変形性股関節症でみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
トレンデレンブルグ徴候は、股関節の外転筋(特に中殿筋)の機能不全、股関節の痛み、または変形性股関節症に特有の構造的変化によって生じます。片足立ちの際に非支持側の骨盤が下がる現象が特徴で、これは股関節の安定性や筋力を評価する上で非常に重要な所見です。変形性股関節症では、疼痛による筋力低下、関節破壊による力学的軸の変化などからこの徴候が陽性となることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 変形性股関節症ではなく、末梢神経の絞扼性障害(例:手根管症候群)で認められる徴候です。神経の走行を叩打した際に、放散痛やしびれが生じることで神経の損傷や圧迫を示唆します。正しくは:末梢神経の損傷や圧迫を示唆するもので、該当する神経の走行を叩打することで放散痛が生じる。選びやすい理由:特定の身体部位の異常を示す徴候であるため、広範な整形外科疾患に関連するものと誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の神経学的検査や、脊椎疾患に起因する神経症状。
- 2. 変形性股関節症とは関連がなく、尺骨神経麻痺の診断に用いられる徴候です。母指の内転筋が麻痺した際、代償的に長母指屈筋が働き、母指のIP関節が過度に屈曲します。正しくは:尺骨神経麻痺により母指内転筋が麻痺した際、代償的に長母指屈筋が働き、母指IP関節が過屈曲する現象。選びやすい理由:手の機能障害を示す徴候として、漠然と身体機能の低下と結びつけてしまう可能性があります。混同注意:他の手の神経麻痺(例:正中神経麻痺による猿手、橈骨神経麻痺による下垂手)や、腱鞘炎などの手の局所的な問題。
- 3. 変形性股関節症ではなく、主に脊髄後索障害や前庭系の異常など、深部感覚や平衡感覚の障害によって生じる徴候です。開眼時よりも閉眼時に体幹の動揺や転倒傾向が増強します。正しくは:目を閉じた際に、体幹の動揺や転倒傾向が増強する徴候で、主に脊髄後索障害や前庭系の異常を評価する。選びやすい理由:歩行やバランスに関する徴候であるため、股関節疾患による歩行障害と混同しやすいかもしれませんが、原因となる病態は異なります。混同注意:小脳性失調や、股関節痛による疼痛性歩行、あるいは筋力低下による動揺。
- 4. 変形性股関節症とは関係がなく、脊髄の病変(例:多発性硬化症、脊髄損傷、頸髄症)の際に、頸部を前屈した際に背部から四肢にかけて電撃様の痛みが走る神経症状です。正しくは:頸部を前屈した際に、背部から四肢にかけて電撃様の痛みが走る神経症状。選びやすい理由:神経症状であるため、整形外科疾患全般と結びつけてしまう可能性があるかもしれませんが、特定の部位の脊髄病変に特有です。混同注意:坐骨神経痛や椎間板ヘルニアによる下肢痛、または他の末梢神経障害。
- 5. 正解。変形性股関節症では、股関節の外転筋(特に中殿筋)の筋力低下や疼痛、あるいは関節の変形により、片足立ちの際に非支持側の骨盤が下がるトレンデレンブルグ歩行が認められることが多く、この徴候は股関節疾患の評価に非常に重要です。
国試ポイント
この問題は、変形性股関節症のような一般的な運動器疾患において特徴的にみられる身体所見や特殊テストに関する基本的な知識を問うものです。各徴候がどの疾患や病態と関連するかを正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
ロンベルグ徴候(バランス障害)、疼痛性歩行(痛みによる歩行パターン)、デュシェンヌ徴候(支持側の体幹を傾ける代償動作)など、他の歩行異常やバランス評価と混同しやすいです。また、股関節疾患以外でトレンデレンブルグ徴候が陽性となる病態(例:先天性股関節脱臼、神経疾患による筋力低下)も存在します。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、疾患名だけでなく、その疾患によってどの筋肉や神経、関節機能にどのような影響が出るかを具体的にイメージできるか、そしてそれに伴ってどのような身体所見や特殊テストが陽性になるかを結びつけられるかが重要となります。股関節の安定性や疼痛、歩行異常に焦点を当てた問題が多いです。
関連知識
変形性股関節症の病態生理(軟骨変性、骨棘形成)、その他の股関節疾患(大腿骨頭壊死、臼蓋形成不全)、股関節周囲筋の機能解剖(特に外転筋群)、股関節痛の原因と評価方法、疼痛性歩行や動揺性歩行などの他の歩行分析。