19歳の男性。バイク事故で受傷。脊髄損傷完全麻痺(第10胸髄節まで機能残存)。ADLは自立し、今後は車椅子マラソンを行うことを目標に作業療法に取り組んでいる。車椅子(別冊No. 3)を別に示す。マラソン用車椅子はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
マラソン用車椅子(レーサー)は、空気抵抗を最小限に抑え、効率的に推進力を得られるように設計されています。特徴として、低く長いフレーム、大きな駆動輪、小さく低い位置にあるキャスター、前傾姿勢を保持するためのシート形状などが挙げられます。選択肢②の車椅子がこれらの特徴を最も明確に示しており、マラソン競技に適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ①は一般的な日常用車椅子(普通型車椅子)であり、安定性は高いですが、速度を出すことには適していません。競技用としては不向きです。正しくは:マラソン用車椅子は、軽量で空気抵抗が少なく、スピードが出せるように設計されています。選びやすい理由:車椅子全般の知識があれば選択肢に上がる可能性がありますが、マラソン用としての特徴を理解していれば除外できます。混同注意:レクリエーション用車椅子や一般的なスポーツ用車椅子と混同することがあります。
- 2. 正解。②は、低く長いフレーム、大きな駆動輪、小さなキャスター、傾斜した後輪など、スピードと安定性を追求したマラソン競技専用の車椅子(レーサー)の典型的な特徴を示しています。空気抵抗を減らし、効率的な駆動を可能にする構造です。
- 3. ③は、一般的なスポーツ用車椅子(例えばバスケットボール用など)の特徴を示していると考えられます。重心が低く横方向の安定性は高いですが、マラソンのような直線的な高速移動には特化していません。主に旋回性や衝撃吸収性が重視されます。正しくは:マラソン用車椅子は、より軽量で空気抵抗が少なく、直進安定性に優れています。選びやすい理由:スポーツ用車椅子であるため、競技に使うという点で選択肢として考えやすいですが、マラソン競技特有の形状ではない点に注意が必要です。混同注意:他の球技などのスポーツ用車椅子と混同することがあります。
- 4. ④は、ティルト機能やリクライニング機能を備えた、座位保持や姿勢変換を目的とした車椅子である可能性が高いです。身体支持性が高く、長時間座位での負担軽減や褥瘡予防などに用いられますが、移動介助が前提で、自走による競技用としては全く適していません。正しくは:マラソン用車椅子は、軽量でスピードを追求した設計になっています。選びやすい理由:車椅子の種類の一つではありますが、用途が全く異なるため、選択肢として選ぶ可能性は低いでしょう。混同注意:日常生活用車椅子の中でも、特に姿勢保持に特化した車椅子と混同することがあります。
- 5. ⑤は、アームレストやフットレストがしっかりしており、介助用または電動車椅子の可能性が高いです。自走は可能でも、スポーツ競技、特にマラソンで要求される軽量性や速度性能は持ち合わせていません。正しくは:マラソン用車椅子は、最大限の速度と効率を追求した特殊な設計がされています。選びやすい理由:電動車椅子であれば長時間移動が可能という点で連想するかもしれませんが、ここでは「自走によるマラソン」が目標なので不適切です。混同注意:普通の自走用車椅子や、電動車椅子と混同することがあります。
国試ポイント
脊髄損傷者のADLと活動目標に合わせた適切な福祉用具(特に車椅子)の選択能力が問われています。車椅子の種類ごとの特徴と用途を理解しているかがポイントです。画像問題では、見た目からその車椅子の機能と目的を判断する力が重要になります。
混同注意
一般的なスポーツ用車椅子(バスケットボール用など)とマラソン用車椅子を混同しやすい。どちらも「スポーツ用」ですが、競技特性に合わせた設計の違いを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、今度はバスケットボール用車椅子やラグビー用車椅子など、他のスポーツ用車椅子とマラソン用車椅子を比較する問題や、ADLの状況と合わせて特定の車椅子の調整方法を問う問題が出題される可能性があります。
関連知識
車椅子の分類(普通型、簡易型、電動、スポーツ用、介助用など)、それぞれの特徴と適応。脊髄損傷のレベルと残存機能に応じた車椅子選択の基準。車椅子操作方法(駆動、方向転換、段差昇降など)。