アキレス腱断裂で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
トンプソンテストは、アキレス腱断裂を評価する際に非常に重要な理学所見です。患者が腹臥位で膝を90度程度屈曲させ、検者が下腿三頭筋を強く握りしめることで足関節の底屈反応を見るテストです。アキレス腱が正常であれば、下腿三頭筋の収縮がアキレス腱を介して足関節に伝わり底屈しますが、断裂している場合は底屈が起こりません。この陽性反応は、アキレス腱の連続性の喪失を強く示唆する所見であり、アキレス腱断裂の診断に不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. アキレス腱は足関節の底屈、すなわちつま先立ちを行う上で極めて重要な役割を担っています。この腱が断裂している場合、つま先立ちの動作は著しく困難になるか、ほとんど不可能となります。正しくは:つま先立ちは極めて困難または不可能である。選びやすい理由:部分断裂や他の筋肉の代償作用を考慮すると、全く不可能ではないと誤解する可能性があるため。混同注意:軽度の腱の炎症や損傷と、完全な断裂による機能障害の程度を混同している。
- 2. アキレス腱断裂は、一般的にスポーツ活動が活発な30代から50代の中高年層に多く発生します。学童期での発生は稀です。正しくは:成人期、特にスポーツ愛好家の中高年層に多く発生する。選びやすい理由:スポーツ外傷全体としては学童期も活発なため、発生しやすいと考えるかもしれない。混同注意:成長期に見られる他のスポーツ障害(例:オスグッド病やシーバー病など)と混同している。
- 3. 正解。トンプソンテストは、アキレス腱断裂を診断するための代表的な理学検査です。患者が腹臥位で膝を軽く曲げた状態で、検者が下腿三頭筋を圧迫しても足関節の底屈が起こらない場合に陽性と判断され、アキレス腱の連続性が失われていることを示唆します。
- 4. アキレス腱断裂の治療におけるギプス固定は、断裂した腱の緊張を緩め、良好な癒合を促すために、足関節を軽度底屈位(尖足位)で行うのが一般的です。背屈位で固定すると腱が伸張され、癒合の妨げになる可能性があります。正しくは:足関節を軽度底屈位でギプス固定する。選びやすい理由:他の足関節の疾患や損傷(捻挫など)では背屈位で固定することもあるため、混同しやすい。混同注意:足関節の他の損傷や手術後の固定肢位とアキレス腱断裂の固定肢位を混同している。
- 5. 陳旧性のアキレス腱断裂(受傷から長期間経過し、断端が退行性変化や短縮を起こしている状態)では、断端間の組織欠損が大きくなり、直接縫合が困難な場合が多いです。この場合は、腱移植術や人工腱を用いた再建術などが検討されます。端々縫合は、新鮮な断裂に対して行われることが多い術式です。正しくは:陳旧例では、腱の欠損が大きい場合が多く、再建術や腱移行術が検討される。選びやすい理由:腱の断裂には縫合術が一般的であるという認識から、陳旧例にも適用されると考えるかもしれない。混同注意:新鮮断裂の治療法と、陳旧断裂における治療法の違いを混同している。
国試ポイント
アキレス腱断裂に関する診断方法(特にトンプソンテストの意義)、疫学、一般的な治療原則(固定肢位や陳旧例への対応)について、基本的な知識を問う問題です。臨床で遭遇する可能性のある疾患について、正確な知識があるかを評価しています。
混同注意
アキレス腱断裂は、腓腹筋損傷や足関節捻挫など、他の下腿や足関節の損傷と症状が類似することがあります。そのため、トンプソンテストのような特異的な検査の重要性が高まります。また、アキレス腱の部分断裂と完全断裂では、症状の重症度や治療方針が異なるため、これらの鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次回、アキレス腱断裂に関する問題が出題される場合、リハビリテーションの段階的アプローチ(荷重開始時期、運動療法の具体的内容)、術後の合併症(再断裂、感染など)、あるいは新鮮例と陳旧例の治療選択の具体的な違い(例:陳旧例で用いられる腱移行術の種類)など、より詳細な臨床的知識や治療過程が問われる可能性があります。
関連知識
アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)の遠位端に位置し、踵骨に付着する人体最大の腱です。主に足関節の底屈運動に関与し、歩行や走行、ジャンプなどの日常・スポーツ活動に不可欠です。断裂の主な原因は、急なダッシュや停止、方向転換、ジャンプの着地など、腱に急激な負荷がかかるスポーツ活動中の非接触型損傷が多いです。診断には、自覚症状(断裂音、疼痛、歩行困難)、触診(腱の陥凹)、画像診断(超音波、MRI)なども用いられます。治療は保存療法(ギプス固定)と手術療法(直接縫合、再建術)があり、患者の年齢、活動レベル、断裂のタイプ(新鮮・陳旧、完全・部分)によって選択されます。