重症筋無力症について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
重症筋無力症は、自己の免疫システムが誤って神経筋接合部のアセチルコリン受容体などを攻撃することで、筋力低下を引き起こす疾患です。これは、自身の体を攻撃する「自己免疫疾患」の典型例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 重症筋無力症の症状は、活動を続けることで増悪し、休息によって一時的に回復するという日内変動が特徴です。そのため、一日の始まりである起床時よりも、活動後の夕方に症状が強くなることが多いです。正しくは:症状は、活動によって悪化し、休息によって改善するという日内変動があり、夕方により強くなる傾向があります。選びやすい理由:一般的な疲労感は起床時には回復していることが多いという経験則から、逆に症状が強いと錯覚しやすいかもしれません。また、一部の疾患では起床時に症状が強いものもあるため、混同する可能性があります。混同注意:関節リウマチなどの炎症性疾患では起床時に関節のこわばりがあることがありますが、重症筋無力症とは異なります。
- 2. 重症筋無力症では、胸腺腫の合併が見られますが、これは一般的な悪性腫瘍(癌)とは異なります。胸腺腫は良性のものが多いですが、一部に悪性のものもあります。ただし、「悪性腫瘍の合併が多い」という表現は広範な悪性腫瘍全般を指すため、誤りです。正しくは:胸腺腫を合併することがあります。選びやすい理由:胸腺腫が合併症として有名であるため、「腫瘍」という言葉から「悪性腫瘍」と誤って連想しやすいです。混同注意:「腫瘍」と「悪性腫瘍」を混同しやすいです。また、他の疾患(例:パラネオプラスティック症候群など)では悪性腫瘍が神経症状を引き起こすことがありますが、重症筋無力症とは機序が異なります。
- 3. 正解。重症筋無力症は、神経筋接合部のアセチルコリン受容体などに対する自己抗体が産生され、その機能が障害されることによって発症する代表的な自己免疫疾患です。選びやすい理由:この選択肢は、重症筋無力症の病態生理における中心的な概念を正確に述べているため、迷うことなく選べるはずです。混同注意:特になし。これは疾患の本質的な特徴です。
- 4. 重症筋無力症は、特に若い世代(20〜30代)では女性に多い傾向がありますが、全体的には性差はほぼありません。高齢発症の場合は男性に多い傾向も見られます。しかし、「女性よりも男性に多い」という記述は、多くの発症年齢層での疫学的事実と異なるため、不正確です。正しくは:若い世代では女性に多い傾向がありますが、全体的な性差は小さいです。選びやすい理由:自己免疫疾患全般に女性が多い傾向があるため、そう思いがちですが、重症筋無力症の場合、高齢発症では男性に多く、全体として性差はそこまで明確ではありません。混同注意:他の自己免疫疾患(例:全身性エリテマトーデス、橋本病など)が圧倒的に女性に多いため、そのイメージと混同しやすいです。
- 5. 重症筋無力症の発症年齢は二峰性を示し、20〜30代の若年発症と、50〜60代以降の高齢発症のピークがあります。特に若年発症は女性に多く、40歳未満での発症は決して稀ではありません。正しくは:40歳未満での発症も比較的多く見られます。選びやすい理由:高齢者の病気というイメージがあるかもしれませんが、実際には若年者での発症も多い疾患です。稀という言葉のニュアンスで判断を誤る可能性があります。混同注意:認知症やパーキンソン病など、主に高齢者に発症する神経疾患と混同する可能性があります。
国試ポイント
重症筋無力症の基本的な病態、症状の日内変動、合併症(特に胸腺腫)、疫学(性差、発症年齢)について理解しているかを問う問題です。各選択肢の細部まで正確な知識が求められます。
混同注意
他の神経筋疾患(ALS、多発性硬化症、筋ジストロフィーなど)や、他の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)の特徴と混同しやすい点が狙われやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が問われた場合、重症筋無力症の治療法(抗コリンエステラーゼ薬、ステロイド、免疫抑制剤、胸腺摘除術、血漿交換など)や、クリーゼに関する知識も重要になります。また、他の代表的な神経筋疾患との鑑別点も問われる可能性があります。
関連知識
神経筋接合部の生理学、自己免疫疾患のメカニズム、胸腺の機能、アセチルコリンの役割、抗体について。診断にはテンシロンテストや抗アセチルコリン受容体抗体検査などが用いられることも関連知識です。