アルコール依存症の治療について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
アルコール依存症の治療においては、患者本人だけでなく、家族が病気を理解し、適切なサポートを提供できるようになることが極めて重要です。心理教育は、病気のメカニズム、飲酒問題が家族に与える影響、回復へのプロセスなどを学び、家族全体の機能を改善し、再発予防に貢献するため有効な介入とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アルコール依存症の治療において、病気の理解を深め、適切な対処法を学ぶための心理教育は、本人だけでなく家族にとっても非常に重要であり、再発予防や回復支援に有効とされています。
- 2. 急性期の離脱症状が強く出ている時期は、身体的・精神的に不安定であり、作業療法の実施は困難なことが多いです。作業療法は、離脱症状が安定し、回復期に入ってから、生活リズムの再構築や社会参加に向けた活動として導入されるのが一般的です。正しくは:作業療法は、離脱症状が安定し、回復期に入ってから導入します。選びやすい理由:早期介入が重要という認識から、離脱導入期からすぐに介入すべきと考えてしまうかもしれませんが、患者の状態安定が優先されます。混同注意:急性期治療と回復期治療の役割の区別。
- 3. Wernicke脳症は、アルコールの慢性摂取によって引き起こされるチアミン(ビタミンB1)欠乏症が原因で発症します。したがって、その予防や治療にはチアミン(ビタミンB1)を投与します。正しくは:Wernicke脳症の予防には、チアミン(ビタミンB1)を投与します。選びやすい理由:ビタミン欠乏が関連するという漠然とした知識から、一般的なビタミンであるビタミンCを選んでしまう可能性があります。混同注意:各種ビタミンの役割や欠乏症の種類。
- 4. アルコール離脱症状(振戦、幻覚、痙攣など)の予防や治療には、ベンゾジアゼピン系薬剤が第一選択薬として広く用いられています。これは、アルコールと同じGABA受容体に作用し、神経の過興奮を抑える効果があるためです。正しくは:離脱症状を予防するために、ベンゾジアゼピン系薬剤は有効です。選びやすい理由:ベンゾジアゼピン系薬剤自体に依存性があるため、アルコール依存症患者への使用を躊躇すべきと誤解してしまうかもしれません。しかし、離脱症状の管理には不可欠です。混同注意:ベンゾジアゼピン系薬剤の長期使用による依存性と、急性期離脱症状管理での必要性の区別。
- 5. 患者に拒否的な家族であっても、自助グループ(例: アラノン)に参加することで、依存症の理解を深め、自身の感情を整理し、適切な関わり方を学ぶ機会を得られます。家族の態度の変化は、患者の回復にも良い影響を与える可能性があるため、積極的に勧めるべきです。正しくは:患者に拒否的な家族に対しても、自助グループへの参加を勧めます。選びやすい理由:家族が拒否的であると、参加しても効果がない、あるいは負担をかけるだけだと考えてしまうかもしれません。しかし、拒否的な感情の裏には困惑や疲弊があることが多く、自助グループはそのような感情を共有し、新たな視点を得る場となります。混同注意:家族の「拒否的」な態度を、支援を「必要としていない」と誤解すること。家族への介入の重要性。
国試ポイント
この問題は、アルコール依存症の治療に関する多角的な知識、特に治療のフェーズに応じた介入、合併症の管理、家族支援の重要性について理解しているかを問うものです。個別の薬剤や特定の栄養素の役割だけでなく、包括的な治療アプローチの知識が求められます。
混同注意
急性期の離脱症状管理と回復期の精神社会的な介入の区別。特定の栄養素と病態の関連性を正確に覚えているか。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、アルコール依存症の各ステージ(急性期、離脱期、回復期、維持期)における具体的な治療内容(薬物療法、精神療法、作業療法、家族支援など)とその目的を問う問題が出ると考えられます。特に、作業療法の適切な導入時期や、各薬物の作用機序と適応についてより詳細な知識が求められるでしょう。
関連知識
アルコール依存症の治療ガイドライン、Wernicke脳症の病態生理と治療、離脱症状の薬物療法、家族への心理社会的介入(アディクション家族支援)。