42歳の女性。感冒症状が出現して1週後から対称性に両手のしびれを自覚し、脱力が急速に近位部へと広がったため神経内科を受診した。上肢遠位部優位の脱力と四肢の深部腱反射消失を認め、Guillain-Barré症候群と診断された。検査所見として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ギラン・バレー症候群は、末梢神経の髄鞘が自己免疫的に破壊される脱髄性疾患であり、神経伝導速度の低下が主要な病態生理学的特徴です。電気生理学的検査である末梢神経伝導検査では、この脱髄により神経線維を伝わる電気信号の速度が遅くなるため、伝導速度の低下が認められます。これは、診断の重要な根拠となります。
選択肢ごとの解説
- 1. ギラン・バレー症候群では、典型的には髄液蛋白細胞解離が認められ、細胞数の著しい増加は見られません。細胞数の増加は炎症性疾患や感染症を示唆することが多いです。正しくは:髄液検査で蛋白量が増加し、細胞数は正常範囲内である。選びやすい理由:炎症性疾患のイメージから細胞数の増加を連想しやすいが、ギラン・バレー症候群の典型的な所見とは異なる。混同注意:細菌性髄膜炎など、他の神経疾患と混同される可能性がある。
- 2. ギラン・バレー症候群は主に末梢神経の疾患であり、頭部や脊髄のMRI検査で直接的な異常所見を認めることは稀です。ただし、一部の亜型や重症例では脊髄神経根の造影効果が見られることはあります。正しくは:末梢神経根の造影MRI検査で増強効果が認められることがある。選びやすい理由:神経系の疾患であるため、画像診断で異常が見られると誤解しやすい。混同注意:中枢神経疾患(脊髄炎など)との鑑別が難しい場合に、画像検査の役割を混同することがある。
- 3. 正解。ギラン・バレー症候群は、多くの場合、末梢神経の脱髄を特徴とするため、神経伝導速度が著しく低下します。これは、脱髄によって電気信号の伝達が遅くなるためです。正しくは:この選択肢は正しい。混同注意:活動電位の振幅低下や潜時延長など、他の神経伝導検査所見と混同する可能性。
- 4. 連続刺激によってM波の振幅が漸増するのは、Lambert-Eaton症候群などの神経筋接合部疾患で特徴的に見られる現象です。ギラン・バレー症候群では、神経終末の機能不全による振幅の低下は見られても、漸増は一般的ではありません。正しくは:末梢神経への連続刺激でM波の振幅が漸減する、または変化がない。選びやすい理由:神経疾患における電気生理学的検査の知識があいまいな場合、具体的な現象と疾患を結びつけにくい。混同注意:神経筋接合部疾患の所見と混同される可能性がある。
- 5. F波は脊髄前角細胞を経由して末梢神経を逆行・順行する活動電位であり、脱髄性疾患であるギラン・バレー症候群では、神経伝導の遅延によりF波の潜時は延長します。短縮することはありません。正しくは:末梢神経刺激により誘発されるF波の潜時が延長する。選びやすい理由:潜時という言葉で神経伝導速度と関連付けるのは正しいが、その変化の方向を誤って認識しやすい。混同注意:H反射やその他の神経伝導検査の数値と混同される可能性がある。
国試ポイント
ギラン・バレー症候群の主要な病態と、それに伴う電気生理学的検査所見(特に神経伝導速度)を正確に理解しているかが問われる問題です。髄液検査、画像診断、連続刺激試験、F波などの鑑別も重要です。
混同注意
ギラン・バレー症候群と他の神経疾患(重症筋無力症、Lambert-Eaton症候群、脊髄炎など)の検査所見、特に電気生理学的検査や髄液所見を混同しやすい。それぞれの疾患に特異的な所見を区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
この患者の重症度に応じたリハビリテーションプログラムの立案や、呼吸筋麻痺の進行に対するモニタリングと対応の判断。
関連知識
ギラン・バレー症候群の診断基準(Hughesの分類など)、病態生理(脱髄型、軸索型)、治療(免疫グロブリン療法、血漿交換療法)、予後。神経伝導検査の基本原理とM波、H反射、F波の意味。