病気の解説
下垂体癌
別名:下垂体がん
受診の目安
下垂体癌では、悪性下垂体腺腫では、腫瘍が広く浸潤することが多く、脳下垂体周辺の脳神経が圧迫されて眼球運動障害などの神経症状が現れることがあります。症状が強くなる・日常生活に支障が出る・経過や治療に不安があるときは、内分泌・代謝内科に相談してください。通院中の方は自己判断で治療を中断しないでください。
基本
概要
下垂体腺腫は脳下垂体前葉にできる良性の腫瘍です。多くはゆっくり大きくなり、手術で全摘出すれば治癒する例もあります。機能性腺腫ではホルモンの過剰が問題になることもありますが、腫瘍自体が命に関わることは少ないとされています。一方でまれに、短期間で急速に増大し、再発を繰り返すような悪性度の高い腺腫が生じ、下垂体癌と呼ばれる状態になることがあります。下垂体腺腫の発生率は人口10万人あたり年間2-3人と考えられ、悪性化して下垂体癌になる割合は0.1~0.2%程度と報告されています。国内では年に数例程度の新規診断が推定されています。
主な症状
悪性下垂体腺腫では、腫瘍が広く浸潤することが多く、脳下垂体周辺の脳神経が圧迫されて眼球運動障害などの神経症状が現れることがあります。さらに脳や脳幹を圧迫して意識障害や麻痺などの神経症状が現れることもあります。ホルモンを産生するタイプの腫瘍では、プロラクチン、ACTH、成長ホルモンといったホルモンが過剰になることがあり、それぞれに応じた全身的な影響が現れます。正常な下垂体からのホルモン分泌が障害され、不足するホルモンの補充が必要になることも多いとされています。
原因
一般的な下垂体腺腫が悪性へ変化して下垂体癌になる原因は分かっていません。悪性へ転化する腺腫には、初めから増殖能力を示す特徴や周囲組織への浸潤が見られるものが多いと報告されていますが、予測できる因子はまだ特定されていません。遺伝性の下垂体癌の報告もありません。
病態
下垂体癌では腫瘍が大きく広範囲に浸潤するため、脳下垂体周辺の神経や脳幹を圧迫するなどして神経症状が現れることがあります。腫瘍はホルモンを過剰に産生するタイプが多く、ホルモン値が非常に高くなることがあります。ホルモン過剰がある場合には全身の合併症が生じることがあります。
治療
治療
良性腫瘍の治療の基本は手術での全摘出を目指すことですが、下垂体癌では広く浸潤して播種や転移がある場合が多く、全摘出は難しいです。手術に放射線療法を併用したり、抗癌剤を使う化学療法を併用して腫瘍の制御を図ります。最近はテモゾロミドという抗癌剤が用いられることがあり、縮小や生存期間の延長が報告される例もあるとされますが、現状では健康保険の適用対象外となることが多く、適用には慎重な検討が必要です。
経過と生活
経過・予後
下垂体腺腫が播種・転移して下垂体癌と診断されると、既に何度も治療を受けており有効な治療法が残されていないケースが多く、短期間で病状が進むことが多いとされています。下垂体腺腫が悪性化する例はごく少数です。
内分泌・代謝内科で扱うほかの病気
出典
参考: 下垂体癌|一般の皆様へ|日本内分泌学会(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。