統合失調症について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
統合失調症の再発に影響を与える重要な環境因子として、家族の感情表出性(EE)が挙げられます。批判的、敵意的、あるいは過度に感情的に巻き込まれる家族関係(高EE)は、患者のストレスレベルを高め、再発リスクを有意に上昇させることが、数多くの研究で実証されています。このため、家族への心理教育や家族療法の介入が、再発予防のために重要視されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 統合失調症の発症率に性差はほとんどなく、男女間で有意な差はありません。正しくは:統合失調症の発症率には性差がほとんどありません。選びやすい理由:特定の精神疾患には性差が見られるものがあるため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:他の精神疾患(例:うつ病は女性に多い、ASDは男性に多いとされやすい)と混同することがあります。
- 2. 統合失調症は、通常、緩徐に、すなわち徐々に症状が進行して発症することが多いです。前駆期を経て、徐々に顕性症状が明らかになるケースが一般的です。正しくは:統合失調症は、通常、緩徐に症状が進行して発症することが多いです。選びやすい理由:メディアなどで描かれる精神疾患のイメージが急性のものと結びつきやすいため、選択しやすいかもしれません。混同注意:急性精神病エピソードと混同したり、ストレスによる急激な状態悪化を初期発症と誤解したりすることがあります。
- 3. 統合失調症において、若年での発症は予後不良因子の一つとされています。一般的に、発症年齢が若いほど、社会機能の障害や症状の慢性化のリスクが高まります。正しくは:若年で発症した場合、その後の経過は比較的良好とは言えません(むしろ予後不良因子の一つです)。選びやすい理由:一般的に若年層の方が回復力があるというイメージや、早期発見・早期治療が良い結果につながるという漠然とした期待から、選択してしまう可能性があります。混同注意:他の疾患における早期発見・早期治療の予後改善効果と混同することがあります。
- 4. 統合失調症の多くは思春期から青年期(10代後半から20代)にかけて発症することが多く、中年期以降の発症は比較的稀です。正しくは:多くの場合、思春期から青年期に初めて症状が現れます。選びやすい理由:精神疾患は高齢になってから発症するものという誤解や、高齢者の妄想性障害などと混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:老年期精神病や、うつ病の高齢者発症などと混同することがあります。
- 5. 正解。感情表出性(Expressed Emotion; EE)が高い家族環境(批判的、敵意的、感情的に巻き込まれすぎているなど)は、統合失調症患者の再発リスクを高めることが多くの研究で示されています。家族への心理教育や家族療法は、EEを低減し再発予防に寄与すると考えられています。
国試ポイント
統合失調症の疫学(性差、発症年齢、発症様式)と、予後因子・再発因子に関する基本的な知識が問われています。特に感情表出性(EE)と再発率の関係は重要な論点であり、OTの臨床実践においても家族支援の根拠となる知識です。
混同注意
統合失調症の症状(陽性症状、陰性症状、認知機能障害)や治療法(薬物療法、精神療法)と、その疫学・予後に関する知識を混同しやすいです。また、他の精神疾患の疫学的特徴や予後因子と統合失調症のそれとを混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
この問題でEEについて問われているため、今後はEEの具体的な内容(批判、敵意、感情的巻き込み)や、EE低減のための家族介入(心理教育、家族療法)の具体的内容、その効果について深く問われる可能性があります。
関連知識
統合失調症の主な発症年齢は思春期〜青年期(10代後半〜20代)。発症様式は緩徐型が多い。性差はほぼない。若年発症や男性は予後不良因子とされやすい。EE(感情表出性)とは、家族が患者に対して示す感情の質的特徴を指し、高EEは批判、敵意、過干渉(過剰な感情的巻き込み)として現れる。家族療法や心理教育は、EEの低減と再発予防に効果的である。