筋萎縮性側索硬化症で生じにくい症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位および下位運動ニューロンが障害される進行性の神経変性疾患ですが、一般的に眼球運動を司る神経核や括約筋を支配する神経核は比較的保たれる「less affected areas(影響を受けにくい領域)」とされています。そのため、眼球運動障害はALSの末期まで出現しにくい、あるいは出現しないことが多いです。他の選択肢はすべてALSの典型的な症状であり、多くの場合早期から見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. ALSでは延髄症状として舌の線維束性収縮や萎縮が頻繁に見られます。これは典型的な症状の一つです。正しくは:舌の萎縮はALSの典型的な症状の一つである。選びやすい理由:ALSの様々な症状を知らない場合、舌の症状はあまりイメージできないかもしれない。混同注意:ALSの症状の範囲を限定的に捉えていると、このような症状を除外してしまう可能性がある。
- 2. ALSでは延髄症状として構音障害(話しにくさ)が早期から現れることが多く、進行すると重度になります。正しくは:構音障害はALSの典型的な症状の一つである。選びやすい理由:初期には軽度な場合もあるため、起こりにくいと誤解する可能性がある。混同注意:構音障害と嚥下障害を混同したり、症状の出現時期を誤解したりする場合がある。
- 3. ALSの病名が示す通り、筋萎縮と側索硬化が特徴であり、上下肢の運動ニューロンが障害されることで麻痺や筋力低下が生じます。正しくは:上下肢麻痺はALSの主たる症状であり、病名にも関連する。選びやすい理由:ALSの基本的な症状であるため、これは起こりにくいと考える人は少ないだろう。混同注意:重症度の違いや進行度によって症状の程度は異なるが、生じにくいわけではない。
- 4. 正解。ALSでは、ほとんどのケースで眼球運動を司る神経核は比較的保たれるため、眼球運動障害は末期まで生じにくい、あるいは生じないことが多いです。これがALSの鑑別点の一つでもあります。選びやすい理由:他の神経変性疾患では眼球運動障害が見られることがあるため、混同して誤って選択してしまう可能性がある。混同注意:他の神経変性疾患(例: 多系統萎縮症、進行性核上性麻痺など)の症状と混同しやすい。
- 5. ALSでは延髄症状として嚥下障害が早期から現れることが多く、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。正しくは:摂食嚥下障害はALSの典型的な症状の一つである。選びやすい理由:初期には軽度な場合もあるため、起こりにくいと誤解する可能性がある。混同注意:摂食嚥下障害と構音障害はALSの延髄症状として同時期に、または前後して現れることが多い。
国試ポイント
ALSの疾患特性を問う問題であり、特に「保たれる機能(less affected areas)」に関する知識が問われています。これは、他の神経変性疾患との鑑別にも重要なポイントです。
混同注意
ALSで保たれる機能と、パーキンソン病や多系統萎縮症、進行性核上性麻痺など他の神経変性疾患でみられる症状とを混同しやすい。特に、多系統萎縮症では小脳症状や自律神経症状、パーキンソン症状に加え、末期には眼球運動障害もみられることがあるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
ALSに関する問題が再度出題された場合、症状の進行パターン、病型(球麻痺型、肢体型など)、呼吸器管理、栄養管理、あるいは薬剤治療に関する内容が問われる可能性があります。
関連知識
ALSで比較的保たれる機能には、眼球運動の他に膀胱直腸機能(括約筋機能)や感覚機能も挙げられます。これらの知識もあわせて理解しておくことが重要です。