急性の幻覚妄想状態が軽減してから1週間が経過した統合失調症患者に対して行う高校復学を目標とした外来作業療法導入時の目的として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
統合失調症の急性期後の回復期においては、病状の安定とともに、生活機能の再構築が重要な課題となります。特に高校復学という目標がある場合、授業への出席や学習活動を継続するためには、まず規則正しい睡眠・覚醒サイクル、食事習慣などの基本的な生活リズムを確立することが不可欠です。導入段階では、この生活リズムの獲得が最も基礎的で優先される目標となります。他の選択肢は、生活リズムが安定した後に取り組むべき、あるいはより上位の目標として位置づけられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性期後の導入段階では、まず基本的な生活基盤の安定が優先されます。余暇活動はより安定した段階での目標となることが多いです。正しくは:生活リズムが安定し、ある程度の活動が可能になった段階で、趣味や楽しみを見つけるために取り組む目標となります。選びやすい理由:気分転換やストレス軽減には役立つため、重要だと感じるかもしれませんが、復学を目指す導入期には優先順位が低いです。混同注意:生活の質 (QOL) 向上と混同しやすいですが、導入期にはQOL向上に直結する以前の基盤づくりが必要です。
- 2. 社会参加は最終的な目標の一つですが、急性期後の導入段階では、まず個人レベルでの生活基盤を整えることが先決です。復学自体が社会参加の一部ですが、より広範な意味での社会参加は次のステップとなります。正しくは:生活リズムが整い、対人スキルも向上した後に、地域活動や就労など具体的な社会への関わりを広げるために取り組む目標となります。選びやすい理由:高校復学も社会参加の一つであるため、一見正しいように見えますが、導入段階で目指す「社会参加」は、まず生活リズムの確立などによる土台作りが中心です。混同注意:復学目標と混同しやすいですが、復学を可能にするための準備段階としての「生活基盤の安定」が導入期の目標です。社会参加はより広範な概念です。
- 3. 正解。統合失調症の急性期後の回復期や社会復帰を目指す導入段階では、まず睡眠・覚醒リズムの安定、食事の規則性など、基本的な生活リズムを再構築することが非常に重要です。高校復学には、授業時間に合わせて起床・登校できる規則正しい生活が不可欠であるため、これは導入期の最も基本的な目標となります。正しくは:正しい選択肢のため修正不要です。選びやすい理由:他の選択肢も重要に思えるかもしれませんが、復学という具体的な目標を達成するための土台として、生活リズムの獲得が最優先されます。混同注意:活動能力向上や対人関係改善と混同しやすいですが、これらも重要ではあるものの、まず土台としての生活リズムが不可欠です。
- 4. 対人スキルの向上も重要ですが、急性期後の導入段階では、まず安定した生活リズムの獲得が先行します。対人スキルは生活リズムが整った上で取り組むことで、より効果が期待できます。正しくは:生活リズムが安定し、ある程度の活動が可能になった段階で、友人関係や教師との関わりをスムーズにするために取り組む目標となります。選びやすい理由:高校復学には友人や教師との関わりが必須であるため、重要に感じるかもしれませんが、導入期には生活基盤の確立がより優先されます。混同注意:社会参加と混同しやすいですが、対人スキルは社会参加の一要素であり、生活リズムの安定がなければ十分に発揮できません。
- 5. デイケアへの移行は、リハビリテーションの一環として有効な選択肢ですが、本設問では「高校復学を目標とした外来作業療法導入時の目的」とされており、直接的な復学の準備というよりも、デイケアへの参加自体が目標となり得ます。また、必ずしもデイケアが復学への唯一の道ではなく、個別の外来OTで復学準備を進めることも可能です。正しくは:デイケアは社会生活機能の回復を目的としたプログラムであり、復学のための手段の一つではありますが、設問の「導入時の目的」としては、より直接的に復学に必要な生活基盤の安定が優先されます。もしデイケアが目標であったなら、「デイケアへの参加」が目標となります。選びやすい理由:社会復帰に向けた重要なプログラムであるため、適切に思えるかもしれませんが、この設問では「高校復学」という具体的な目標に対する「外来OT導入時」の目的を問われています。混同注意:社会資源の利用と混同しやすいですが、本設問では高校復学という具体的な目標設定がされており、デイケア利用が直接的な目標ではありません。
国試ポイント
統合失調症の回復段階における作業療法の目標設定の優先順位と、具体的な生活目標(高校復学)達成のために必要な基礎的な要素を理解しているかを問う問題です。特に、急性期後の導入段階で最も重要となる側面を見極める能力が求められます。
混同注意
他の選択肢(余暇活動、社会参加、対人スキル)もリハビリテーションにおいて重要な要素であるため、迷いやすいですが、導入段階、特に復学という具体的な目標達成のための土台作りとして何が最も優先されるかを判断することがポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、患者の疾患フェーズ(急性期、回復期、維持期)と、具体的な目標(例:復学、就労、地域生活)を照らし合わせ、その達成のために「最も基礎的で、かつ優先されるべき土台となる要素」は何かを判断することが重要です。
関連知識
統合失調症の回復段階(急性期、回復期、維持期)、作業療法の目標設定、生活機能評価(例:SLOF、FIM)、ADL・IADL、心理教育、リカバリーの概念。