強迫症〈強迫性障害〉の症状で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
強迫症の患者は、多くの場合、自分の強迫観念が不合理であること、または現実的ではないことを理解しています。しかし、その思考を抑え込むことができず、強い不安を感じ、強迫行為に駆られます。この病識は、妄想が現実であると信じ込む精神病性障害との大きな違いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 強迫症の患者は、通常、強迫行為を意識的に行い、その行為に関する記憶は明確に残っています。記憶喪失は強迫症の典型的な症状ではありません。正しくは:強迫行為を行った記憶は通常残る。選びやすい理由:行為を制御できない状態から、意識が朦朧としていると誤解されやすいため。また、ストレスや不安が強いと記憶が曖昧になるケースがあるため。混同注意:解離性障害やてんかん発作など、意識障害を伴う疾患による記憶喪失と混同する可能性がある。
- 2. 強迫症の患者は、しばしば自身の強迫行為に家族を巻き込んだり、家族が患者の不安を軽減するために強迫行為に協力したりすることがあります。これは「家族の巻き込み(Family Accommodation)」と呼ばれ、決してまれではありません。正しくは:家族が症状に巻き込まれることは少なくない。選びやすい理由:精神疾患は個人の問題であるという一般的なイメージから、家族への影響が過小評価されやすいため。混同注意:患者の症状が主に個人的な体験に留まる他の精神疾患と混同する可能性がある。
- 3. 強迫観念は、通常、意識が覚醒している状態において繰り返し生じる不快な思考やイメージです。睡眠中は一般的にその症状は持続せず、一時的に解放されることが多いです。ただし、強迫観念による強い不安が不眠を引き起こすことはあります。正しくは:強迫観念は通常、覚醒中に生じ、睡眠中は持続しない。選びやすい理由:強迫観念が非常に苦痛で、四六時中頭から離れないという印象から、睡眠中も続いていると誤解されやすいため。混同注意:悪夢や強い不安による睡眠障害、または覚醒している状態での強迫観念の持続性と混同する可能性がある。
- 4. 強迫症の症状は、患者自身の心の中で生じる強迫観念と、それに対する強迫行為が中心であり、外部からの声(幻聴)によって行動を命じられるものではありません。幻聴は統合失調症などの精神病性障害の症状です。正しくは:強迫観念による不快感や不安を打ち消すために、強迫行為を行っている。選びやすい理由:精神疾患の知識が曖昧な場合、強迫観念と幻覚・妄想を混同しやすいため。混同注意:統合失調症などの精神病性障害にみられる幻聴(特に命令幻聴)と強迫症の症状を混同する可能性がある。
- 5. 正解。強迫症の重要な特徴の一つとして、患者が自分の強迫観念(思考やイメージ)が過度である、あるいは現実離れしていることを認識している点があります。この病識(インサイト)があることが、妄想性障害や統合失調症などの精神病性障害と強迫症を区別する上で重要です。
国試ポイント
強迫症の診断基準や特徴を理解しているかが問われています。特に、強迫観念が「自己不合理であるという認識(insight)」を伴うことは、他の精神病性障害との鑑別点として重要です。
混同注意
幻覚や妄想を伴う統合失調症などの精神病性障害と混同しやすい。強迫症では病識が保たれていることが多く、幻覚・妄想は認められない点が鑑別となる。
次に同じ論点が出たら
強迫症の事例問題が出た場合、まず患者が自身の症状をどのように認識しているか(病識の有無)を確認する。また、強迫行為の内容や目的、家族への影響なども重要な判断材料となる。
関連知識
強迫症の診断基準(DSM-5)、強迫観念と強迫行為の定義、治療法(認知行動療法、薬物療法)、病識の有無の重要性、家族の巻き込み(Family Accommodation)とその影響。