脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018に示されている集中リハビリテーションの転帰指標はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018」では、集中リハビリテーションの効果を評価する主要な転帰指標として、運動失調の重症度を客観的に評価できるSARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)の使用を推奨しています。SARAは、運動失調の様々な側面を評価し、リハビリテーションによる機能改善を捉える上で有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018」では、運動失調の重症度を客観的に評価できるSARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)が、集中リハビリテーションの主要な転帰指標として明確に推奨されています。SARAは、歩行、立位、座位、構音、眼球運動など、運動失調の様々な側面を評価できる包括的なスケールであり、リハビリテーションによる機能改善を捉えるのに適しています。
- 2. 脊髄小脳変性症の主要な症状は運動失調であり、筋力低下は疾患自体の主症状ではありません。廃用によって筋力低下が生じることはありますが、集中リハビリテーションの主要な転帰指標としてガイドラインで推奨されているのは、運動失調を直接評価するスケールです。正しくは:SARAなどの運動失調評価スケールが適切です。選びやすい理由:一般的な神経筋疾患や整形外科疾患のリハビリテーションでは筋力改善が重要な目標となるため、脊髄小脳変性症でも重要だと考えがちです。しかし、この疾患の主たる治療標的は運動失調であり、その評価指標が転帰指標として優先されます。混同注意:廃用による筋力低下は二次的に生じえますが、疾患そのものの重症度やリハビリテーションの主要な効果を測る指標としてはSARAが用いられます。
- 3. 咳嗽力は嚥下機能や呼吸機能と関連しますが、脊髄小脳変性症の集中リハビリテーションにおける主要な転帰指標として、ガイドラインで特に強調されているわけではありません。嚥下障害や呼吸器合併症に対する介入は行われますが、全体的なリハビリテーションの転帰を評価する指標としてはSARAが優先されます。正しくは:SARAなどの運動失調評価スケールが適切です。選びやすい理由:進行すると嚥下障害や誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、咳嗽力の評価が重要だと感じるかもしれません。しかし、これは特定の症状に対する評価であり、集中リハビリテーション全体の主要な転帰指標ではありません。混同注意:特定の機能障害(嚥下障害など)の評価項目と、疾患全体の治療効果を評価する転帰指標を混同しやすいです。
- 4. 脊髄小脳変性症には、感覚障害を伴うタイプも存在しますが、運動失調そのものの重症度を評価し、リハビリテーションの転帰指標としてガイドラインで推奨されているのはSARAです。深部感覚自体がリハビリテーションの効果を測る主要な指標ではありません。正しくは:SARAなどの運動失調評価スケールが適切です。選びやすい理由:運動失調の中には感覚失調も含まれるため、深部感覚の評価が重要だと考えるかもしれません。しかし、SARAは感覚失調が運動に与える影響も含めて全体的に評価します。混同注意:感覚障害が運動失調の一因となることはありますが、リハビリテーションによる機能改善を評価する最も包括的で推奨されている指標はSARAです。
- 5. 関節可動域の制限は、脊髄小脳変性症の直接的な主要症状ではなく、活動性低下に伴う二次的な問題として生じる可能性があります。集中リハビリテーションの主要な転帰指標としては、運動失調を直接評価するSARAが適しています。正しくは:SARAなどの運動失調評価スケールが適切です。選びやすい理由:一般的な運動器疾患のリハビリテーションでは関節可動域の改善が重要な目標となるため、脊髄小脳変性症のリハビリテーションでも重要だと誤解しやすいです。混同注意:長期臥床や活動性低下による二次的な関節拘縮に対する介入は行われますが、それは疾患自体の重症度や集中リハビリテーションの核となる効果を評価する主要な指標ではありません。
国試ポイント
神経難病、特に脊髄小脳変性症に対する診療ガイドラインの内容と、そこで推奨されている評価指標(転帰指標)に関する知識が問われています。ガイドラインに記載された専門的な評価スケールの名称とその意義を正確に理解しているかがポイントです。
混同注意
脊髄小脳変性症の二次的な症状(筋力低下、嚥下障害、深部感覚障害、関節可動域制限など)に対する評価項目と、疾患の主症状である運動失調を直接評価し、リハビリテーションの主要な転帰指標としてガイドラインで推奨されているSARAとを混同しやすいです。ガイドラインで「転帰指標」として明記されているかどうかが重要です。
次に同じ論点が出たら
ガイドラインが改訂された場合は、その最新版の内容を確認する。他の神経難病(例:パーキンソン病、ALSなど)の診療ガイドラインにおけるリハビリテーションの転帰指標についても同様に確認する。特定の疾患に対するリハビリテーションでは、その疾患の主要症状を捉えるための専門的な評価スケールが優先的に用いられることを意識する。
関連知識
SARAの具体的な評価項目(歩行、立位、座位、構音、眼球運動、指鼻試験、運動反復、踵脛試験など)とその評価方法。他の運動失調評価スケール(ICARS、BRSなど)との違いや、それぞれの特徴。脊髄小脳変性症の病態生理、主要症状、リハビリテーションの目的と内容。