僧帽弁閉鎖不全症による心不全で初期からみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
僧帽弁閉鎖不全症は、左心室から左心房への血液逆流が特徴です。これにより左心房圧、そして肺静脈圧が上昇し、肺に血液がうっ滞します(肺うっ血)。この肺うっ血が原因で、比較的早期から呼吸困難が出現します。他の選択肢は主に右心不全の進行期に見られる症状や、心不全の初期症状としては直接的ではないものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝脾腫は右心不全の症状であり、全身のうっ血が進行した際に現れます。僧帽弁閉鎖不全症は左心不全から始まるため、初期症状としては考えにくいです。正しくは:これは右心不全が進行した際の症状である。選びやすい理由:心不全全体で見られる症状ではあるため、初期かどうかを見極める必要がある。混同注意:右心不全による体循環系のうっ血症状と混同しやすい。
- 2. 心不全の多くは血圧上昇を直接引き起こすわけではなく、むしろ心機能の低下により血圧が低下することもあります。特に僧帽弁閉鎖不全症では、拍出量の減少により血圧が低下傾向になることが多いです。正しくは:心不全と高血圧は合併症としてよく見られるが、心不全の初期症状として直接高血圧をきたすわけではない。選びやすい理由:高血圧は心不全の原因となることが多いため、関連があると考えてしまう。混同注意:高血圧が心不全の原因となることと、心不全の初期症状であることとを混同しやすい。
- 3. 下肢浮腫は体循環系のうっ血を示す症状であり、右心不全が進行した際に現れます。僧帽弁閉鎖不全症はまず左心不全から始まり、肺うっ血が先行するため、初期症状としては一般的ではありません。正しくは:これは右心不全が進行した際の症状である。選びやすい理由:心不全の代表的な症状の一つであるため、選びたくなる。混同注意:右心不全による体循環系のうっ血症状と混同しやすい。
- 4. 正解。僧帽弁閉鎖不全症では、左心室から左心房への血液の逆流が生じ、左心房圧および肺静脈圧が上昇します。これにより肺に血液が貯留し(肺うっ血)、肺水腫を引き起こし、呼吸困難が初期から現れやすい症状となります。選びやすい理由:最も直接的に左心機能の低下と肺うっ血を示す症状である。混同注意:他の心不全症状と比べて、肺うっ血に特化した症状として区別する必要がある。
- 5. 頸静脈怒張は右心不全の症状であり、上大静脈系のうっ血が原因で起こります。僧帽弁閉鎖不全症は左心不全から始まるため、初期症状としては適切ではありません。正しくは:これは右心不全が進行した際の症状である。選びやすい理由:心不全で見られる身体所見の一つであるため、迷いやすい。混同注意:右心不全による体循環系のうっ血症状と混同しやすい。
国試ポイント
心臓弁膜症における心不全の病態生理、特に左右の心不全の鑑別と各弁膜症に特有の初期症状を理解しているかどうかが問われています。僧帽弁閉鎖不全症が左心不全を引き起こし、肺うっ血による呼吸困難が初期症状である点を正確に把握している必要があります。
混同注意
左心不全による肺うっ血症状(呼吸困難、起坐呼吸、ピンク色の泡沫痰など)と、右心不全による体循環系のうっ血症状(肝脾腫、下肢浮腫、頸静脈怒張など)を混同しやすい。また、心不全の『初期』症状であるかどうかの判断が重要。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず『どの弁の異常か』『その異常が左心系か右心系か』を判断し、次に『その異常が引き起こす血行動態の変化(前方への血流低下か、後方へのうっ滞か)』を考え、最後に『それによってどの臓器にどのような症状が現れるか』を順序立てて判断するようにしましょう。特に『初期』症状であるかどうかに注意が必要です。
関連知識
心不全の分類(NYHA分類)、左心不全と右心不全の症状の違い、各弁膜症(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症など)の病態と症状。特に、僧帽弁狭窄症も肺うっ血を来しますが、その機序や重症度は僧帽弁閉鎖不全症とは異なります。弁膜症の種類とそれによる血行動態の変化、それに伴う症状の関連性を理解することが重要です。