19歳の男性。統合失調症。大学入学後、「頭の中が混乱する」「自分の考えが周囲に知れ渡っている」などと訴え、自室に閉じこもるようになった。心配した家族に付き添われ精神科を受診したところ、入院治療が必要との説明を受け、自ら希望し入院となった。入院3日目に退院の意思を強く訴えたため、精神保健指定医の判断と家族の同意により非自発的入院形態へ変更された。この時点で、自傷他害の恐れはなかった。変更後の入院形態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
この男性は、当初は自ら入院を希望した(任意入院)ものの、入院後に退院を強く希望し、同意を撤回しました。しかし、自傷他害の危険がない状況で、精神保健指定医が引き続き入院が必要と判断し、かつ家族がその入院に同意したため、精神保健福祉法に定められる医療保護入院の要件をすべて満たします。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。精神保健福祉法に基づき、患者本人の同意がない場合に、精神保健指定医の診察の結果、入院が必要と判断され、かつ患者の保護者(家族等)が同意した場合に適用される入院形態です。本ケースでは、退院希望(本人の同意の撤回)後、自傷他害の恐れがない状況で、指定医の判断と家族の同意により入院が継続されているため、この条件に合致します。
- 2. 応急入院は、緊急を要し、かつ医療保護入院に必要な保護者の同意を直ちに得ることが困難な場合に、72時間以内の期間で認められる入院形態です。本ケースでは、保護者である家族の同意が得られているため、この条件には当てはまりません。正しくは:保護者の同意を直ちに得ることができなかった場合に該当します。選びやすい理由:「非自発的入院形態へ変更」という緊急性を帯びた状況に見えるため、応急入院が選択肢に入りがちです。混同注意:医療保護入院や緊急措置入院と混同しやすいですが、保護者の同意の有無と自傷他害のリスクの有無で区別します。
- 3. 緊急措置入院は、自傷他害の恐れが著しい精神障害者に対して、精神保健指定医1名の診察により、都道府県知事の命令を待ついとまがない場合に、72時間以内の期間で強制的に入院させる入院形態です。本ケースでは、「自傷他害の恐れはなかった」と明記されているため、該当しません。正しくは:自傷他害の恐れが著しい場合に該当します。選びやすい理由:「緊急」という言葉から、状況が急変した際に適用されると誤解しやすいですが、自傷他害のリスクが絶対条件です。混同注意:措置入院や応急入院と混同しやすいですが、自傷他害のリスクと期間の短さで区別します。
- 4. 措置入院は、自傷他害の恐れが著しい精神障害者に対して、精神保健指定医2名以上の診察により、都道府県知事の命令に基づいて強制的に入院させる入院形態です。本ケースでは、「自傷他害の恐れはなかった」と明記されているため、該当しません。正しくは:自傷他害の恐れが著しい場合に該当します。選びやすい理由:最も拘束力の強い非自発的入院形態として知られているため、一般的な「強制入院」のイメージから選択しがちです。混同注意:医療保護入院や緊急措置入院と混同しやすいですが、自傷他害のリスクの有無と、指定医の人数、知事の命令の有無で区別します。
- 5. 任意入院は、患者本人の同意に基づいて行われる入院形態です。本ケースでは、入院3日目に「退院の意思を強く訴えた」ため、本人の同意が撤回されており、その結果として非自発的な入院形態へ変更されたと記述されているため、該当しません。正しくは:本人が引き続き入院に同意している場合に該当します。選びやすい理由:当初の入院形態であったため、混同しやすいですが、質問は「変更後の入院形態」を尋ねています。混同注意:全ての非自発的入院形態(医療保護入院、応急入院、措置入院、緊急措置入院)と対比される基本的な入院形態です。
国試ポイント
精神保健福祉法における精神科入院形態の要件(特に医療保護入院、措置入院、応急入院、緊急措置入院の区別)について、具体的な事例を通して正確に理解しているかが問われています。特に、本人の同意の有無、自傷他害の危険性の有無、保護者の同意の有無が重要な判断基準となります。
混同注意
自傷他害の危険性の有無、保護者の同意の有無、緊急性の有無によって入院形態が変化するため、これらの条件を混同しやすいです。特に、医療保護入院と措置入院は「非自発的入院」という点で共通しますが、自傷他害のリスクの有無が決定的な違いとなります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、以下の点をチェックすることが重要です。(1) 患者本人の同意の有無と意思。(2) 自傷他害の恐れの有無とその程度。(3) 保護者(家族など)の同意の有無。(4) 精神保健指定医の判断の有無と人数。(5) 都道府県知事の命令の有無。(6) 入院期間の制限(72時間など)。
関連知識
精神保健福祉法、精神保健指定医の役割、保護者の役割(同意権者)、精神医療審査会、退院請求制度、処遇改善請求制度。