Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を図に示す。正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
選択肢1は前鋸筋のMMT(徒手筋力テスト)段階3を示しています。この段階では、重力に抗して全可動域で運動が可能であることを評価します。座位での肩甲骨外転・上方回旋運動(腕の挙上)は、前鋸筋の主要な作用であり、抵抗を加えずに重力下でその運動ができるかを評価しています。術者の手は肩甲骨の動きを触診しているため、正しい検査方法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。前鋸筋の作用は肩甲骨の外転・上方回旋であり、座位で腕を挙上させることで重力に抗した全可動域での運動を評価します。術者は肩甲骨内側縁の浮き上がり(翼状肩甲)の有無を確認しながら、前鋸筋の収縮を触診しており、Danielsらの徒手筋力テストの段階3の検査方法として適切です。選びやすい理由:前鋸筋の機能と検査肢位が直接的に一致しているため、正答として選びやすいです。混同注意:他の肩甲骨周囲筋(例:僧帽筋、菱形筋)のMMTと混同されることは少ないですが、MMTの段階付けにおいて抵抗の有無や重力の影響を考慮する点では混同しやすい可能性があります。
- 2. 上腕二頭筋のMMT段階3の検査方法として描かれていますが、これは誤りです。上腕二頭筋は肘関節の屈曲と前腕の回外を行います。この図では前腕回内位で抵抗を加えており、上腕二頭筋の作用を適切に評価できていません。また、抵抗方向も不適切です。正しくは:上腕二頭筋の段階3では、前腕を回外位にし、重力に抗して肘関節を全可動域で屈曲させます。抵抗を加えるのは段階4以降です。選びやすい理由:肘関節を屈曲しようとしている動きに見えるため、上腕二頭筋の評価と関連づけてしまいがちです。また、抵抗を加える動きが段階評価と誤解される可能性があります。混同注意:上腕筋や腕橈骨筋など他の肘屈筋の評価方法、または抵抗を加える段階4以上の評価と混同しやすいです。
- 3. 広背筋のMMT段階3の検査方法として描かれていますが、これは誤りです。広背筋の作用は肩関節の伸展、内転、内旋です。図では肩関節を伸展させようとしていますが、患者が伏臥位で腕を体側から離して挙上する形は、重力に抗する広背筋の作用として不適切です。また、抵抗も加えられていません。正しくは:広背筋の段階3では、伏臥位で上肢を体側と平行に伸展させ、重力に抗してわずかに挙上させます。適切な検査肢位は、肩関節90度外転位での水平伸展の姿勢ではありません。選びやすい理由:伏臥位での腕の挙上が広背筋の作用の一部と捉えられがちですが、詳細な肢位や運動方向が異なります。混同注意:三角筋後部線維や棘下筋などの肩関節外旋・伸展筋の評価、または重力除去位での評価と混同しやすいです。
- 4. 腕橈骨筋のMMT段階4の検査方法として描かれていますが、これは誤りです。腕橈骨筋の作用は肘関節の屈曲(前腕中間位)です。図では肘関節を屈曲し抵抗を加えているように見えますが、抵抗の方向が内転方向であり、腕橈骨筋の主要な作用である屈曲運動への抵抗としては不適切です。また、前腕の位置も中間位ではなく回外位に近い形になっています。正しくは:腕橈骨筋の段階4では、前腕を中間位(親指を上)にして肘関節を屈曲させ、抵抗は手関節付近に屈曲方向に対して加えます。選びやすい理由:肘関節屈曲と抵抗という点では、筋力テストの形式に見えるため選びやすいです。混同注意:上腕二頭筋や上腕筋など他の肘屈筋のMMT、特に抵抗を加える段階と混同しやすいです。
- 5. 腸腰筋のMMT段階3の検査方法として描かれていますが、これは誤りです。腸腰筋の作用は股関節の屈曲です。この図では股関節が屈曲位で、さらに外転方向への運動を評価しようとしているように見えます。段階3では重力に抗して股関節を屈曲させる運動を評価しますが、この図の肢位と運動は腸腰筋の単独評価に適していません。正しくは:腸腰筋の段階3では、座位で股関節を屈曲し、抵抗なしに重力に抗して膝を上げられるか評価します。股関節の屈曲が主要な運動であり、外転運動ではありません。選びやすい理由:座位で股関節を曲げる動きが、腸腰筋の作用と関連しているように見えるため、選びやすいです。混同注意:大腿筋膜張筋や縫工筋など、股関節の屈曲・外転に関与する他の筋肉のMMTと混同しやすいです。
国試ポイント
徒手筋力テストの各筋肉における検査肢位と抵抗方向、そして各段階(特に重力の影響)を正確に理解すること。
混同注意
MMTの段階評価(特に重力との関係)と、検査する筋肉の作用を混同しやすい。また、補助筋の関与を排除するための固定と、評価対象筋への抵抗方向を間違えやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様のMMTに関する問題が出た場合は、まず筋肉の作用と検査肢位が一致しているか、次に抵抗方向と段階設定(重力の影響)が適切かを確認して判断します。
関連知識
MMTの段階付け(0~5)、各関節の主動作筋と拮抗筋、運動方向。特に上肢帯の筋肉(僧帽筋、菱形筋、広背筋など)の作用と検査方法。