統合失調症の回復過程の急性期における作業療法として適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
統合失調症の急性期では、幻覚や妄想といった陽性症状が顕著であり、患者は現実との乖離を経験しています。この時期の作業療法の主な目的は、患者に安心できる環境を提供し、現実とのつながりを少しずつ取り戻せるよう支援することです。刺激の少ない個別活動や、安心できる治療者との関係を通じて、非現実的な体験から現実世界へと移行する準備を促します。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性期においては、不安や興奮が強く、自己の身体感覚への意識付けは困難であるか、または刺激となりうるため、主な介入目標にはなりません。これは主に慢性期や回復期において、自己認識の再構築や安定化を目指す中で行われることがあります。正しくは:統合失調症の急性期では、身体感覚の再認識よりも、まずは精神的な安定と安全な環境の提供が優先されます。選びやすい理由:身体感覚へのアプローチは作業療法において重要ですが、急性期の患者さんの状態を考慮すると、最優先とは言えません。混同注意:他の精神疾患における身体アプローチや、統合失調症の慢性期・回復期のリハビリテーションと混同しやすいです。
- 2. 正解。統合失調症の急性期では、幻覚や妄想といった陽性症状が顕著であり、患者は非現実的な体験の中にいます。作業療法では、安全で安心できる環境を提供し、患者が現実世界とのつながりを少しずつ取り戻せるよう、刺激の少ない活動や安定した対人関係を通じて支援することが重要です。
- 3. 身辺処理能力(食事、排泄、清潔保持など)の回復は重要ですが、統合失調症の急性期においては、その基礎となる精神症状の安定が最優先されます。身辺処理能力への介入は、症状が安定し、患者が参加可能な状態になってから、より焦点的に行われる回復期・維持期の目標となります。正しくは:統合失調症の急性期では、まずは精神症状の安定を最優先し、身辺処理能力の回復は回復期以降の目標となります。選びやすい理由:日常生活動作の維持・改善は作業療法の基本的な役割であり、一見適切に見えます。しかし、急性期の状態では、患者がこれらの活動に集中したり、参加したりすることが困難な場合が多いです。混同注意:脳血管疾患や認知症など、他の疾患におけるADL訓練と混同しやすいです。統合失調症の回復期における生活技能訓練とも異なります。
- 4. 生活管理能力(金銭管理、服薬管理、スケジュール管理など)の改善は、社会復帰を目指す上で非常に重要ですが、急性期においては幻覚や妄想などの症状により思考が混乱しており、これらの複雑なタスクに取り組むことは困難です。これは主に回復期や維持期に行われる目標です。正しくは:統合失調症の急性期では、生活管理能力の向上よりも、まず精神症状の安定と安全な環境の確保が優先されます。選びやすい理由:社会生活技能訓練の一環として重要ですが、急性期の状態を考慮すると時期尚早です。混同注意:回復期や維持期に行われるSST(社会生活技能訓練)や、地域生活移行支援における介入と混同しやすいです。
- 5. 対人交流技能の改善は、社会参加やQOL向上に不可欠ですが、統合失調症の急性期では、強い不安、不信感、幻覚・妄想の影響により、他人との交流が困難であるか、過度な刺激となり得ます。まずは精神的な安定と、安全で信頼できる関係性の構築が優先され、対人交流技能の訓練は症状が安定した回復期以降に行われます。正しくは:統合失調症の急性期では、対人交流技能の改善よりも、まずは安心できる人間関係の構築と精神症状の安定が優先されます。選びやすい理由:集団活動や交流は作業療法の重要な要素ですが、急性期の患者さんにとって、刺激が強すぎたり、適切でなかったりする可能性があります。混同注意:回復期以降に行われるグループ活動やSST(社会生活技能訓練)と混同しやすいです。
国試ポイント
統合失調症の病期ごとの症状の特徴と、それに合わせた作業療法介入の目標を理解しているか問う問題です。特に、急性期の患者の状態を把握し、優先すべき介入を判断する能力が求められます。
混同注意
各選択肢は、統合失調症の回復過程のいずれかの段階で重要となる要素であるため、それぞれの病期に合わせた適切な介入を区別できないと誤答につながりやすいです。特に、回復期や維持期に行われる介入と急性期の介入を混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この問題で理解を深めたら、統合失調症の回復期や維持期における作業療法の具体的内容、および他の精神疾患(例:うつ病、認知症)の急性期における作業療法について学習を進めると良いでしょう。
関連知識
統合失調症の病期分類(前兆期、急性期、消耗期、回復期、維持期)、各病期における主要症状と患者の状態、および作業療法の治療原則と介入方法(環境調整、個別対応、集団療法、生活技能訓練など)。