高齢者にみられる病態のうち、低栄養の関与が低いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
虚血性心疾患は、主に動脈硬化によって冠動脈が狭窄・閉塞することで心筋への血流が不足する病態です。その主なリスク因子は高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などであり、これらは低栄養よりもむしろ過栄養や特定の食習慣、生活習慣との関連が深いとされています。一方、他の選択肢である貧血、褥瘡、大腿骨骨折、サルコペニアは、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの不足による低栄養が、それぞれの病態の発生や悪化に深く関与することが知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 低栄養、特に鉄分やビタミンB12、葉酸などの不足は、貧血の主要な原因となります。正しくは:低栄養は貧血のリスクを高めます。選びやすい理由:貧血は様々な原因で起こるため、低栄養との関連が薄いと誤解する可能性があります。混同注意:出血性貧血など、栄養以外の原因による貧血と混同しやすいです。
- 2. 低栄養は皮膚の脆弱性を高め、組織修復能力を低下させるため、褥瘡の発生リスクを上げ、治癒を遅らせます。特にタンパク質不足は褥瘡に深く関与します。正しくは:低栄養は褥瘡の発生と悪化に強く関連します。選びやすい理由:褥瘡は体圧分散などの外的要因が大きいと思われがちですが、内的要因としての栄養状態も非常に重要です。混同注意:物理的な圧迫による皮膚損傷とだけ捉え、栄養状態の影響を過小評価する場合があります。
- 3. 低栄養は骨密度の低下(骨粗鬆症)を引き起こしやすく、転倒による骨折のリスクを高めます。また、筋力低下も転倒リスクを上昇させます。正しくは:低栄養は骨粗鬆症や筋力低下を招き、大腿骨骨折のリスクを高めます。選びやすい理由:骨折は転倒が直接的な原因と思われがちですが、転倒しやすさや骨の脆弱性には栄養状態が大きく影響します。混同注意:骨折の原因を純粋な外傷としてのみ捉え、その背景にある全身状態、特に栄養状態の影響を見落とすことがあります。
- 4. サルコペニア(加齢性筋肉量減少症)は、タンパク質摂取不足などの低栄養が主な原因の一つであり、筋肉の維持・増強には適切な栄養摂取が不可欠です。正しくは:低栄養はサルコペニアの主要な原因の一つです。選びやすい理由:サルコペニアは加齢が主な原因と思われがちですが、栄養介入で改善可能な部分も大きいです。混同注意:加齢による自然な筋肉量減少と、栄養状態の悪化による筋肉量減少を区別しにくいことがあります。
- 5. 正解。虚血性心疾患は、主に動脈硬化を原因とするもので、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が主なリスク因子です。これらは必ずしも「低栄養」とは直結せず、むしろ過栄養や特定の栄養素の過剰摂取がリスクとなることが多いです。正しくは:虚血性心疾患は低栄養よりも過栄養や生活習慣病との関連が深いです。選びやすい理由:心臓病一般に低栄養の影響があると考える人もいますが、虚血性心疾患の原因は動脈硬化であり、低栄養が直接的な関与は薄いです。混同注意:心臓病全般と低栄養の関係(例えば、心不全患者の悪液質など)と、虚血性心疾患の病態生理を混同しやすいです。
国試ポイント
高齢者の病態と栄養状態の関連性について、直接的な因果関係の有無を正確に理解しているかを問う問題です。特に、低栄養が関与する病態とそうでない病態を区別する知識が求められます。
混同注意
高齢者の病態と栄養状態は多岐にわたるため、一見するとどの病態も栄養と関連があるように見えがちです。特に、虚血性心疾患の文脈で「心臓に悪い食べ物」という漠然としたイメージから、低栄養との関連を誤解する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
この論点に関して、次に問われるとしたら、それぞれの病態において具体的にどの栄養素の不足が問題となるか、または低栄養に対する具体的な栄養介入方法について問われる可能性があります。
関連知識
低栄養の定義と診断基準(MNA-SFなど)。フレイルとサルコペニア。骨粗鬆症の診断と治療。褥瘡の発生要因と予防。高齢者の貧血の種類と原因。