急性期のくも膜下出血の診断に最も有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
急性期のくも膜下出血では、脳脊髄液中に漏れ出した血液がCT画像上で高吸収域として明確に描出されます。単純CTは検査時間が短く、緊急性の高い病態において迅速な診断が可能であり、出血の検出感度も非常に高いため、急性期くも膜下出血の診断において第一選択の画像検査となります。
選択肢ごとの解説
- 1. MRI T1強調画像は、出血後数日以上経過した後の亜急性期の病変や、構造的な異常、腫瘍の評価には有用ですが、発症直後の急性期くも膜下出血の診断には最も適していません。新鮮出血の検出感度が単純CTより劣ります。正しくは:急性期のくも膜下出血の診断には、単純CTが最も有用です。選びやすい理由:MRIは脳の様々な病変の診断に用いられるため、出血にも有効と思われがちですが、急性期くも膜下出血の診断においてはCTに劣ります。混同注意:MRIの異なるシーケンス(T1、T2、FLAIR、SWIなど)のそれぞれが、出血の時期や種類によって検出感度が異なる点と混同しやすいです。SWI( susceptibility-weighted imaging)は微小出血の検出に優れますが、緊急の急性期診断の第一選択ではありません。
- 2. MRI T2強調画像は、脳浮腫、梗塞、炎症、脱髄疾患などの評価に優れていますが、急性期の新鮮な出血(特に赤血球が豊富な段階)の検出には単純CTの方が優れています。急性期くも膜下出血では、T2強調画像では出血が見えにくいことがあります。正しくは:急性期のくも膜下出血の診断には、単純CTが最も有用です。選びやすい理由:T2強調画像も脳の病変をよく描出するため、出血の診断にも有効であると誤解されがちです。混同注意:T2強調画像における出血信号の変化は、出血の時期によって複雑に変化するため、急性期においては他のシーケンス(例えばSWI)やCTの方が診断的価値が高いです。
- 3. 頸動脈超音波検査は、頸部の血管(頸動脈や椎骨動脈)の狭窄や閉塞、プラークの評価に用いられ、脳虚血性疾患の原因検索には非常に有用ですが、頭蓋内のくも膜下出血の直接的な診断には役立ちません。正しくは:頸動脈超音波画像は、頸部の血管病変の診断に用いられます。選びやすい理由:脳卒中に関連する検査であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、くも膜下出血という頭蓋内病変の診断には直接関係ありません。混同注意:脳卒中全般の鑑別診断において用いられる様々な検査法と、それぞれの検査の対象部位・病態とを混同しやすいです。これは脳血管障害の原因検索の一環ではありますが、出血そのものの診断ではありません。
- 4. 正解。急性期のくも膜下出血では、血液が脳脊髄腔に広がり、単純CT画像で高吸収域(白く見える部分)として明確に描出されます。これは、血腫内のヘモグロビンがX線を吸収しやすいためです。迅速に撮影でき、検出感度も高いため、緊急時の第一選択検査となります。正しくは:正答のため修正不要。選びやすい理由:正答。混同注意:正答。
- 5. 単純X線写真(レントゲン写真)は、骨折や肺疾患、臓器の輪郭評価には有用ですが、脳実質や脳脊髄腔内の出血などの軟部組織の病変を描出する能力は非常に低く、急性期のくも膜下出血の診断には全く適していません。正しくは:単純X線写真は、骨や空気の評価に適しています。選びやすい理由:一般的な画像診断法の一つであるため選択肢に入っているかもしれませんが、脳出血の診断には有用ではありません。混同注意:体内の様々な部位のX線写真(例:頭蓋X線写真)と、詳細な断面画像(CT、MRI)の診断能力の違いとを混同しやすいです。
国試ポイント
脳神経疾患における各画像診断法(CT、MRI、超音波など)の適応と、それぞれの検査が診断に優れている病態を理解しているか問う問題です。特に、緊急性の高い急性期病態における第一選択検査の知識が重要です。
混同注意
MRIの様々なシーケンス(T1、T2、FLAIR、SWIなど)の特性と、CTとの検出感度の違い、特に急性期の新鮮出血に対する感度の違いが混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の脳卒中(脳梗塞、脳出血)の急性期診断における第一選択検査、およびそれらの亜急性期・慢性期における最適な画像診断法、各画像検査の原理と限界について問われる可能性があります。
関連知識
くも膜下出血の診断では、単純CTで陰性であった場合でも症状が強く疑われる際には、腰椎穿刺による脳脊髄液検査(キサントクロミーの有無)が行われることがあります。また、出血源を特定するために、血管造影検査(CTA、MRA、DSA)が続行されます。