上する。手指の屈曲拘縮がある本症例はこれに該当しない。選びやすい理由:完全損傷でない可能性や、代償動作の巧みさから、より高機能なレベルを選んでしまう可能性があるため。混同注意:手指の屈曲拘縮の程度とその機能への影響の評価。
- 5. 急激に機能が低下した後、回復がほとんどみられない経過で、急性の重度損傷後の経過を示しています。正しくは:Zancolli分類レベル5は、健常者とほぼ同等の手指機能を持つレベルであり、頸髄完全損傷で手指の屈曲拘縮がある本症例はこれに該当しない。選びやすい理由:Zancolli分類の最高レベルという点に惹かれ、患者の年齢や社会生活への適応を過度に評価してしまうため。混同注意:健常者と麻痺患者の機能の違いを明確に区別できない場合がある。
国試ポイント
Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における各レベルと残存筋機能の関連を理解する。
混同注意
Zancolli分類と国際脊髄損傷学会(ASIA)分類の混同。Zancolli分類は機能的評価に重点を置くのに対し、ASIA分類は感覚・運動レベルによる神経学的損傷レベルの評価である。
次に同じ論点が出たら
次に出題された場合は、問題文中の患者の残存筋機能や代償動作に注目して、Zancolli分類のどのレベルに該当するかを判断する。
関連知識
C5レベル:三角筋、上腕二頭筋残存。肘屈曲可。C6レベル:橈側手根伸筋、上腕筋残存。手関節伸展可。C7レベル:上腕三頭筋、総指伸筋残存。肘伸展、指伸展可。C8レベル:深指屈筋、浅指屈筋残存。指屈曲可。T1レベル:小指外転筋残存。手指内在筋の機能。