離脱症状が消退して間もないアルコール依存症の患者に対する作業療法で最も優先される目標はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
アルコール依存症の離脱症状消退直後の時期は、身体的な倦怠感、栄養不良、自律神経の不調など、身体機能がまだ十分に回復していないことが多いです。作業療法では、まずこれらの身体的な問題を改善し、生活に必要な基礎体力を回復させることが、その後の心理社会的アプローチや社会復帰支援の土台となります。そのため、最も優先される目標は基礎体力の回復です。
選択肢ごとの解説
- 1. 家族関係の改善は重要ですが、離脱症状消退直後の急性期においては、まず身体的な回復を優先します。心身が不安定な時期に家族関係の深い問題に取り組むのは負担が大きい場合があります。正しくは:急性期を脱し、心身が安定し始めた回復期以降に、再飲酒予防や社会生活への適応を見据えて取り組むべき目標です。選びやすい理由:アルコール依存症は家族にも影響を及ぼすため、関係改善は長期的に重要だと感じやすいですが、この問題文では「離脱症状が消退して間もない」という時間軸が示されています。混同注意:心理社会的側面のアプローチと、離脱症状消退直後の身体的アプローチの優先順位を混同しやすいです。
- 2. 正解。アルコール依存症の離脱症状消退直後は、身体的倦怠感、栄養状態の悪化、自律神経系の不安定さなどが残存していることが多く、作業活動を行う上での基盤となる身体機能の回復が最も優先されます。これは、その後のより複雑な作業療法プログラムへ移行するための土台となります。選びやすい理由:最も基本的な目標であり、疑う余地が少ないです。混同注意:他の選択肢も長期的な視点で見れば重要であるため、特に「最も優先される」という条件を見落とすと迷う可能性があります。
- 3. 対人技能の獲得は、社会生活への適応や再飲酒予防に不可欠な要素ですが、離脱症状消退直後の身体的に不安定な時期に、高次の認知機能や社会性を要する訓練を行うのは適切ではありません。まずは身体的な基盤を整えることが先決です。正しくは:身体的な回復が進み、精神的に安定した回復期以降に、集団活動などを通して実践的に取り組むべき目標です。選びやすい理由:対人関係の問題がアルコール依存症の一因となることもあるため、重要だと感じやすいです。混同注意:身体機能の回復と、より高次の認知・社会機能の回復の優先順位を混同しやすいです。
- 4. 自助グループへの参加は、回復の重要な一環ですが、離脱症状消退直後はまだ心身ともに不安定であり、外部の集団活動に参加するだけの体力や精神的な準備が整っていないことが多いです。まずは院内での個別あるいは小集団でのリハビリテーションで段階的に準備を進める必要があります。正しくは:身体的・精神的な安定が得られた回復期以降に、社会資源として利用を検討すべき目標です。選びやすい理由:自助グループの有効性は広く認識されているため、重要な選択肢だと感じやすいです。混同注意:退院後の社会生活への移行を見据えた長期目標と、急性期の優先目標を混同しやすいです。
- 5. ストレス対処行動の獲得は再飲酒予防に非常に重要ですが、これも離脱症状消退直後の身体が疲弊している時期に行うには時期尚早です。まずは体力を回復させ、精神的な安定を図ることが優先されます。その後、認知行動療法的なアプローチなどで取り組むべき課題です。正しくは:身体的な安定が得られ、思考力や集中力が回復した回復期以降に、具体的な方法を学ぶべき目標です。選びやすい理由:ストレスが再飲酒の引き金になることが多いため、重要な選択肢だと感じやすいです。混同注意:身体的な回復と、より高度な心理的対処スキルの獲得の優先順位を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、アルコール依存症の病期に応じた作業療法の優先順位を理解しているかを問うものです。特に「離脱症状が消退して間もない」という時期の限定が重要で、急性期における身体的な回復の優先度が高いことを認識しているかを確認しています。他の選択肢は長期的な視点では重要ですが、この時期にはまだ適切でないか、優先度が低いと判断されます。
混同注意
アルコール依存症の回復には多岐にわたる側面が関与するため、どの側面も重要に見えがちです。特に、家族関係の改善、対人技能、ストレス対処といった心理社会的な側面の重要性を認識している学生は、これらが正解だと錯覚しやすいですが、「離脱症状が消退して間もない」という時間的制約が身体的側面の優先度を高めます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、まず「問題の時期(急性期、回復期、慢性期など)」「患者の現在の状態(身体的安定度、精神的安定度、認知機能など)」を特定し、その上で「最も優先される」という条件に合致する、その時期に最も基盤となるアプローチは何かを判断します。特に急性期であれば身体的側面の回復が優先される傾向が強いです。
関連知識
アルコール依存症の治療段階(急性期、回復期、維持期)、各段階における身体的・精神的・社会的問題、そしてそれぞれの段階で求められる作業療法の役割と介入内容。特に、急性期における身体管理の重要性、栄養状態の改善、生活リズムの確立などが基礎体力の回復に繋がります。