糖尿病性腎症で正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
糖尿病性腎症は、高血糖状態が長期間続くことで腎臓の糸球体に不可逆的な硬化病変が生じ、腎機能が徐々に低下していく慢性合併症です。この進行の結果、日本では末期腎不全に至る原因として最も多く、透析導入の原因疾患の第一位となっています。
選択肢ごとの解説
- 1. 糖尿病性腎症の主な特徴は蛋白尿(特に微量アルブミン尿から始まり、進行すると顕性蛋白尿)であり、肉眼的血尿が主症状となることは稀です。微量の血尿が見られることもありますが、特徴的とは言えません。正しくは:蛋白尿が特徴的である。選びやすい理由:腎臓病一般で血尿が見られることがあるため、糖尿病性腎症でも血尿が特徴的であると誤解しやすいかもしれません。混同注意:IgA腎症や急性糸球体腎炎など、血尿を主症状とする他の腎疾患と混同する可能性があります。
- 2. 正解。糖尿病性腎症では、持続する高血糖によって糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム領域の拡大、そして結節性糸球体硬化症(Kimmelstiel-Wilson結節)といった病理学的変化が進行し、最終的に糸球体硬化に至ります。
- 3. 糖尿病性腎症の主な原因は、長期間にわたる高血糖状態です。低血糖発作は糖尿病治療の合併症の一つであり、腎症を引き起こす原因ではありません。正しくは:高血糖状態が病気の引き金となります。選びやすい理由:低血糖も糖尿病の症状の一つであるため、それが合併症の原因になると誤解することがあります。混同注意:糖尿病の慢性合併症(腎症、網膜症、神経障害など)の原因が高血糖であることと、急性合併症(低血糖、糖尿病ケトアシドーシスなど)の病態を混同しやすいです。
- 4. 糖尿病性腎症は、糖尿病の発症から通常は数年〜10年以上経過した後に発症する慢性合併症です。初期には無症状であることが多く、微量アルブミン尿の出現から診断に至るまでにも時間を要します。正しくは:糖尿病の長期罹患後にみられる。選びやすい理由:糖尿病は全身疾患であり、多くの合併症を伴うため、すべてが早期から発症すると考えてしまうかもしれません。混同注意:糖尿病の初期症状(多飲、多尿、体重減少など)や、糖尿病の診断基準と、慢性合併症の進行時期を混同する可能性があります。
- 5. 正解。日本を含む多くの先進国において、糖尿病性腎症は末期腎不全に至る主要な原因疾患であり、新規に透析導入となる原因の第一位を占めています。
国試ポイント
この問題は、糖尿病性腎症の病態生理(糸球体硬化)、発症時期、臨床的特徴(蛋白尿が主)、そして疫学的側面(透析導入原因の最多)に関する基本的な知識が問われています。特に、原因(高血糖)と結果(腎症)、症状(蛋白尿 vs 血尿)、および合併症の発生時期を正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
学生は、糖尿病の初期症状と慢性合併症の発症時期、血尿と蛋白尿の区別、また低血糖と高血糖どちらが腎症の原因となるかについて混同しやすい傾向があります。また、腎臓病全般の知識と糖尿病特有の腎臓病の知識を明確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点で出題された場合、糖尿病性腎症の具体的な病期分類(微量アルブミン尿期、顕性蛋白尿期、腎不全期など)における所見や治療のポイント、他の腎臓病との鑑別、あるいは治療薬(SGLT2阻害薬など)の腎保護効果について問われる可能性があります。
関連知識
糖尿病の三大合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害)の各特徴、糖尿病性腎症の病期分類(ステージ分類)、微量アルブミン尿の重要性、そして腎保護のための血糖コントロール、血圧管理、脂質管理に関する知識も関連します。