せん妄で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
せん妄は、急性かつ一過性の意識障害であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者で発症リスクが高まります。加齢に伴う脳機能の脆弱性や多剤併用、入院による環境変化などが危険因子として挙げられます。選択肢2の「高齢は危険因子となる」は、この事実を正確に表しています。
選択肢ごとの解説
- 1. せん妄では、注意力の低下、記憶障害、見当識障害など、広範囲な認知機能の変動や障害が特徴的に現れます。特に、急性の発症と変動がみられます。正しくは:認知機能は変動または障害される。選びやすい理由:認知症と混同して、認知機能が常に低下しているイメージを持つかもしれませんが、せん妄では変動が特徴的です。しかし、保たれるわけではありません。混同注意:認知症の症状と混同されやすいですが、せん妄は急性の認知機能障害であり、変動が激しい点が異なります。
- 2. 正解。高齢者は身体的・精神的な予備能力が低下しており、基礎疾患の多さ、多剤併用、感覚機能の低下などがせん妄の発症リスクを高める重要な因子です。特に、手術後や入院時にせん妄を発症しやすい傾向があります。
- 3. せん妄では、睡眠覚醒リズムの障害が非常に高頻度でみられます。夜間不穏や昼夜逆転、睡眠の質の低下などがよく観察されます。正しくは:睡眠覚醒リズムはしばしば障害される。選びやすい理由:せん妄の症状が日中に軽快することがあるため、一見リズムが保たれているように誤解するかもしれませんが、根本的なリズムは乱れています。混同注意:認知症でも睡眠障害はみられますが、せん妄の睡眠覚醒リズム障害はより急性で変動が激しいです。
- 4. せん妄は適切な治療や原因の除去によって改善することが多く、一過性で可逆的な経過をたどるのが典型的です。ただし、基礎疾患や高齢によって遷延することもあります。正しくは:症状の経過は通常、可逆的である。選びやすい理由:重症のせん妄や、高齢者・基礎疾患のある患者では遷延しやすく、まるで不可逆的に見える場合があるため、誤解しやすいです。混同注意:認知症は進行性で不可逆的な認知機能障害ですが、せん妄は急性で可逆的な病態です。
- 5. せん妄の症状は日内変動が大きく、特に夕方から夜間にかけて増悪する「日暮れ現象(Sundowning)」や、夜間せん妄は非常によく見られる特徴です。正しくは:夜間に発生することは頻繁である。選びやすい理由:一般的な病気のイメージでは、夜間は安静にしているため症状が出にくいと考えるかもしれませんが、せん妄では夜間の環境変化や睡眠障害が症状を悪化させやすいです。混同注意:せん妄の症状は時間帯によって変動するため、夜間せん妄の特徴をしっかり理解しておく必要があります。
国試ポイント
せん妄と認知症の違い、せん妄の主要な特徴(急性発症、変動性、意識障害、睡眠覚醒リズム障害、可逆性)、および危険因子について正確な知識が問われています。特に、高齢が危険因子であることは頻出のポイントです。
混同注意
せん妄と認知症は症状が似ているため混同されやすいですが、せん妄は急性の発症で変動性が高く、原因除去や治療により可逆的である点が認知症と大きく異なります。認知症は慢性進行性で不可逆的です。
次に同じ論点が出たら
次にせん妄に関する問題が出た場合は、せん妄の診断基準の主要項目(意識障害、注意障害、急激な発症、変動性)、具体的な原因、そして理学療法士として関わる際の注意点(環境調整、運動療法時の注意、コミュニケーション方法)に注目して知識を整理すると良いでしょう。
関連知識
せん妄の分類(過活動型、低活動型、混合型)、せん妄の原因(身体疾患、薬剤、手術、脱水、電解質異常、環境変化など)、せん妄の診断基準(DSM-5など)、せん妄の予防と治療(環境調整、原因疾患の治療、薬物療法など)。