脊髄損傷の自律神経過反射でみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
脊髄損傷における自律神経過反射は、T6以上の脊髄損傷で生じやすく、損傷レベル以下の侵害刺激(膀胱の過伸展、便秘、褥瘡など)が原因で交感神経が過剰に興奮する状態です。これにより、損傷レベル以下では末梢血管が収縮し、急激な高血圧を招きます。同時に、高血圧を感知した圧受容器反射により、心臓への副交感神経刺激が増加し徐脈が起こります。また、損傷レベルより上の領域では、過剰な交感神経活動を抑制しようとする副交感神経の働きにより、血管が拡張し顔面紅潮、頭痛、発汗などが現れます。
選択肢ごとの解説
- 1. 自律神経過反射では、刺激に対する交感神経系の過剰反応により、徐脈が主に見られます。これは頸動脈洞反射によるものです。正しくは:徐脈選びやすい理由:自律神経の乱れで心拍数が変動することは考えられるため、選択肢として魅力的。混同注意:他の自律神経症状(例:ショックなど)と混同しやすい。
- 2. 正解。損傷レベル以下の身体からの侵害刺激により、交感神経が過剰に興奮し、末梢血管が収縮することで急激な血圧上昇(高血圧)を引き起こします。これは自律神経過反射の主要な症状であり、危険な状態です。選びやすい理由:自律神経過反射の最も重要な診断基準の一つであるため、知識があれば確実に選べる。
- 3. 自律神経過反射は血糖値の異常とは直接的な関連がありません。血糖値の異常は糖尿病や内分泌系の問題で起こります。正しくは:血糖値の異常は通常見られない選びやすい理由:自律神経は全身の機能に関わるため、血糖値も影響を受けると誤解されることがある。混同注意:自律神経が関わる他の全身性の病態と混同しやすい。
- 4. 正解。損傷レベルより上の領域(顔面、頸部など)では、交感神経の過剰な興奮に対抗して副交感神経が働き、血管が拡張することで顔面紅潮や発汗が見られます。選びやすい理由:自律神経のバランスの乱れによる血管運動反応として理解しやすい。
- 5. 自律神経過反射における発汗は、通常、損傷レベルより上の領域(交感神経抑制の影響を受けにくい部位)で見られます。損傷レベルより下では、交感神経の過剰興奮による血管収縮が優位となり、発汗はむしろ抑制されるか、または無汗となることが多いです。正しくは:損傷レベルより上の発汗選びやすい理由:発汗自体は自律神経症状であるため、正しい選択肢だと誤解されやすい。混同注意:発汗が全身にわたる症状であると誤解したり、損傷レベルを正しく理解していない場合。
国試ポイント
脊髄損傷の自律神経過反射の症状に関する知識が問われています。特に、高血圧と徐脈、損傷レベルより上の血管拡張(顔面紅潮、発汗)と損傷レベルより下の血管収縮(鳥肌、冷感)といった症状の出現部位と機序を正確に理解しているかがポイントです。
混同注意
自律神経過反射でみられる徐脈と頻脈、損傷レベルより上と下の発汗や血管反応について、症状と部位の関係が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、自律神経過反射の症状の発生機序(交感神経と副交感神経の働き、損傷レベルとの関係)と、それに対する緊急時の対応が問われる可能性が高いです。
関連知識
T6以上の脊髄損傷、侵害刺激(膀胱過伸展、直腸便秘、褥瘡、衣類の圧迫など)、急激な血圧上昇、徐脈、激しい頭痛、発汗、鳥肌、視覚障害、鼻閉、不安感、意識障害。緊急対応として原因刺激の除去、体位変換(座位)、薬物療法(降圧剤)。