75歳の女性。頸椎症性神経根症。4年前から上肢のしびれ感がある。その領域を図に示す。障害を受けている神経根で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
上肢のデルマトーム分布に関する問題です。図に示されたしびれの領域は、母指から示指、中指の一部、上腕橈側から前腕橈側にかけて広がっており、これはC6神経根の典型的なデルマトームパターンと一致します。頸椎症性神経根症は、脊椎の変性により神経根が圧迫され、その神経根が支配する領域に感覚障害(しびれ、痛み)や運動麻痺を引き起こします。
選択肢ごとの解説
- 1. C5神経根は主に肩関節の外転、肘関節の屈曲(一部)、上腕の外側や三角筋部の感覚を担当します。上肢全体のしびれよりも、デルマトームC5に一致する範囲の感覚異常が見られます。正しくは:C5のデルマトームは肩から上腕外側にかけての領域です。図のしびれ領域とは異なります。選びやすい理由:上肢のしびれ全般として考えやすいですが、具体的な分布がC5とは異なります。混同注意:C6やC7と混同しやすいですが、それぞれのデルマトーム範囲を確認する必要があります。
- 2. 正解。C6神経根の障害では、母指から示指、中指の一部にかけてのしびれや感覚障害、および上腕の橈側から前腕の橈側にかけての感覚異常が典型的です。肘関節屈曲(上腕二頭筋)や手関節背屈の筋力低下も現れることがあります。下図に示されたしびれの領域は、C6のデルマトーム(皮膚分節)と一致します。
- 3. C7神経根は主に中指から環指の一部にかけての感覚、および肘関節伸展(上腕三頭筋)や手関節屈曲の筋力、手指伸展を担当します。図のしびれ領域とは一致しません。正しくは:C7のデルマトームは中指を中心に、前腕の背側から手の甲にかけての領域です。図のしびれ領域とは異なります。選びやすい理由:上肢のしびれの原因として頻度が高いため、選びやすいかもしれません。混同注意:C6やC8と混同しやすいですが、指の感覚領域が異なります。
- 4. C8神経根は主に環指の一部から小指にかけての感覚、および手指屈曲の筋力を担当します。図のしびれ領域とは一致しません。正しくは:C8のデルマトームは環指の尺側から小指にかけての領域です。図のしびれ領域とは異なります。選びやすい理由:しびれが手の広範囲に及ぶ場合に、C8を考えることもありますが、具体的な分布が異なります。混同注意:C7やTh1と混同しやすいですが、指の感覚領域が異なります。
- 5. Th1神経根は主に前腕の尺側から上腕の尺側にかけての感覚、および手指外転・内転の筋力を担当します。図のしびれ領域とは一致しません。正しくは:Th1のデルマトームは前腕の尺側から上腕の内側にかけての領域です。図のしびれ領域とは異なります。選びやすい理由:小指側のしびれと関連があるTh1を考えることもありますが、図の範囲とは異なります。混同注意:C8と混同しやすいですが、Th1はさらに小指側に寄った感覚分布を示します。
国試ポイント
頸椎症性神経根症における神経根の機能解剖とデルマトーム(皮膚分節)の知識が問われています。特に、各神経根が支配する感覚領域(デルマトーム)と運動領域(ミオトーム)を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
デルマトームの知識があいまいな場合、C5からTh1までの神経根の支配領域を混同しやすくなります。特にC6とC7、C8とTh1は隣接しており、具体的な分布の区別が難しいことがあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の神経根障害の問題が出た場合、図示された感覚異常の範囲がどのデルマトームに該当するかを正確に判断できるか、または筋力低下や反射異常などの他の症状が与えられた場合に、どの神経根の障害かを判断できるかが問われるでしょう。
関連知識
デルマトーム、ミオトーム、深部腱反射の神経支配、頸椎症性神経根症の症状と病態生理、神経学的診察の基礎知識。各神経根の主な感覚支配領域:C5(肩、上腕外側)、C6(母指〜示指、前腕橈側)、C7(中指、前腕背側)、C8(環指尺側〜小指、手内筋)、Th1(前腕尺側、上腕内側)。