56歳の男性。閉塞性動脈硬化症。半年前から左下腿から足部にかけて冷感と痛みが発現し、歩行距離も低下している。検査法と結果の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
閉塞性動脈硬化症の主要な症状である間欠性跛行は、運動時に下肢の筋肉への血流が不足することで起こります。トレッドミル歩行検査は、この間欠性跛行を再現し、その程度(歩行可能距離や時間)を客観的に評価するために非常に有効な検査法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 閉塞性動脈硬化症の症状は、体位によって軽減することはありません。むしろ血流が悪くなる体位では増悪する可能性があります。正しくは:立位体前屈は、主に脊椎疾患や筋骨格系の疼痛評価に用いられる検査です。選びやすい理由:一般的な腰痛や下肢痛と混同しやすいですが、血管性の痛みには直接関連しません。混同注意:坐骨神経痛などの脊柱管狭窄症による症状
- 2. 閉塞性動脈硬化症では、動脈が狭窄または閉塞することで拍動が弱くなったり、触知できなくなったりしますが、リズムが不整になることは通常ありません。正しくは:閉塞性動脈硬化症では、足背動脈の拍動の減弱または消失がみられます。選びやすい理由:動脈の異常を感知するという点では合っていますが、「リズムの不整」は不整脈など心原性の問題を示唆します。混同注意:不整脈など心臓に起因する循環器疾患
- 3. 閉塞性動脈硬化症の患者では、下肢の血流障害により足関節血圧が低下するため、足関節上腕血圧比(ABI)は通常1.0未満、特に0.9以下が診断基準とされます。1.2以上は、血管の石灰化による偽高値を示す場合がありますが、閉塞を意味するものではありません。正しくは:閉塞性動脈硬化症では、足関節上腕血圧比(ABI)は0.9以下となります。選びやすい理由:数値の異常を認識する点では正しいですが、方向性が逆です。高い数値は通常、血管の石灰化を示唆し、これも異常ですが閉塞性動脈硬化症の直接的な診断値ではありません。混同注意:正常値(1.0〜1.1程度)や、偽高値を示す石灰化のケース
- 4. 閉塞性動脈硬化症における下垂試験では、虚血によって下肢が赤紫色に変色する(ルビー赤色化)ことや、挙上時に蒼白になること(挙上蒼白)が特徴的な所見です。感覚異常は主に神経障害で出現します。正しくは:閉塞性動脈硬化症における両下肢の下垂試験では、下垂時にルビー赤色化、挙上時に蒼白化がみられます。選びやすい理由:下肢の症状と関連するため選びやすいですが、具体的な病態と現象の結びつきが異なります。混同注意:糖尿病性神経障害や脊柱管狭窄症などによる神経症状
- 5. 正解。閉塞性動脈硬化症の典型的な症状の一つが間欠性跛行であり、これは歩行や運動によって下肢の痛みや倦怠感が発現し、休憩すると軽減する現象です。トレッドミル歩行は、この間欠性跛行を誘発・評価するための標準的な検査法です。選びやすい理由:間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症の主要症状であり、その誘発・評価にトレッドミル歩行が有効であるという知識が直接問われています。混同注意:脊柱管狭窄症による間欠性跛行(神経性間欠性跛行)
国試ポイント
閉塞性動脈硬化症の主要症状、診断基準、および代表的な検査所見に関する正確な知識が問われています。特に、症状と検査の組み合わせが正しいかを見極める能力が求められます。
混同注意
神経性間欠性跛行(脊柱管狭窄症など)との鑑別。血管性間欠性跛行は休憩で改善し、神経性は体位の変化で改善しやすい。
次に同じ論点が出たら
閉塞性動脈硬化症の患者が提示された場合、症状(冷感、間欠性跛行、安静時痛、潰瘍・壊疽)とそれに対応する検査所見(ABI、下垂試験、動脈触知)を正確に結びつけられるか。特に、神経性間欠性跛行との鑑別点について問われる可能性が高い。
関連知識
Fontaine分類、Rutherford分類、バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)、糖尿病性足病変、動脈硬化のリスク因子(喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症)。ABIの正常値および異常値(0.9以下、1.3以上)の意味。ドップラー超音波検査、CTアンギオグラフィーなどの画像診断。