統合失調症の認知機能を評価するために用いるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
BACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia)は、統合失調症患者に特化して開発された認知機能評価バッテリーです。記憶、注意力、作業記憶、実行機能、処理速度、言語能力といった、統合失調症で障害されやすい認知ドメインを短時間で評価できるように設計されています。
選択肢ごとの解説
- 1. AIMSは遅発性ジスキネジアのような不随意運動を評価するための尺度であり、統合失調症の認知機能を評価するものではありません。正しくは:統合失調症の認知機能を評価する尺度に置き換えるか、またはAIMSは遅発性ジスキネジアの評価に用いると修正する。選びやすい理由:統合失調症の治療薬による副作用である遅発性ジスキネジアの評価尺度であるため、統合失調症に関連する尺度としては認識されやすい。混同注意:統合失調症そのものの症状評価や認知機能評価と、治療薬の副作用評価を混同しやすい。
- 2. 正解。BACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia)は、統合失調症患者の認知機能障害を効率的に評価するために特化して開発された尺度です。記憶、注意力、実行機能など、統合失調症で障害されやすい主要な認知領域を網羅しています。
- 3. LASMI(Life Assessment Scale for the Mentally Ill)は、精神疾患を持つ人々の生活機能や社会参加能力を評価するための尺度です。認知機能そのものを直接評価するものではありません。正しくは:統合失調症の認知機能を評価する尺度に置き換えるか、またはLASMIは精神障害者の生活機能を評価するのに用いると修正する。選びやすい理由:精神疾患を持つ人の評価尺度であるため、統合失調症に関連するものとして選択肢に入りやすい。混同注意:認知機能評価と生活機能評価を混同しやすい。
- 4. PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)は、統合失調症の陽性症状、陰性症状、および一般的な精神病理の重症度を評価するための尺度です。症状の評価が主目的であり、認知機能の評価は主要な目的ではありません。正しくは:統合失調症の認知機能を評価する尺度に置き換えるか、またはPANSSは統合失調症の陽性・陰性症状の重症度評価に用いると修正する。選びやすい理由:統合失調症で最も広く用いられる症状評価尺度であるため、統合失調症に関する問題では正答であると錯覚しやすい。混同注意:統合失調症の症状評価と認知機能評価を混同しやすい。
- 5. SAPS(Scale for the Assessment of Positive Symptoms)は、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、思考障害、奇異な行動など)の重症度を評価するための尺度です。PANSSと同様に症状評価が主であり、認知機能の評価は目的ではありません。正しくは:統合失調症の認知機能を評価する尺度に置き換えるか、またはSAPSは統合失調症の陽性症状の重症度評価に用いると修正する。選びやすい理由:統合失調症の症状評価尺度として有名であるため、関連する尺度として選んでしまいやすい。混同注意:統合失調症の陽性症状評価と認知機能評価を混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、精神科領域の評価尺度に関する知識、特に統合失調症の各病態(症状、認知機能、生活機能など)に対応する評価尺度を正確に理解しているかを問うものです。各尺度の略語と正式名称、そしてその評価目的をセットで覚えることが重要です。
混同注意
精神疾患、特に統合失調症には多くの評価尺度が存在します。症状の重症度を測る尺度(PANSS, SAPSなど)、認知機能を測る尺度(BACS)、生活機能を測る尺度(LASMIなど)、副作用を測る尺度(AIMSなど)といった異なる目的を持つ尺度が混同されやすい傾向にあります。略語が似ていたり、名称に「Schizophrenia」と含まれていたりするだけで安易に判断しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、各評価尺度の『対象疾患』『評価目的(何を図るのか)』『評価項目(具体的に何を見るのか)』を正確に識別できるかを確認しましょう。特に、認知機能評価、症状評価、生活機能評価、副作用評価の区別が重要です。
関連知識
統合失調症では、陽性症状、陰性症状、気分症状に加えて、認知機能障害が社会生活機能や予後に大きく影響することが知られています。そのため、認知機能の適切な評価と介入は、作業療法士として非常に重要な役割を担います。BACS以外にも、より詳細な認知機能評価としてMATRICS Consensus Cognitive Battery (MCCB)などがあります。一般的な認知機能評価尺度としてMMSEやMOCAがありますが、統合失調症に特化した感度や特異度が高いのはBACSです。