Guillain-Barré症候群で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Guillain-Barré症候群は、発症の先行因子として約60-70%の症例で感染症が認められ、特にカンピロバクター・ジェジュニによる腸炎や、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、マイコプラズマ肺炎などの呼吸器系感染症が主な誘因となります。これらの先行感染に対する免疫応答が自己の末梢神経を攻撃することで症状が出現すると考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. Guillain-Barré症候群では、末梢神経の障害により、深部腱反射は低下するか、最終的には消失します。正しくは:深部腱反射は低下または消失する。選びやすい理由:神経系の疾患であるため反射の異常を伴うことは理解できますが、亢進と低下・消失を混同しやすいです。上位運動ニューロン障害でみられる反射亢進と誤解する可能性があります。混同注意:上位運動ニューロン障害による痙性麻痺の症状(反射亢進)。
- 2. Guillain-Barré症候群は特定の年齢層に限定されず、どの年代でも発症し得ますが、特に青年期以降に発症のピークが見られます。小児期に特段多い疾患ではありません。正しくは:全ての年齢層で発症する可能性があるが、特に青年期以降に多く見られる。選びやすい理由:小児期に発症する神経疾患も多いため、年齢層に関する知識が曖昧だと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:小児期に好発する他の神経疾患(例:デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど)。
- 3. Guillain-Barré症候群は、多くの場合、末梢神経の髄鞘が自己免疫により障害される脱髄性疾患であるため、神経伝導速度は著しく低下します。これは診断基準の一つでもあります。正しくは:神経伝導速度は低下する。選びやすい理由:一部の軸索変性型(ADAM/AMSAN)では初期に伝導速度低下が目立たないこともありますが、典型的なAIDPでは低下します。また、神経そのものが切れていないため「保たれる」という表現に惑わされる可能性があります。混同注意:純粋な軸索障害型Guillain-Barré症候群(AMSANなど)の初期病態や、末梢神経の軸索が完全に障害されていない状態。
- 4. Guillain-Barré症候群における感覚障害は、一般的に四肢の末梢部から始まる「手袋靴下型」の分布を呈することが多いです。中央部に強く現れることは稀です。正しくは:感覚障害は四肢の末梢部に強く現れる。選びやすい理由:感覚障害を伴うこと自体は正しい情報であるため、部位に関する記述を詳細に確認しないと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:感覚障害の有無は正しいですが、分布部位(末梢優位か中枢優位か)で迷う可能性があります。
- 5. 正解。Guillain-Barré症候群は、発症の数週間前に先行感染(特にカンピロバクター腸炎やマイコプラズマ肺炎などの呼吸器感染症)を契機として自己免疫反応が生じ、末梢神経が障害されることが多いです。
国試ポイント
Guillain-Barré症候群の病態生理、主な臨床症状(急性発症の運動麻痺、反射低下・消失)、疫学、誘因に関する基本的な知識が問われる問題です。特に先行感染の有無や神経伝導検査所見(脱髄)は頻出のポイントです。
混同注意
多発性硬化症(中枢神経の脱髄性疾患)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP、進行が慢性)、重症筋無力症(神経筋接合部疾患)。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が問われた際には、特に発症からの時間経過(急性期か慢性期か)、麻痺の進行様式(上行性か下降性か)、感覚障害の有無や分布、自律神経症状の有無、呼吸筋麻痺の合併に注意して選択肢を検討する必要があります。
関連知識
Guillain-Barré症候群の診断基準(急性進行性麻痺、腱反射消失・低下、先行感染、髄液蛋白細胞解離など)、病型分類(AIDP、AMAN、AMSANなど)、治療(免疫グロブリン静注療法、血漿交換療法)、予後。