43歳の男性。統合失調症。幻聴と妄想が消失せず9年間の入院生活を送っていたが、入院患者の地域生活移行を進める方針の下、地域のアパートを借りて退院することになった。そこで、本人の地域生活を支えるため、作業療法士、看護師、精神保健福祉士、医師らがチームを組み、24時間365日体制で相談や訪問のサービスを開始した。このサービスに該当するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Assertive Community Treatment (ACT)は、重度精神疾患を持つ患者が地域で安定した生活を送ることを目指し、精神科医、看護師、作業療法士、精神保健福祉士などの多職種チームが24時間365日体制で、患者の自宅や地域に赴き、包括的な支援(服薬管理、症状管理、生活技能訓練、危機介入、就労・住居支援など)を提供するアウトリーチ型サービスです。設問の事例は、このACTの定義と特徴に完全に合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Assertive Community Treatment (ACT)は、重度精神疾患を持つ人々が地域で生活を続けられるよう、24時間体制で多職種チームによる集中的な訪問支援を提供する包括的なサービスです。設問の状況(重度統合失調症、長期入院、地域移行、多職種チーム、24時間365日体制の相談・訪問サービス)に完全に合致します。
- 2. IMRは、疾患の自己管理能力を高め、リカバリーを促進するための教育プログラムであり、具体的な介入として、疾病管理、社会生活技能訓練、健康な習慣、支援システムの利用などに取り組みますが、24時間365日の訪問支援サービスそのものを指すものではありません。正しくは:IMRは、疾病の自己管理と回復を目指すための教育的プログラムです。設問のような24時間体制の訪問支援サービスではありません。選びやすい理由:精神疾患患者の地域生活支援の一環であるため、関連する概念として迷う可能性があります。混同注意:ACTとIMRはどちらも精神疾患患者の地域生活支援に関連しますが、ACTは包括的な多職種による訪問支援サービス全体を指し、IMRはその中で用いられる自己管理・回復促進のための教育的アプローチという点で異なります。
- 3. IPSは、精神障害のある人の就労支援に特化したプログラムです。競争的な雇用への直接的な配置を重視し、個別性、早期開始、統合された支援などが特徴ですが、24時間体制の地域生活全般にわたる相談・訪問サービスではありません。正しくは:IPSは、精神障害のある人の就労支援に特化したモデルです。選びやすい理由:地域生活支援の一部としての就労支援であるため、選択肢として関連性があると感じるかもしれません。混同注意:ACTが地域生活全般の包括的支援であるのに対し、IPSは就労支援に特化しています。どちらも地域移行支援の一要素ではありますが、カバーする範囲が異なります。
- 4. Intentional Peer Support (IPS)は、精神疾患の経験者であるピアサポーターが、自身の経験を活かして他の当事者をサポートする活動・関係性を指します。これは専門職による24時間体制のチーム支援とは異なります。正しくは:Intentional Peer Support (IPS)は、ピアサポーターによる支援活動を指します。選びやすい理由:IPSという略語がChoice 3と同じため、混同しやすい。また、地域支援にピアサポートも含まれるため、関連性があると感じるかもしれません。混同注意:Individual Placement and Support (IPS)とIntentional Peer Support (IPS)は同じ略語を持ちますが、内容は全く異なります。前者は就労支援、後者はピアサポートの概念です。設問の多職種チームによる24時間サービスとは異なります。
- 5. WRAPは、個人のウェルネス維持とリカバリーのための自己管理計画を作成するツールであり、プロセスです。危機対応計画なども含みますが、多職種チームが24時間体制で訪問・相談サービスを提供する具体的なサービスモデルを指すものではありません。正しくは:WRAPは、個人のウェルネスとリカバリーのための自己管理計画を作成するプロセスです。選びやすい理由:精神疾患のリカバリーに関連するため、選択肢として魅力的ですが、サービスモデルそのものを指すものではありません。混同注意:ACTが包括的なサービスモデルであるのに対し、WRAPは個人がリカバリーのために利用するツールや計画作成プロセスです。IMRと似て、ACTのようなサービスの中で活用されることがあります。
国試ポイント
精神科リハビリテーションにおける様々な地域支援サービスやプログラムの名称とその内容を正確に理解しているかが問われています。特に、重度精神疾患患者に対する多職種による集中的なアウトリーチ支援の代表例であるACTの知識が必須です。
混同注意
ACT、IMR、IPS、WRAPなど、精神科リハビリテーションに関連する略語が多数あり、それぞれがどのようなサービスやプログラムを指すのかを正確に区別することが重要です。特にIPSには2つの異なる概念があり、注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、事例の内容(支援対象者の重症度、提供されるサービスの形態、関わる職種、支援の時間的・地理的範囲)から、最も適切な地域支援モデルを選択できるかが重要になります。特に、アウトリーチ型で包括的かつ集中的な支援であることを示すキーワードに注目してください。
関連知識
ACTの構成要素(多職種チーム、24時間365日対応、アウトリーチ型、個別性、包括的支援など)、IMRの目的(疾患管理、リカバリー促進)、IPSのモデル(就労支援特化)、WRAPの活用方法(自己管理計画)、ピアサポートの役割など。