せん妄で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
せん妄は、急性の意識障害の一種で、身体疾患や薬剤、環境変化など複数の要因が複雑に絡み合って発症します。特に、入院などによる環境の変化は、高齢者や脆弱な患者においてせん妄を誘発する重要な因子とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. せん妄の症状は、日中の覚醒レベルが低下する夜間や早朝に悪化することがよく知られています。正しくは:せん妄の症状は、夜間や早朝に悪化しやすい。選びやすい理由:せん妄の症状が日中も出ることがあるため、夜間には出現しないという記述に疑問を感じるかもしれませんが、夜間悪化が典型的な特徴です。混同注意:認知症の症状と混同する可能性。認知症の場合、夜間せん妄を併発することはありますが、認知症そのものが夜間だけ症状が出ないわけではありません。
- 2. 正解。せん妄は、身体的な病気や薬剤の副作用に加えて、住み慣れない環境(入院など)への変化、感覚遮断、過剰な刺激などが誘因となって生じやすい精神状態です。選びやすい理由:環境変化が直接的な原因ではないと考えるかもしれませんが、せん妄の誘発要因としては非常に重要です。
- 3. せん妄は意識の変容を伴いますが、その程度は「軽度から中等度の意識混濁」と表現されることが多く、高度な意識混濁は昏睡などに近い状態です。せん妄では意識レベルの変動が特徴的で、清明な時間帯と混濁した時間帯が混在します。正しくは:軽度から中等度の意識混濁や意識レベルの変動を伴う。選びやすい理由:せん妄は意識障害の一つであるため、意識混濁を伴うという点で正しいと誤解しやすいですが、「高度な」という表現が不適切です。混同注意:昏睡や失神などの他の意識障害と混同する可能性があります。せん妄の意識障害は変動的で、必ずしも高度ではありません。
- 4. せん妄では、注意障害や意識障害が主な症状ですが、その結果として、見当識障害や記憶障害(特に最近の出来事に対する記銘力障害)を伴うことが一般的です。正しくは:記憶障害を伴うことがある。選びやすい理由:認知症と異なり、せん妄の主症状が記憶障害ではないため、伴わないと勘違いしやすいですが、付随症状として生じます。混同注意:認知症の記憶障害と混同する可能性。認知症は慢性的な進行性の記憶障害が主症状ですが、せん妄では急性・変動性の記憶障害が起こりえます。
- 5. せん妄は、高齢者、特に身体疾患を持つ高齢者に圧倒的に多く発生します。若年者でも起こりえますが、その頻度ははるかに低いです。正しくは:若年者よりも高齢者に出現しやすい。選びやすい理由:精神疾患は若年層にも見られるため、せん妄も年齢に関係なく多いと誤解するかもしれませんが、せん妄は加齢が大きな危険因子です。混同注意:うつ病や統合失調症などの他の精神疾患の発症年齢層と混同する可能性があります。せん妄は身体的脆弱性が背景にあることが多いため、高齢者に多いです。
国試ポイント
せん妄の定義、主な症状(意識障害、注意障害、思考障害、知覚障害など)、病態生理(急性の発症、変動性)、誘発因子、および他の疾患(特に認知症)との鑑別点が問われることが多いです。今回は誘発因子と症状の変動性に関する知識が問われています。
混同注意
認知症、うつ病。特に認知症とは症状の一部が重なるため、鑑別が重要です。せん妄は急性の発症で変動性が高く、意識障害が主徴であるのに対し、認知症は慢性の経過で進行性、記憶障害が主徴で意識は比較的保たれます。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、せん妄の主要症状(意識の変動、注意障害など)、診断基準、予防と治療に関する具体的な介入方法に焦点を当てて選択肢を評価する。
関連知識
せん妄の診断基準(DSM-5など)、せん妄のリスク因子(高齢、多疾患併存、薬剤、脱水、栄養不良、感覚器障害など)、せん妄の予防策(環境調整、水分補給、早期離床、安眠確保など)、せん妄のタイプ(活動性、低活動性、混合型)。