症状性精神障害を引き起こす疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
ウェルニッケ脳症はビタミンB1欠乏によるものであり、ビタミンB1投与が適切な治療です。全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患であり、脳症状を伴う場合は神経精神ループスと呼ばれ、副腎皮質ステロイドが主要な治療薬となります。他の選択肢は、疾患と治療法が正しく対応していません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ウェルニッケ脳症は、アルコール依存症患者などにみられるビタミンB1(チアミン)欠乏が主な原因で発症します。そのため、チアミンの補充が根本的な治療となります。
- 2. 肝性脳症の治療では、アンモニア産生抑制のためにラクツロースや抗生物質が用いられ、食事療法として分岐鎖アミノ酸製剤が投与されることがありますが、芳香族アミノ酸の投与は適切ではありません。正しくは:肝性脳症の治療では、アンモニア産生を抑制する薬剤(ラクツロース、抗生物質)や、タンパク質代謝改善のための分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の投与が行われます。選びやすい理由:アミノ酸という言葉が肝性脳症と関連付けられやすいため、一部の学生は選択してしまうかもしれません。混同注意:肝不全におけるアミノ酸代謝異常と、治療に用いられる分岐鎖アミノ酸(BCAA)を混同しやすいです。
- 3. 正解。全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患であり、中枢神経系に影響を及ぼし精神症状を引き起こすことがあります(神経精神ループス)。この疾患の基本的な治療は、炎症と免疫反応を抑制する副腎皮質ステロイドが中心です。選びやすい理由:症状性精神障害の治療として副腎皮質ステロイドが直接的に精神症状を改善するわけではないが、原因疾患であるSLEの治療として正しい選択肢であるため、疾患と治療の関連性を理解していれば選択できる。
- 4. 尿毒性脳症は、腎不全により体内に老廃物が蓄積することで生じる脳機能障害です。治療には透析療法などにより老廃物を除去することが必要であり、瀉血は一般的に多血症の治療に用いられるもので、尿毒性脳症の治療ではありません。正しくは:尿毒性脳症の治療は、透析療法(血液透析や腹膜透析)によって体内の老廃物を除去することが中心となります。選びやすい理由:「除去」という行為のイメージから、誤って関連付けてしまう可能性があります。混同注意:血液疾患(例えば多血症など)の治療法である瀉血と、腎不全による代謝異常が原因の尿毒性脳症の治療を混同しやすいです。
- 5. ペラグラはニコチン酸(ビタミンB3)の欠乏によって引き起こされる疾患です。治療にはニコチン酸(ナイアシン)を投与します。葉酸(ビタミンB9)は巨赤芽球性貧血などの治療に用いられ、ペラグラの治療には関連がありません。正しくは:ペラグラの治療には、不足しているニコチン酸(ナイアシンまたはビタミンB3)を投与します。選びやすい理由:どちらもビタミンB群に属するため、正確な知識がないと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:様々な種類のビタミン欠乏症とその治療薬(特にビタミンB群)を混同しやすいです。
国試ポイント
症状性精神障害の原因となる身体疾患と、その疾患に対する標準的な治療法に関する知識が問われています。特に、栄養障害、代謝性疾患、自己免疫疾患といった幅広い分野からの知識が求められます。各疾患の病態生理と、それに基づく治療の組み合わせを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
多くの疾患と治療法の組み合わせが登場するため、各疾患の根本的な原因と治療の関連性を正確に把握していないと、ビタミン欠乏症の種類やアミノ酸の種類、透析と瀉血の違いなどで混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後も、症状性精神障害を引き起こす様々な身体疾患(内分泌疾患、感染症、腫瘍など)と、それに対する治療法の組み合わせが問われる可能性があります。疾患の症状だけでなく、その原因と適切な介入方法をセットで学習することが重要です。
関連知識
ウェルニッケ・コルサコフ症候群、肝性脳症の病態と治療、神経精神ループスの臨床像、尿毒症の管理、各種ビタミン欠乏症(特にB群)とその症状・治療。