68歳の男性。急性心筋梗塞のため14日間入院し、退院後2か月が経過した。心臓リハビリテーションのために実施した検査場面を図に示す。測定項目に含まれないのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
心臓リハビリテーションにおける運動負荷試験(CPX:心肺運動負荷試験)では、心機能や運動耐容能、運動中の生理学的反応を評価するために、心電図、血圧、心拍数、運動負荷量、呼気ガス分析(酸素摂取量、二酸化炭素排出量、換気量、呼吸交換比など)が主要な測定項目となります。肺活量は安静時の肺機能検査で測定される静的な肺容量の指標であり、運動負荷中の心肺応答を直接評価する項目としては通常含まれません。運動中に測定されるのは、動的な換気量やガス交換に関する項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動負荷試験中は、心臓への負担と患者の安全を評価するために、定期的な血圧測定が必須です。正しくは:血圧は重要な測定項目です。選びやすい理由:一般的なバイタルサインであり、検査の基本項目なので誤答としにくい選択肢です。混同注意:安静時の血圧と運動負荷時の血圧の違い。
- 2. 正解。心臓リハビリテーションにおける運動負荷試験の主な目的は、心機能や運動耐容能を評価することです。肺活量は呼吸機能の指標であり、安静時の肺機能検査で評価される項目ですが、運動負荷中の測定項目としては通常含まれません。この検査では、運動中の換気量やガス交換能力(酸素摂取量、二酸化炭素排出量)が測定されます。正しくは:運動負荷試験では通常、肺活量ではなく、運動中の換気量やガス交換に関する項目(例:1回換気量、換気量、酸素摂取量など)が測定されます。選びやすい理由:呼吸機能も運動能力に影響するため、関係しているように感じるかもしれません。特に、換気量と混同しやすいです。混同注意:換気量、1回換気量、努力性肺活量などの呼吸機能検査の各項目。
- 3. 運動負荷試験では、ガス分析装置を用いて呼吸流量やガス濃度を測定し、そのデータから1回換気量を含む換気量を算出します。これは運動中の呼吸応答を評価する上で重要な指標です。正しくは:1回換気量は運動中の呼吸機能の評価項目として測定されます。選びやすい理由:肺活量との関連性から、誤って選択する可能性もありますが、運動中の呼吸の深さを示す重要な指標です。混同注意:肺活量、全肺気量、機能的残気量などの静的な肺容量。
- 4. 運動負荷試験では、ワット(W)やメッツ(METs)といった単位で運動負荷量を段階的に増やしていきます。これは、どの程度の運動で症状が出現するか、あるいは最大運動耐容能を評価するために不可欠な項目です。正しくは:運動負荷量は、試験の目的そのものであり、常に記録・調整される項目です。選びやすい理由:測定項目というよりは操作変数という印象から、誤って選んでしまうかもしれません。しかし、具体的にワット数などで管理・記録されます。混同注意:心拍数や血圧などの生理学的応答項目と、負荷量自体。
- 5. 酸素摂取量(VO2)は、運動中の身体がどれだけ酸素を利用しているかを示す最も重要な指標の一つであり、心肺機能や運動耐容能の評価に直結します。呼気ガス分析装置によってリアルタイムで測定されます。正しくは:酸素摂取量は、運動負荷試験の中核的な評価項目です。選びやすい理由:「酸素」という言葉から、呼吸機能と混同しやすいかもしれませんが、これは心肺系の運動能力を直接的に反映する指標です。混同注意:酸素飽和度(SpO2)や酸素分圧(PaO2)などの血液ガスに関する項目。
国試ポイント
心臓リハビリテーションにおける運動負荷試験(CPX)の主要な測定項目と、その評価目的を正確に理解しているかを問う問題です。特に、安静時の呼吸機能検査項目と運動負荷中の呼吸・ガス交換に関する測定項目を混同しないことが重要となります。
混同注意
肺活量と換気量(1回換気量、分時換気量)の違い、およびそれぞれの測定タイミング(安静時 vs 運動負荷時)や目的。また、酸素摂取量と一般的な呼吸機能検査項目を混同しないこと。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、心肺運動負荷試験の具体的なプロトコル(例:Bruceプロトコル、Naughtonプロトコル)と、各段階で測定・評価される指標(例:RPE、心拍応答、血圧応答、ST変化など)に関する知識が問われる可能性があります。また、呼吸機能検査の各項目(肺活量、1秒量、残気量など)の正常値と病的意義についても確認が必要です。
関連知識
心肺運動負荷試験(CPX)の目的と意義、各測定項目の生理学的意味(例:VO2peak、AT、VE/VCO2 slopeなど)。心臓リハビリテーションにおける運動処方の考え方。禁忌と中止基準。