メタボリックシンドロームの改善を目的とした統合失調症患者の評価で優先すべきなのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
統合失調症患者のメタボリックシンドロームは、不規則な生活習慣や偏った食生活、運動不足などの要因に加え、服用している抗精神病薬の副作用が大きな原因となります。特に第二世代抗精神病薬(SGA)には体重増加、耐糖能異常、脂質代謝異常などを引き起こすリスクのある薬剤が多く存在します。そのため、メタボリックシンドロームの改善を目的とする場合、まず患者が服用している薬剤の種類や量、そしてそれが代謝に与える影響を評価し、主治医と連携して薬剤調整の可能性を検討することが最も優先されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 睡眠状態は健康に影響しますが、メタボリックシンドロームに直接的に最も強く関連し、かつ統合失調症患者において重要な管理介入となるのは服薬内容です。睡眠は二次的な評価項目となることが多いです。正しくは:統合失調症患者の生活習慣や全体的な健康状態を評価する上で重要ですが、メタボリックシンドローム改善の直接的な優先順位は服薬内容より低いです。選びやすい理由:睡眠不足や不規則な睡眠はメタボリックシンドロームのリスク因子となるため、関連があるように思えます。混同注意:健康全般に影響する要因と、薬剤の副作用という直接的な原因を混同しやすいです。
- 2. 対人関係は統合失調症の症状や生活の質に深く関わりますが、メタボリックシンドロームの直接的な改善目標とは関連性が低いです。社会生活への介入は重要ですが、優先順位は低いでしょう。正しくは:精神疾患の回復において重要な項目ですが、メタボリックシンドロームの直接的な原因や改善策とは結びつきにくいです。選びやすい理由:統合失調症患者の生活の質向上には不可欠な要素であり、活動量の低下などに間接的に影響すると考えられます。混同注意:精神疾患全体のケアと、特定の身体合併症(メタボリックシンドローム)への特化した介入を混同しやすいです。
- 3. 入浴状況は日常生活動作(ADL)の一つであり、セルフケア能力を示す指標ですが、メタボリックシンドロームに直接影響する項目ではありません。ADLの評価は必須ですが、この問題の優先順位としては低いです。正しくは:基本的なADL評価は重要ですが、メタボリックシンドローム改善の介入に直結する項目ではありません。選びやすい理由:自己管理能力の低下は身体活動量の低下や不健康な生活習慣につながり、間接的にメタボリックシンドロームに影響すると考えられます。混同注意:セルフケア能力全般の評価と、代謝疾患の具体的なリスク因子を混同しやすいです。
- 4. 認知機能は統合失調症の病態生理学的な特徴の一つであり、服薬アドヒアランスや自己管理能力に影響を及ぼしますが、メタボリックシンドロームの原因として直接的に評価すべき項目ではありません。服薬内容の評価の方が直接的です。正しくは:認知機能は治療計画の理解や実行に影響するため間接的には重要ですが、直接的なメタボリックシンドロームの原因評価としては服薬内容が優先されます。選びやすい理由:統合失調症患者では認知機能障害がよく見られ、それが食事管理や運動などのセルフケア行動に影響すると考えられます。混同注意:精神疾患の中核症状と、薬剤による副作用という異なる側面を混同しやすいです。
- 5. 正解。統合失調症の治療薬、特に第二世代抗精神病薬には、血糖値上昇、脂質異常、体重増加などのメタボリックシンドロームを誘発・悪化させる副作用を持つものが多くあります。そのため、メタボリックシンドローム改善を目的とした評価では、まず服薬内容を確認し、薬剤調整の可能性を検討することが極めて優先されます。
国試ポイント
精神疾患患者に多く見られる身体合併症(特にメタボリックシンドローム)と、その原因として薬剤の副作用が重要な要因であることを理解しているか。そして、その介入において、どの評価項目が最も優先されるかを問う問題。
混同注意
精神疾患患者の生活習慣全般の改善の重要性と、薬剤の副作用という直接的な原因への介入の優先順位を混同しやすい。身体合併症と精神症状、日常生活への影響を総合的に捉えつつ、最もクリティカルな介入点を判断する能力が試される。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、身体合併症の原因として精神科治療薬の副作用が挙げられている選択肢があれば、それが最優先である可能性が高いと判断する。
関連知識
第二世代抗精神病薬(SGA)の代謝系副作用(体重増加、耐糖能異常、脂質代謝異常)に関する知識。統合失調症患者の生活習慣病リスクの高さ。チーム医療における薬剤師や医師との連携の重要性。作業療法士が介入できる生活習慣改善の具体的方法(食事、運動など)。