脊髄小脳変性症で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
脊髄小脳変性症のリハビリテーションでは、運動失調の改善を目指すFrenkel体操が有効であり、特に協調性、バランス、歩行機能の改善に寄与します。また、疾患の重症度や進行度を客観的に評価するために、SARAのような包括的な評価スケールが臨床や研究で広く用いられています。一方、視野障害は典型的な症状ではなく、有病率も人口10万人あたり10~30人程度と選択肢の数値より低いです。自律神経障害の頻度は病型によって異なり、遺伝性か非遺伝性かのみで一概に判断することはできません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Frenkel体操は、運動失調症の患者さんに対して、視覚、触覚、固有受容感覚などの感覚入力を意識的に活用し、正確な運動を反復することで協調性を改善する目的で行われる運動療法です。脊髄小脳変性症に伴う運動失調、特にバランス機能や歩行能力の改善に効果が期待されます。
- 2. 脊髄小脳変性症の主な症状は運動失調、構音障害、眼球運動障害などであり、これらは小脳や脊髄の変性によって引き起こされます。視野障害は脊髄小脳変性症の典型的な症状ではありません。正しくは:脊髄小脳変性症の主な症状は運動失調、構音障害、眼球運動障害などであり、視野障害を直接的に伴うことは稀です。選びやすい理由:神経変性疾患の中には視神経病変を伴うもの(例:多発性硬化症)もあるため、脊髄小脳変性症も同様に視野障害を伴うと誤解してしまう可能性があります。混同注意:多発性硬化症や視神経脊髄炎(NMOスペクトラム疾患)など、視神経病変を主とする他の神経疾患と混同しやすいです。
- 3. 正解。SARAは、運動失調の重症度を客観的に評価するために国際的に広く使用されている評価スケールです。姿勢、歩行、構音、眼球運動、指鼻試験、踵脛試験など、脊髄小脳変性症の多様な症状を網羅的に評価できるため、臨床研究や治療効果の判定に活用されています。
- 4. 日本における脊髄小脳変性症の有病率は、研究によって差がありますが、一般的には人口10万人あたり10~30人程度と報告されています。100人というのは実際の数値よりもかなり高いです。正しくは:日本における脊髄小脳変性症の有病率は、人口10万人あたり約10~30人程度です。選びやすい理由:難病ではあるものの、比較的知名度のある疾患であるため、実際の有病率よりも高く見積もってしまうことがあります。具体的な数値の記憶が曖昧な場合、選択肢の数字を大まかに選んでしまう傾向があります。混同注意:パーキンソン病など、より一般的な神経変性疾患の有病率(人口10万人あたり100~150人)と混同している可能性があります。
- 5. 脊髄小脳変性症における自律神経障害の出現頻度は、必ずしも遺伝性か非遺伝性かだけで決まるわけではなく、個々の病型によって大きく異なります。例えば、多系統萎縮症(MSA)では遺伝性・非遺伝性にかかわらず自律神経障害が顕著に現れますが、他の遺伝性脊髄小脳変性症の中には自律神経障害が目立たない型も存在します。そのため、「遺伝性が多い」という一概の記述は不正確です。正しくは:脊髄小脳変性症における自律神経障害の有無や程度は、遺伝性か非遺伝性かという分類よりも、個々の病型によって異なります。多系統萎縮症など特定の病型では、遺伝性・非遺伝性にかかわらず自律神経障害が顕著に現れます。選びやすい理由:遺伝性疾患は全身や多臓器にわたる症状を呈することが多いため、自律神経障害も遺伝性のタイプでより頻繁に発生すると推測してしまうことがあります。混同注意:多系統萎縮症(MSA)が脊髄小脳変性症に含まれる病型の一つであり、MSAでは自律神経障害が主要な症状であるため、この病型の特徴を脊髄小脳変性症全体、特に遺伝性という分類と誤って結びつけてしまう可能性があります。
国試ポイント
脊髄小脳変性症に関する問題では、疾患の主要な臨床症状、有効なリハビリテーション方法、疾患の評価指標、疫学(有病率など)、および合併しやすい症状や鑑別疾患に関する知識が問われます。特に、どの症状が典型的で、どの症状がそうでないか、またどの評価スケールが適切か、という点が重要です。
混同注意
本疾患の症状を他の神経変性疾患(パーキンソン病、多発性硬化症など)の症状と混同しやすい点があります。また、有病率などの疫学データは具体的な数値を覚えていないと誤りやすいです。自律神経障害の有無は病型によって大きく異なるため、疾患の分類(遺伝性か非遺伝性か)と症状の関係性を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
脊髄小脳変性症に関する問題が出題された際は、まず『運動失調』が中心的な病態であることを確認し、それに関連する症状(構音障害、眼球運動障害など)やリハビリテーション(Frenkel体操)、評価スケール(SARAなど)に注目します。次に、他の神経疾患の症状や疫学データとの混同がないか、選択肢の記述が疾患全体に当てはまるか、特定の病型に限定されるかを確認することが重要です。
関連知識
脊髄小脳変性症には遺伝性と非遺伝性があり、さらに多くの病型に分類されます。それぞれの病型によって主要な症状や進行が異なることがあります。リハビリテーションでは、Frenkel体操の他に理学療法、作業療法、言語聴覚療法など多角的なアプローチが重要です。また、病態進行を抑える薬物療法(例えば、プロチレリンなどのTRH誘導体)も一部で試みられています。