脊髄小脳変性症で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
選択肢3について、SARAは運動失調の重症度を客観的に評価する標準的な尺度であり、脊髄小脳変性症の病態評価や治療効果判定に広く用いられています。選択肢5について、非遺伝性の脊髄小脳変性症の代表である多系統萎縮症(MSA)では、顕著な自律神経障害が特徴的な症状の一つですが、多くの遺伝性脊髄小脳変性症(SCAなど)では自律神経障害は比較的少ないか、あったとしても軽度であるため、本選択肢は正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. Frenkel体操は、脊髄小脳変性症による運動失調の改善に有効な運動療法の一つです。感覚入力と意識的な運動制御を通じて、協調運動能力の向上を目指します。正しくは:Frenkel体操は、運動失調の改善に有効な治療法の一つである。選びやすい理由:進行性の神経変性疾患であるため、運動療法は無効と誤解しやすい。混同注意:進行性疾患に対する治療は、全て対症療法であり根本治療ではないという認識と混同しやすいが、症状緩和や機能維持のためのリハビリテーションは有効である。
- 2. 脊髄小脳変性症は主に小脳や脊髄の障害により運動失調を呈する疾患であり、視覚障害は主要な症状ではありません。一部の亜型で視神経萎縮などがみられることもありますが、一般的に高頻度とは言えません。正しくは:視覚障害を伴うことは稀であるか、特定の病型に限られる。選びやすい理由:神経系の広範な変性疾患であるため、感覚器障害も伴うと考えやすい。混同注意:多系統萎縮症(MSA)やその他の神経変性疾患で視覚障害がみられる場合があることと混同しやすいが、脊髄小脳変性症の中核症状ではない。
- 3. 正解。SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は、脊髄小脳変性症を含む運動失調症の重症度を客観的に評価するために広く使用されている包括的な評価尺度です。歩行、立位、座位、言語、指鼻試験など8項目から構成され、点数化されます。
- 4. 日本の脊髄小脳変性症患者の多くは孤発性(非遺伝性)であり、特に多系統萎縮症(MSA)の小脳失調型が主な病型です。遺伝性は全体の一部を占めます。正しくは:日本の患者数は、遺伝性よりも非遺伝性の方が多い。選びやすい理由:遺伝性疾患というイメージが強いため、遺伝性の患者数が多いと誤解しやすい。混同注意:遺伝性脊髄小脳変性症の種類が多く研究対象となりやすいため、患者数も多いと誤解しやすいが、実際には多系統萎縮症(非遺伝性)が最も多い病型である。
- 5. 正解。非遺伝性の脊髄小脳変性症の主要な病型である多系統萎縮症(MSA)では、小脳失調に加えて自律神経障害(起立性低血圧、排尿障害など)が高頻度にみられます。一方で、遺伝性の脊髄小脳変性症(SCAなど)では、小脳失調が主症状であり、自律神経障害は比較的少ないか、あっても軽度であることが多いです。
国試ポイント
脊髄小脳変性症の病態、疫学、評価、治療に関する基本的な知識が問われています。特に、遺伝性と非遺伝性の病型の違い、主要な評価尺度、有効なリハビリテーションについて理解しているかが重要です。
混同注意
遺伝性疾患と非遺伝性疾患の症状の違い、特に自律神経障害の有無と頻度について混同しやすい。また、リハビリテーションの効果についても誤解が生じやすい。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た際は、脊髄小脳変性症の各病型(特にMSAとSCA)の臨床的特徴(運動失調以外の随伴症状、遺伝形式など)と、主要なリハビリテーションアプローチ、評価方法に注目して選択肢を検討する。
関連知識
脊髄小脳変性症の主な病型(多系統萎縮症、脊髄小脳失調症:SCAなど)、各病型の特徴的な症状、Frenkel体操の目的と方法、その他の評価尺度(ICARSなど)についても確認すると良いでしょう。