アキレス腱断裂について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
高齢者におけるアキレス腱断裂は、加齢による腱の変性や血行不良が背景にあり、転倒や立ち上がりといった比較的軽微な日常動作の中でも発生しやすいことが特徴です。若年者とは異なる受傷機転を理解しておく必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)の腱であり、足関節の底屈運動、特に爪先立ちに不可欠です。完全に断裂していれば、この動作はほぼ不可能となります。正しくは:アキレス腱が完全に断裂すると、爪先立ちは不可能となります。選びやすい理由:部分断裂の場合や、他の足部・足関節の筋群の代償により、わずかに底屈運動ができる可能性もゼロではないと誤解するかもしれません。混同注意:他の足関節周囲の腱損傷や、アキレス腱炎などとの症状の違いと混同する可能性があります。
- 2. アキレス腱断裂の好発年齢は、スポーツ活動が活発な30~40代の男性に多く見られます。これは腱の変性や血流低下が始まる年代と、スポーツによる負荷が重なるためと考えられています。正しくは:アキレス腱断裂の好発年齢は、30~40代です。選びやすい理由:スポーツ外傷というイメージから、若年層のスポーツ選手に多いと誤解しやすいかもしれません。混同注意:オスグッド・シュラッター病など、成長期のスポーツ障害と混同する可能性があります。
- 3. 正解。高齢者ではアキレス腱の加齢による変性が進んでおり、血流も低下しているため、若年層のような激しいスポーツ活動だけでなく、階段の昇降や軽い転倒など、日常的な動作でも断裂を起こしやすくなります。選びやすい理由:特にありません。正しい記述です。混同注意:若年層のスポーツ外傷としての側面が強調されがちですが、高齢者のリスク因子を理解しているか問われています。
- 4. アキレス腱断裂の手術直後から患部の可動域訓練を積極的に行うと、修復された腱に過度な負荷がかかり、再断裂のリスクが高まります。初期は安静・固定が重要であり、可動域訓練は徐々に段階的に進めます。正しくは:手術直後は患部の安静・固定が優先され、可動域訓練は段階的に開始します。選びやすい理由:早期のリハビリテーションの重要性を強調するあまり、何でも早くから行うべきだと考えてしまうかもしれません。混同注意:他の関節疾患や骨折後のリハビリテーションの初期段階と混同する可能性があります。特に、靭帯損傷など一部の早期可動域訓練が推奨されるケースと誤解しやすいです。
- 5. アキレス腱周囲へのステロイド注射は、腱組織を脆弱化させ、むしろアキレス腱断裂のリスクを高めることが知られています。炎症を抑える効果はありますが、腱そのものへの影響が大きいです。正しくは:ステロイド注射はアキレス腱を脆弱化させ、断裂のリスクを高める可能性があります。選びやすい理由:炎症を抑える効果があるため、腱炎などの治療に用いられることから、予防にも有効だと誤解するかもしれません。混同注意:他の腱炎治療におけるステロイド注射の適応や、腱周囲の炎症を抑える治療と混同する可能性があります。
国試ポイント
アキレス腱断裂の疫学、病態生理、およびリハビリテーションの原則に関する知識が問われています。特に、年齢層による受傷機転や、ステロイド注射のリスクなど、単なる知識だけでなく臨床的な考慮点も理解しているかが重要です。
混同注意
アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎、肉離れなど、下腿後面の他の疾患との鑑別や、各病態の治療方針が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、アキレス腱断裂の具体的な診断方法(理学所見)、手術療法の適応、保存療法との比較、各治療段階におけるリハビリテーションの具体的な内容(例:早期荷重の是非、装具の種類)などが問われる可能性があります。また、アキレス腱だけでなく、他の主要な腱・靭帯損傷の病態やリハビリテーションについても深掘りされることが予想されます。
関連知識
アキレス腱断裂の診断(トンプソンテストなど)、保存療法と手術療法、術後のリハビリテーションプロトコル(段階的な荷重、可動域訓練、筋力訓練)、アキレス腱の構造と機能(下腿三頭筋)、腱の加齢性変化。